《第一幕》テンプレ転移した世界で全裸から目指す騎士ライフ

ぽむぽむ

文字の大きさ
72 / 84
リヨンス

37(1/2)

しおりを挟む
「ペラン。見て見て! 塔みたいなの見える。リヨンスあれかな! 」

早朝、ルーアンを出発して、5時間ほど歩いている。
ピュルテジュネ家のお気に入りの狩り場へ向かう道ということで、整えられた道を歩くのはさほど大変ではないのだが、リヨンの森、と言う地名なだけありブナの木が永遠と並び、どこを見ても同じ様な景色で距離感がわからなくなる。そんな状況から、少し開けた空に塔が見えた時は少し感動を覚えた。

「ああ。お前はなんでも新鮮でいいな。オレは昨日此処を歩いたばっかりだ。」

ルーアンの宿屋でペランに出会い、リシャールの話を食事とお酒と引き換えに聞いていたのが昨夜。
しかし、話も中程で寝てしまったペランを自分の部屋に連れて上がり、ペラン同様旅で疲れているはずなのだが、目を瞑るとリシャールの顔が浮かび、眠れず朝を迎えた。
半分眠っているペランを連れて、眠っているルーを叩き起こして別れを告げ、そのまま出発した。
眠れなくても妙にテンションの高い自分がおかしい。
興奮してペラン話の途中に質問攻めしてしっまったりで、なかなか話が進まなかったが、太陽が真上に上がり、リヨンスに付くであろう頃合いに「ふぅ。」とペランがため息を付いて、話を締めくくる。

「そんで、オレはお前を探すためにルーアンに行ったという事だな。・・・ルーアンに居た記憶がほぼ無いけどな。」
「おれだってルーアンについたばっかりだったよ。まぁ。ペランよりは速く着いてたけど。」

ルーアンは大きな都市だけあり、目を引くものがいっぱいあった。
とりあえず、宿屋に付いて荷物をおいて飯を食って・・・、などと言っていたら結局どこも見る事もできず出発したのだ。

「・・・ジャン。オレ、腹減った。飯食おう。まっすぐリヨンス城行こう。」
「食べすぎじゃない? 昨日もほとんどペランが飯、平らげたじゃん。」
「えー。オレなんか全然覚えてねぇんだけど。安心して飲みすぎたんだろうな。」
「おれのおごりだったのに。忘れたからって無いことにはさせないからな! ってか、リシャールは狩りに行ってるんだろ? この辺にいたりする? 」
「まぁ。だいたい狩り場は決まってるし、野営張る場所も見当は着くけど・・・。でもなぁー。そうだ。お前の事待ってるヤツも居るし。探すの大変だから一旦城に帰ろうぜ。」

リヨンスは森の中を切り取ったような小さな丘を城壁で囲んだ街だった。
小ぶりなリヨンス城が真ん中で街を見下ろし、城の中に入ると随従数人に歓喜で迎えられた。
そのメンバーの中で、一番喜んでくれた者がいた。
ブルルルっと嘶くと、前足をタシタシと交互に上げて首を振って待っている。

「ポチィィィィ! ごめぇぇぇん! 置いていって! おれも会いたかった! 」

かわいいポチは抱きしめると顔をスリスリと擦り付けてくる。
温かい体温を感じながら厩舎でゆったりと手入れをしているといつの間にか日が暮れていた。
いっそ此処で眠ってしまおうかとは思ったが、長旅で色々汚れている自分に気がついた。

「ポチ。おれ臭くない? 」

キョトンとした目をして撫でる手に鼻先を押し当てて来るだけで、ポチからは答えはないが、その仕草だけで癒やされる。

「また、明日な。おやすみ。」

嘶くポチに手を振りながら、城に入ると、ペランが大きな笑い声が聞こえる。
ペランは酒を飲むと声がでかくなるから、どこにいるか見当が付きやすい。
声のする方に行ってみると、暖炉のある広間で仲間たちと酒を呑んでいた。

「ジャン! お前も飲むか? 」

上機嫌のペランは今宵もちゃんと酔っ払いだ。

「おれ、飯食って寝るわ。どこの部屋行ったら良い? 体拭きたいし、できれば湯浴みが出来たらいいんだけど、此処って出来る? 」
「おぃおぃ。綺麗好きなジャン様は健在だなぁ。」
「リシャール様の部屋なら暖炉があるから、其処で湯浴みが出来るだろ。ジャンなら部屋で寝てるのリシャール様に見つかっても蹴られねぇだろし。」
「いや、あの人今、信じられないくらい機嫌悪いから、さすがのジャンでも蹴られるんじゃね?」
「蹴られはしなくとも掘られるんじゃねぇか? 」
「そりゃ、違いねぇ」

がっはっはと下品に笑いながら話しかけてくる男たちに適当に返事をしながら食堂に行き、食事をかきこむと、兵士用に用意されている新しいシャツとズボンを持ち、一番広い部屋の目星をつけて階段を登る。
だいたい城のつくりはどこもに通っているし、暖炉のある部屋は煙突を作らなければならない為、必然的に限られていく。
重い扉を開くと、思ったとおり暖炉のある、広いベットの設えられた部屋だった。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

時の情景

琉斗六
BL
◎あらすじ 中学教師・榎戸時臣は聖女召喚の巻き添えで異世界へ。政治の都合で追放、辺境で教える日々。そこへ元教え子の聖騎士テオ(超絶美青年)が再会&保護宣言。王子の黒い思惑も動き出す。 ◎その他 この物語は、複数のサイトに投稿しています。

虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する

あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。 領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。 *** 王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。 ・ハピエン ・CP左右固定(リバありません) ・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません) です。 べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。 *** 2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

ユキ・シオン

那月
BL
人間の姿をした、人間ではないもの。 成長過程で動物から人間に変わってしまう”擬人化種”の白猫青年と、16歳年上のオッサンとのお話。 出会ったのは猫カフェ。白猫従業員としての青年と客としてやってきたオッサン。 次に再会したのは青年が人間として通う大学。オッサンは保健室の先生だった。 青年が金のためにヤバいことをしていて、あるトラブルが起こる。 そこへ見計らったかのようにオッサンが飛び込んで救出したのをきっかけに2人の距離は縮まり…… ※表紙絵は自作。本編は進むにつれてどんどん動物園と化します(笑)

2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。

ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。 異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。 二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。 しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。 再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。

【完結】僕の大事な魔王様

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
BL
母竜と眠っていた幼いドラゴンは、なぜか人間が住む都市へ召喚された。意味が分からず本能のままに隠れたが発見され、引きずり出されて兵士に殺されそうになる。 「お母さん、お父さん、助けて! 魔王様!!」 魔族の守護者であった魔王様がいない世界で、神様に縋る人間のように叫ぶ。必死の嘆願は幼ドラゴンの魔力を得て、遠くまで響いた。そう、隣接する別の世界から魔王を召喚するほどに……。 俺様魔王×いたいけな幼ドラゴン――成長するまで見守ると決めた魔王は、徐々に真剣な想いを抱くようになる。彼の想いは幼過ぎる竜に届くのか。ハッピーエンド確定 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/11……完結 2023/09/28……カクヨム、週間恋愛 57位 2023/09/23……エブリスタ、トレンドBL 5位 2023/09/23……小説家になろう、日間ファンタジー 39位 2023/09/21……連載開始

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

処理中です...