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第三章「私の相棒」
「03-013」
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「え?」
時間はまだ午後四時。退勤には早いが、もう明日香にこなせる業務はない。それに、他のメンバーが退勤する様子を見せていないのに、自分だけ去るのはお門違いと考えているのだろう。取り繕った笑顔で「まだ大丈夫――」と明日香は立ち上がったが、慣れない環境と初めての戦闘で疲労困憊だろうその体は、直立を保つことができずにふらついている。
「そんな体でうろつかれたら俺達が迷惑だっての。ま、今日は無理すんな。その代わり、明日からバリバリやって貰うから覚悟しとけ」
「……わかった」
渋々意見を呑んでくれた明日香は「それじゃすみません、お言葉に甘えてお先に失礼します」と頭を下げてから、かぶらぎ診療所を後にした。
明日香の後ろ姿を見送ると、大翔はため息混じりの苦笑いを浮かべ「ったく……やる気がありすぎってのも考え物だな」と呟いた。
「別に悪いことじゃないでしょ?」と渚がフォローに入るが、「バランスが大事なんだよ、バランスが」と大翔は口を尖らせる。
もちろん、渚が言うようにやる気は無いよりはあった方がいい。
ただ、気持ちだけが先行してしまうと、空回りしてしまう。なんで頑張ってるのに結果が出ないの、なんて思い始めたら心まで疲弊してしまって、毎日が嫌になってしまう。
これを防ぐために大事なのは、バランスだ。休むときは休んで、働かなくちゃいけないときは働く。これを徹底できれば、そうそう折れることはない。
これを、実戦を積みながら感じられるようそれとなくサポートしつつ、自身の仕事もこなし、シカバネという未知の敵への対処も考えなければならない――人数が増えて将来的にはマシにはなるだろうが、明日香が独り立ちするまでの間は業務が倍増することは必至。「それを教えることが大翔の仕事だろう」という言葉を大人しく呑みつつ「わかってるよ」と口を尖らせるくらいしか気持ちを表明する術はなかった。
「大翔の求めてた戦力じゃないか。それも即日、繋魂と縁を結べるなんて、将来有望だ」
「ちょっとちょっと鏑木さーん? それじゃー三日かかったアタシが馬鹿みたいじゃん」
「……渚くんは、ほら、その後の伸びが凄かったじゃないか」
「あー口ごもってる! えーそうですよ、どーせアタシはスロースターターですよー」
「今は立派な戦力じゃないか。重要なのは出だしではなく……」
「あーあ、最初は辛かったなぁ。そもそもアタシは、今みたいに整ってる環境もマニュアルもなくて手探り状態だったし。そもそも何にもかんきょうが整ってない状態だったのに――」
渚は、一度話を脱線すると収拾が付かなくなる。手遅れになる前に大翔は「ま、それは置いといて」と割り込みつつ椅子に座り「ようやく仕事に入れるわけだけど……おっさん、アレはどう? 来た?」と鏑木に助け船を出してやった。
「おーおー、そうだった。すっかり忘れていた」
「おいおい……」
「まあそう急かすな……お、来ているな」
「しっかりしてくれよ。シカバネの手がかりになるかもしれないんだから」
「わかっているさ。……さ、確認しよう」
そう言うと、鏑木はホログラム映像を虚空に映し出した。
映し出されたのは、先刻、シカバネが大量発生した桜花橋の映像だ。事件が発生してから数分、時間を見るにちょうど明日香が谷に落ちたくらいのタイミングのもの。ドローンが事件を捉えていてくれたことに感謝しつつ、大翔は「さて、くまなく見ますかね」と舌なめずりをした。
「これさー、解析班も調べたんでしょ? 今更アタシらが見たって……」
「現場に行った俺達じゃないと気づけないこともあるだろ」
「取りあえず、各々ほんの僅かな違和感でもあれば何でも言っていこう。それが、事件解決の手がかりになるかもしれない」
三人は、前のめりになって映像へかじりついた。
※
かぶらぎ診療所にいるときはまだまだ元気なつもりだったが、家に着いたときにようやく自分がどれだけ疲れているのかに気づいた。
シャワーを浴びることも、着替えることも、晩ご飯を食べることすら億劫に思える。なんにもやる気が起きず、力も湧かず。
さながら光りに誘われる虫のように、明日香は自室へ向かった。
一歩、また一歩と足を引きずるように歩を進め、ようやく自室前に辿り着く。
さあようやく休める、とドアノブに手をかけドアを開くと、視界の端に黄ばんだ無機質なボディが現れた。
自立ロボットの、モニアだ。
『明日香様、お帰りなさいませ』
掃除機の頭を手に取り付けていたことから、部屋の掃除をしてくれていたのだろう。その証拠に、朝、床に脱ぎ捨てていったはずの寝間着はすっかり片付けられている。
ありがたいことはありがたい。しかし、今はそこに感謝するよりも体を休めることが先決。
「モニア、ちょっと――」
『晩ご飯は如何致しましょう』
「今日はいいや。それより――」
『承知いたしました。それでは、選択を行いますので、汚れた衣服をお出し下さい。また、お風呂も直ぐに沸かしますので、いち早くお入り下さい』
いつものような世話焼きが続く。こんなとりつく島も無い感じだっけ、と疑問に思いながら、もういいからと無理矢理どけようとボディに触った瞬間、明日香は異変に気づいた。
