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第三六幕。
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本来なら騒動を起こした張本人たる私は、問答無用で衛兵に拘束されてもおかしくは無いし、詰問責めに遭うのは必至だった。
だが、この奴隷商が何を思ったのか、衛兵に口利きをしてくれたのだ。
そう言う経緯で私はお咎めを免れた訳で。
「世辞は良い。奴隷商、そうやって私に近付いてくる腹積りは何だ?」
若干、強気の物言いな私だが、言う程に敵意は持っていない。
良い様に利用されない様に釘を刺しておくつもりで、剣の柄に手を添えて問い掛ける。
「流石で御座いますなぁ。特に何も、と。ですが、ここでお会いしたのも何かのご縁で御座いましょう。お近付きの印に――おい!」
奴隷商らしい卑しい顔になって、従者に指示を出す。
先程、商人邸に連れて行かれた内の一人が私の前へと連れてこられたのだ。
下衆に謂れのない暴力を振るわれていた幼い少女だった。
少々怯える幼女と一緒に、小さな鍵と羊皮紙で出来た契約書を奴隷商に手渡す従者。
「この者を献上させて頂きたく思います、はい。この者は、あの商品の中で最も価値が御座います故。高貴な生まれで、先日仕入れたばかり。勿論、無垢な見た目同様に生娘に御座います」
従者から受け取った鍵と羊皮紙を、和かに笑って差し出してくる奴隷商だった。
少々、胡散臭い笑い顔だが、見なかった事にしておく。
「――奴隷商。全員を寄越せと言えば、どう出る?」
「お~、怖い怖い。特に何も、と。申し上げておきます。貴方様とは懇意になさった方が、ワタクシも大変に助かるかと」
「そうか。恫喝する様な真似をして済まなかった。――もう一つだけ問う。奴隷商の所の愛玩奴隷を解放し、再び増やさない様にするにはどうすれば良い?」
「お~怖い怖い。流石にそれは応じる訳には参りません。ですが、懇意に、と。ワタクシから申し上げております手前、無碍には出来ますまい。そこでワタクシから一つ提案が御座います」
「何だ、奴隷商」
「世界の規則を変えてしまって下さい、と。それ以上はワタクシの口からはお伝え致しかねます。何せ卑しいワタクシ共にとっては、滅びの道になります故に」
「――奴隷商、言い方は良くないが、意外に良い奴で良い性格だな」
「ホッホッホ、良く言われます。もしもで御座いますが、何か人材でご入用の節は何卒、ワタクシの商会にご相談を。勘違いされやすいのですが、これでもワタクシ、真っ当な奴隷商を自負致しております故に」
「胡散臭さで台無しにしてるだけってのは伝わってくる。用が有れば頼むとしよう」
「では、信頼の証しとして――おい!」
またも奴隷商らしい卑しい顔になって、再び従者に指示を出す。
先程、商人邸に連れて行かれた全員が私の前へと連れてこられたのだ。
小さな鍵と羊皮紙で出来た契約書を、人数分持って。
「こちらの商品もお納め下さい」
従者から受け取った鍵と羊皮紙を、和かに笑って差し出してくる奴隷商だった。
どう見ても何回みても胡散臭い笑い顔だが、言葉にせず黙ったままにしておく。
「良いのか?」
「未来に投資です。言い方に不敬が御座います。と、先にお伝え致しますが、何卒、ご容赦願いたく思います」
要は言葉遣いに気に触るかも知れ無いが許してくれと、前言い訳をする。
その後に本題を淡々と告げる奴隷商。
「――実はこれらは、もう十分採算の取れた中古品で御座います。何より餌代の方が高くつきますので、処分と考えておりましたのが本音に御座います。野に放とうが魔物の餌になろうが構いません。物好きなあの商人が根こそぎ買い取ってくれたので喜んでおりましたぐらいです。詰まる所、どうなろうとワタクシの知る所では御座いません」
「――良い性格してるよ、全く」
前言い訳が無ければ、少し怒っていたかもだ。
不快な言葉に少しだけ眉根を寄せてしまった私。
「お~怖い怖い。それではワタクシは失礼させて頂きますよ」
大袈裟に怖がる素振りを見せるも、飄々としていた。
「奴隷商。一応、礼は言っておく。懇意にしてくれて有難う……済まない」
出逢った経緯より、出逢った事を大切にしたい私は、警戒を完全に解いた隙だらけの姿を晒す。
そして姿勢を正し礼を尽くし、深々と頭を下げた。
物言いや態度は褒めれた者では無いが、心根には好感が持てたからだ。
この奴隷商のお陰で、ここに居る数人は救われたのは事実なのだから――。
「とてもお優しく、勇敢にして謙虚。卑しいワタクシへの配慮も忘れない。正に稀代の勇者様に御座います。ワタクシ様な下衆の者に頭を下げる等、勿体無い」
「良いんだ。それと、その事は内密に頼みたいとお願いはしておく。聴き入れてくれると幸いだ」
「――畏まりました。ではこれにて」
私との長話を終えた奴隷商は、深々と頭を下げて、礼を尽くした挨拶を交わす。
そして自分の下品とも言える豪華な馬車に乗り、従者を引き連れて素直に帰っていった――。
――――――――――
気になる続きはCMの後!
