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2章 王城と私
04 vsお嬢様
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タッタッタッと足音が聞こえる。多分ドーンが騒ぎを見て向かって来ているのだろう。
私は音がする方へ手で『来るな』と制した。怒ったドーンじゃ、このお嬢様は確実に死ぬしね。
「聞こえなかったかしら? 早く帰りなさい。そのドレスじゃ、貴方が笑い者になるわよ」
声を高らかに扇子をパンパンと自分の手の平に打っている。
「ふ~。これ高いんだけどな…」
ぼそっと呟いて、椅子から立つ。飲み物をぶっかけたお嬢様を正面から見つめた。
「何? 聞こえないわ。それより出口はあちらよ、ふふふふふ」
「ははは。貴方はどなたでしょう? 私はなぜびしょ濡れに?」
ザワザワと少しだが野次馬も集まってきた。早く終わらせよう。めっちゃ遠くだけど、総団長がこちらを見てニヤニヤしている。って、その前の方にいるトリスもニヤついている。は~。来ないんか~い。
「貴方私を知らないの? やっぱり。見た事のない顔だと思ったわ。どんな手で紛れ込んだのか知らないけど、田舎臭いネズミが来ていい場所じゃないのよ? ここは上流階級しか来てはいけないの。お分かり?」
「質問にお答え下さい」
「ふん… まぁ、いいわ。私はサックス公爵家のミレニアよ。そう言う貴方は誰? 今後、入り込まない様に皆様に知ってもらわないといけないわね。さぁ、名乗りなさい」
「これは失礼致しました。私は騎士団で団長をしておりますラモン・バーンと申します。サックス公爵家のミレニア様」
一応軽くカーテシーをする。
「だ、団長? う、嘘よ。貴方みたいな小娘が!」
「嘘ではございませんよ。ここに、ほら、団長の証の腕章もございます。で? ミレニア様はなぜ私を水浸しに?」
「う…」
「状況はお分かりでしょうか? 後ろを見て下さい。皆様がこちらを見ていますよ? 王族主催の夜会で自分がやった事を理解なさいましたか?」
「そ、そんな… こと… ただ私は… アレクサンダー様が…」
タジタジで一歩後ろに下がるミレニア様。取り巻きもヒソヒソ言いながら人混みへフェードアウトして行く。団結力ないな、助けないの?
「で? 訳は?」
「そ、そんなぁ…」
「はぁ~。どう言う意図があったのかは分かりかねます… 推測ですが、アレクサンダー様に好意を寄せているのでしょうか? それで私が目障りだと。だから水をかけた。だって私は公爵家の娘だから。と言う所でしょうか?」
「…」
ミレニア様は公衆の面前で今やった事を暴露されて顔が真っ赤だ。下を向いてワナワナしている。
ちょっと言い過ぎた?
「でしたら、誤解ですよ。私は、先ほども申し上げたように第7騎士団団長を務めていまして、恐れながらもアレクサンダー様の上官です。先程は、王子様よりご挨拶をして頂いただけです」
「… 上官?」
ミレニア様の顔はもう真っ黒だ。青を通り過ぎて黒。人ってこんな色になるんだね。不思議。
「ミレニア様、公爵家だからと何をしても許されるはずはございません。警備騎士に引き渡します。よろしいですね?」
「い、いやよ。騎士なんて… ちょっとした誤解じゃない。それこそ許して下さらないの? 貴方団長なんでしょう?」
ん? 何をどう取って許されるんだ?
「理解出来ません… それもやはり公爵家だから? それはいくら何でも… それともお父様を呼んでお話し合いをしますか? 騒ぎが大きくなりますよ?」
「お、お父様は… 関係ないわ」
「そうでしょう。ご自身のやった事はご自身で」
私は、ドーンが連れて来た警備騎士に目で合図し、お嬢様を会場から出すよう指示する。
「え? 何? 触らないで」
警備騎士が到着するとあたふたし出すミレニア様。ま~、わからんでもないけど、あんまり暴れると余計な人にまで見られちゃうよ?