時間はまだ午後四時。退勤には早いが、もう明日香にこなせる業務はない。それに、他のメンバーが退勤する様子を見せていないのに、自分だけ去るのはお門違いと考えているのだろう。取り繕った笑顔で「まだ大丈夫――」と明日香は立ち上がったが、慣れない環境と初めての戦闘で疲労困憊だろうその体は、直立を保つことができずにふらついている。
「そんな体でうろつかれたら俺達が迷惑だっての。ま、今日は無理すんな。その代わり、明日からバリバリやって貰うから覚悟しとけ」
「……わかった」
渋々意見を呑んでくれた明日香は「それじゃすみません、お言葉に甘えてお先に失礼します」と頭を下げてから、かぶらぎ診療所を後にした。
明日香の後ろ姿を見送ると、大翔はため息混じりの苦笑いを浮かべ「ったく……やる気がありすぎってのも考え物だな」と呟いた。
「別に悪いことじゃないでしょ?」と渚がフォローに入るが、「バランスが大事なんだよ、バランスが」と大翔は口を尖らせる。
もちろん、渚が言うようにやる気は無いよりはあった方がいい。
ただ、気持ちだけが先行してしまうと、空回りしてしまう。なんで頑張ってるのに結果が出ないの、なんて思い始めたら心まで疲弊してしまって、毎日が嫌になってしまう。
これを防ぐために大事なのは、バランスだ。休むときは休んで、働かなくちゃいけないときは働く。これを徹底できれば、そうそう折れることはない。
これを、実戦を積みながら感じられるようそれとなくサポートしつつ、自身の仕事もこなし、シカバネという未知の敵への対処も考えなければならない――人数が増えて将来的にはマシにはなるだろうが、明日香が独り立ちするまでの間は業務が倍増することは必至。「それを教えることが大翔の仕事だろう」という言葉を大人しく呑みつつ「わかってるよ」と口を尖らせるくらいしか気持ちを表明する術はなかった。
「大翔の求めてた戦力じゃないか。それも即日、繋魂と縁を結べるなんて、将来有望だ」
「ちょっとちょっと鏑木さーん? それじゃー三日かかったアタシが馬鹿みたいじゃん」
「……渚くんは、ほら、その後の伸びが凄かったじゃないか」
「あー口ごもってる! えーそうですよ、どーせアタシはスロースターターですよー」
「今は立派な戦力じゃないか。重要なのは出だしではなく……」
「あーあ、最初は辛かったなぁ。そもそもアタシは、今みたいに整ってる環境もマニュアルもなくて手探り状態だったし。そもそも何にもかんきょうが整ってない状態だったのに――」
渚は、一度話を脱線すると収拾が付かなくなる。手遅れになる前に大翔は「ま、それは置いといて」と割り込みつつ椅子に座り「ようやく仕事に入れるわけだけど……おっさん、アレはどう? 来た?」と鏑木に助け船を出してやった。
「おーおー、そうだった。すっかり忘れていた」
「おいおい……」
「まあそう急かすな……お、来ているな」
「しっかりしてくれよ。シカバネの手がかりになるかもしれないんだから」
「わかっているさ。……さ、確認しよう」
そう言うと、鏑木はホログラム映像を虚空に映し出した。
映し出されたのは、先刻、シカバネが大量発生した桜花橋の映像だ。事件が発生してから数分、時間を見るにちょうど明日香が谷に落ちたくらいのタイミングのもの。ドローンが事件を捉えていてくれたことに感謝しつつ、大翔は「さて、くまなく見ますかね」と舌なめずりをした。
「これさー、解析班も調べたんでしょ? 今更アタシらが見たって……」
「現場に行った俺達じゃないと気づけないこともあるだろ」
「取りあえず、各々ほんの僅かな違和感でもあれば何でも言っていこう。それが、事件解決の手がかりになるかもしれない」
三人は、前のめりになって映像へかじりついた。
※
かぶらぎ診療所にいるときはまだまだ元気なつもりだったが、家に着いたときにようやく自分がどれだけ疲れているのかに気づいた。
シャワーを浴びることも、着替えることも、晩ご飯を食べることすら億劫に思える。なんにもやる気が起きず、力も湧かず。
さながら光りに誘われる虫のように、明日香は自室へ向かった。
一歩、また一歩と足を引きずるように歩を進め、ようやく自室前に辿り着く。
さあようやく休める、とドアノブに手をかけドアを開くと、視界の端に黄ばんだ無機質なボディが現れた。
自立ロボットの、モニアだ。
『明日香様、お帰りなさいませ』
掃除機の頭を手に取り付けていたことから、部屋の掃除をしてくれていたのだろう。その証拠に、朝、床に脱ぎ捨てていったはずの寝間着はすっかり片付けられている。
ありがたいことはありがたい。しかし、今はそこに感謝するよりも体を休めることが先決。
「モニア、ちょっと――」
『晩ご飯は如何致しましょう』
「今日はいいや。それより――」
『承知いたしました。それでは、選択を行いますので、汚れた衣服をお出し下さい。また、お風呂も直ぐに沸かしますので、いち早くお入り下さい』
いつものような世話焼きが続く。こんなとりつく島も無い感じだっけ、と疑問に思いながら、もういいからと無理矢理どけようとボディに触った瞬間、明日香は異変に気づいた。
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