チャンネルは、そのまま!(笑)
だが、この奴隷商が何を思ったのか、衛兵に口利きをしてくれたのだ。
そう言う経緯で私はお咎めを免れた訳で。
「世辞は良い。奴隷商、そうやって私に近付いてくる腹積りは何だ?」
若干、強気の物言いな私だが、言う程に敵意は持っていない。
良い様に利用されない様に釘を刺しておくつもりで、剣の柄に手を添えて問い掛ける。
「流石で御座いますなぁ。特に何も、と。ですが、ここでお会いしたのも何かのご縁で御座いましょう。お近付きの印に――おい!」
奴隷商らしい卑しい顔になって、従者に指示を出す。
先程、商人邸に連れて行かれた内の一人が私の前へと連れてこられたのだ。
下衆に謂れのない暴力を振るわれていた幼い少女だった。
少々怯える幼女と一緒に、小さな鍵と羊皮紙で出来た契約書を奴隷商に手渡す従者。
「この者を献上させて頂きたく思います、はい。この者は、あの商品の中で最も価値が御座います故。高貴な生まれで、先日仕入れたばかり。勿論、無垢な見た目同様に生娘に御座います」
従者から受け取った鍵と羊皮紙を、和かに笑って差し出してくる奴隷商だった。
少々、胡散臭い笑い顔だが、見なかった事にしておく。
「――奴隷商。全員を寄越せと言えば、どう出る?」
「お~、怖い怖い。特に何も、と。申し上げておきます。貴方様とは懇意になさった方が、ワタクシも大変に助かるかと」
「そうか。恫喝する様な真似をして済まなかった。――もう一つだけ問う。奴隷商の所の愛玩奴隷を解放し、再び増やさない様にするにはどうすれば良い?」
「お~怖い怖い。流石にそれは応じる訳には参りません。ですが、懇意に、と。ワタクシから申し上げております手前、無碍には出来ますまい。そこでワタクシから一つ提案が御座います」
「何だ、奴隷商」
「世界の規則を変えてしまって下さい、と。それ以上はワタクシの口からはお伝え致しかねます。何せ卑しいワタクシ共にとっては、滅びの道になります故に」
「――奴隷商、言い方は良くないが、意外に良い奴で良い性格だな」
「ホッホッホ、良く言われます。もしもで御座いますが、何か人材でご入用の節は何卒、ワタクシの商会にご相談を。勘違いされやすいのですが、これでもワタクシ、真っ当な奴隷商を自負致しております故に」
「胡散臭さで台無しにしてるだけってのは伝わってくる。用が有れば頼むとしよう」
「では、信頼の証しとして――おい!」
またも奴隷商らしい卑しい顔になって、再び従者に指示を出す。
先程、商人邸に連れて行かれた全員が私の前へと連れてこられたのだ。
小さな鍵と羊皮紙で出来た契約書を、人数分持って。
「こちらの商品もお納め下さい」
従者から受け取った鍵と羊皮紙を、和かに笑って差し出してくる奴隷商だった。
どう見ても何回みても胡散臭い笑い顔だが、言葉にせず黙ったままにしておく。
「良いのか?」
「未来に投資です。言い方に不敬が御座います。と、先にお伝え致しますが、何卒、ご容赦願いたく思います」
要は言葉遣いに気に触るかも知れ無いが許してくれと、前言い訳をする。
その後に本題を淡々と告げる奴隷商。
「――実はこれらは、もう十分採算の取れた中古品で御座います。何より餌代の方が高くつきますので、処分と考えておりましたのが本音に御座います。野に放とうが魔物の餌になろうが構いません。物好きなあの商人が根こそぎ買い取ってくれたので喜んでおりましたぐらいです。詰まる所、どうなろうとワタクシの知る所では御座いません」
「――良い性格してるよ、全く」
前言い訳が無ければ、少し怒っていたかもだ。
不快な言葉に少しだけ眉根を寄せてしまった私。
「お~怖い怖い。それではワタクシは失礼させて頂きますよ」
大袈裟に怖がる素振りを見せるも、飄々としていた。
「奴隷商。一応、礼は言っておく。懇意にしてくれて有難う……済まない」
出逢った経緯より、出逢った事を大切にしたい私は、警戒を完全に解いた隙だらけの姿を晒す。
そして姿勢を正し礼を尽くし、深々と頭を下げた。
物言いや態度は褒めれた者では無いが、心根には好感が持てたからだ。
この奴隷商のお陰で、ここに居る数人は救われたのは事実なのだから――。
「とてもお優しく、勇敢にして謙虚。卑しいワタクシへの配慮も忘れない。正に稀代の勇者様に御座います。ワタクシ様な下衆の者に頭を下げる等、勿体無い」
「良いんだ。それと、その事は内密に頼みたいとお願いはしておく。聴き入れてくれると幸いだ」
「――畏まりました。ではこれにて」
私との長話を終えた奴隷商は、深々と頭を下げて、礼を尽くした挨拶を交わす。
そして自分の下品とも言える豪華な馬車に乗り、従者を引き連れて素直に帰っていった――。
――――――――――
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