「ミレニア様、ここは会場でも隅の方です。これ以上失態を晒すのはどうかと。このまま静かに退場された方がいいですよ?」
私はミレニア様に小声でアドバイスする。ん? 黙りこんだ。OKって事かな?
しばらくして、ミレニア様はようやく警備騎士と連れ立って会場を後にした。
「皆様。ご令嬢と少し行き違いがありましてお騒がせを致しました。この件は騎士団預かりになります。これ以上の詮索はご容赦下さいませ。では、私はこの様になりましたし失礼させて頂きます」
びちょびちょだけどにっこりスマイルでカーテシー。ドーンに目で合図を送り、私も会場を後にする。
会場は少しザワついたけど、元の優雅なパーティーへ戻っていった。
「ドーン。これどうしよう?」
「こう言う時の為に、替えを用意してあります。こちらです」
「ドーン! すごいわ! この後、残るように言われてたから焦った~」
「普通です。皆さん、ドレスの色が被った時用や、団長のようにずぶ濡れにはなりませんが、汚れてしまった時用に常に用意しているものなんですよ」
「へ~。また勉強になりました。てか… 公爵家だったわね」
「そうですね」
「どんな感じで終わるのかな?」
「警備担当の第3と王族主催ですから第1も関わるかと。良くて謹慎、悪くて夜会、つまり貴族社会を追放でしょうか?」
「夜会追放って… 『貴方は婚活出来ません。嫁に行けません』って言われてるようなものじゃない。ミレニア様だっけ? まだまだ若かったわね。ちょっとかわいそう」
「まぁ妥当かと。あんなゴミの低俗な令嬢は一生領地から出ないのが皆の為になるでしょう」
「まぁまぁ、毒づくなぁ…」
ははは、ドーンの殺気がビンビン感じる。ここは戦場じゃないよ?
「それより、席を外して申し訳ございませんでした。私の失態です」
「大袈裟な… ああ言うのはどの道スキを突いてやって来るものよ。ドーンのせいじゃないわ」
「… はい」
「じゃぁ、着替えるわね」
「中に王城付きの侍女が居りますので手伝ってくれますよ」
「了解。着替える間に、総団長に話を通しておいてね。さっき会場でニヤニヤしてたから、大体は把握してると思うし」
「あいつ… 了解しました」
私は着替え、ドーンは報告で一旦別れる。
次のドレスはどっちだろう? てか、このシミ落ちるかな? ユーグさんが見たらブチ切れそうだな。はは。
私は音がする方へ手で『来るな』と制した。怒ったドーンじゃ、このお嬢様は確実に死ぬしね。
「聞こえなかったかしら? 早く帰りなさい。そのドレスじゃ、貴方が笑い者になるわよ」
声を高らかに扇子をパンパンと自分の手の平に打っている。
「ふ~。これ高いんだけどな…」
ぼそっと呟いて、椅子から立つ。飲み物をぶっかけたお嬢様を正面から見つめた。
「何? 聞こえないわ。それより出口はあちらよ、ふふふふふ」
「ははは。貴方はどなたでしょう? 私はなぜびしょ濡れに?」
ザワザワと少しだが野次馬も集まってきた。早く終わらせよう。めっちゃ遠くだけど、総団長がこちらを見てニヤニヤしている。って、その前の方にいるトリスもニヤついている。は~。来ないんか~い。
「貴方私を知らないの? やっぱり。見た事のない顔だと思ったわ。どんな手で紛れ込んだのか知らないけど、田舎臭いネズミが来ていい場所じゃないのよ? ここは上流階級しか来てはいけないの。お分かり?」
「質問にお答え下さい」
「ふん… まぁ、いいわ。私はサックス公爵家のミレニアよ。そう言う貴方は誰? 今後、入り込まない様に皆様に知ってもらわないといけないわね。さぁ、名乗りなさい」
「これは失礼致しました。私は騎士団で団長をしておりますラモン・バーンと申します。サックス公爵家のミレニア様」
一応軽くカーテシーをする。
「だ、団長? う、嘘よ。貴方みたいな小娘が!」
「嘘ではございませんよ。ここに、ほら、団長の証の腕章もございます。で? ミレニア様はなぜ私を水浸しに?」
「う…」
「状況はお分かりでしょうか? 後ろを見て下さい。皆様がこちらを見ていますよ? 王族主催の夜会で自分がやった事を理解なさいましたか?」
「そ、そんな… こと… ただ私は… アレクサンダー様が…」
タジタジで一歩後ろに下がるミレニア様。取り巻きもヒソヒソ言いながら人混みへフェードアウトして行く。団結力ないな、助けないの?
