骸骨の林田ガイコツ

筋肉愛の申し子

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林田ガイコツと迷子

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道に迷った……。
どの辺りだろう……ここは……。
学校からの帰り道、道端に転がっていた丁度いいサイズの石ころを足で蹴り飛ばしたが最後、自分が迷子になってしまうほど夢中になってドリブルをしてしまったのだ。
太陽は落ちかけていて、もう30分ほどであたりは暗くなってしまいそうな雰囲気を帯びている。
これはまずい……。
いや、いつもよりもやばいかもしれない。今日は姉ちゃんが早く帰ってくる日だ。
何処か知ってる場所までたどり着くことさえできればいいのだけれど……。


全然わからない。俺はいったいどれほど夢中になって石を蹴り続けていたんだろう。
周りにあるのは一軒家やアパートばかりで、特徴的な建物はない。
やはり、見覚えのない風景だ。

「どうした、少年」

後ろのほうから声が聞こえた。
俺に話かけてるのかな?

「大丈夫?」

やっぱり俺だ!
でも、お母さんが知らない人に話しかけられても、無視しろって言ってたし……。
逃げよう。
話しかけてきた男とは真逆の方向に向かって全力で駆け出した。

「ええ!? ちょ、ちょっと急に走ると危ないぞ!」

後ろの男は、俺の奇行? に戸惑いながらも追いかけてくる。



まぁ、大人にかけっこで勝てるわけもなく追いつかれてしまうわけで、

「はぁはぁ、なんで、はぁ、急に走るの? はぁはぁ」

道に迷ってしまった情けなさも相まって、目からは涙があふれてくる。

「煮るなり焼くなり好きにしろ!!」

俺の魂の叫びだった。
その時に初めて追いかけてきた男の顔を見た。

「え……ガイコツ?」

制服着てる。

「……高校生?」

「そうだよ」

ガイコツの呼吸は整い始めている。
知らないガイコツに話しかけられ、追いかけられた場合はどうしたらいいのかをお母さんに聞いておくべきだった。

「君、迷子?」

「うん……」

「小学何年生かな?」

「…………」

「まぁ、無理もないか……。急に話しかけられて、追いかけられた訳だし。俺は林田 ガイコツ。君の力になれると思うよ」

「…3年生」

力になってもらうことにした。今の唯一の希望はこの、ハヤシダとかいうガイコツしかないのだ。

「そうか、名前は?」

「ねもと ゆうだい」



その後、ハヤシダに自分が通っている学校の名前を言うと、その近くの方まで案内してくれた。

「じゃ、気を付けてね。これからは、道端に石があっても蹴らないように」

ハヤシダは俺を少しからかった後、この街を去っていった。
案の定、家には姉ちゃんがいた。
姉ちゃんは、お父さんが引くほど俺を怒鳴りつけたけれど、そんなの気にならないほどの睡魔に襲われていた。
その日の夜は、ガイコツの夢を見た。




ハヤシダガイコツはどこにでもいるガイコツであり、男子高校生である。
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