「で? 訳は?」
「そ、そんなぁ…」
「はぁ~。どう言う意図があったのかは分かりかねます… 推測ですが、アレクサンダー様に好意を寄せているのでしょうか? それで私が目障りだと。だから水をかけた。だって私は公爵家の娘だから。と言う所でしょうか?」
「…」
ミレニア様は公衆の面前で今やった事を暴露されて顔が真っ赤だ。下を向いてワナワナしている。
ちょっと言い過ぎた?
「でしたら、誤解ですよ。私は、先ほども申し上げたように第7騎士団団長を務めていまして、恐れながらもアレクサンダー様の上官です。先程は、王子様よりご挨拶をして頂いただけです」
「… 上官?」
ミレニア様の顔はもう真っ黒だ。青を通り過ぎて黒。人ってこんな色になるんだね。不思議。
「ミレニア様、公爵家だからと何をしても許されるはずはございません。警備騎士に引き渡します。よろしいですね?」
「い、いやよ。騎士なんて… ちょっとした誤解じゃない。それこそ許して下さらないの? 貴方団長なんでしょう?」
ん? 何をどう取って許されるんだ?
「理解出来ません… それもやはり公爵家だから? それはいくら何でも… それともお父様を呼んでお話し合いをしますか? 騒ぎが大きくなりますよ?」
「お、お父様は… 関係ないわ」
「そうでしょう。ご自身のやった事はご自身で」
私は、ドーンが連れて来た警備騎士に目で合図し、お嬢様を会場から出すよう指示する。
「え? 何? 触らないで」
警備騎士が到着するとあたふたし出すミレニア様。ま~、わからんでもないけど、あんまり暴れると余計な人にまで見られちゃうよ?
「ミレニア様、ここは会場でも隅の方です。これ以上失態を晒すのはどうかと。このまま静かに退場された方がいいですよ?」
私はミレニア様に小声でアドバイスする。ん? 黙りこんだ。OKって事かな?
しばらくして、ミレニア様はようやく警備騎士と連れ立って会場を後にした。
「皆様。ご令嬢と少し行き違いがありましてお騒がせを致しました。この件は騎士団預かりになります。これ以上の詮索はご容赦下さいませ。では、私はこの様になりましたし失礼させて頂きます」
びちょびちょだけどにっこりスマイルでカーテシー。ドーンに目で合図を送り、私も会場を後にする。
会場は少しザワついたけど、元の優雅なパーティーへ戻っていった。
「ドーン。これどうしよう?」
「こう言う時の為に、替えを用意してあります。こちらです」
「ドーン! すごいわ! この後、残るように言われてたから焦った~」
「普通です。皆さん、ドレスの色が被った時用や、団長のようにずぶ濡れにはなりませんが、汚れてしまった時用に常に用意しているものなんですよ」
「へ~。また勉強になりました。てか… 公爵家だったわね」
「そうですね」
「どんな感じで終わるのかな?」
「警備担当の第3と王族主催ですから第1も関わるかと。良くて謹慎、悪くて夜会、つまり貴族社会を追放でしょうか?」
「夜会追放って… 『貴方は婚活出来ません。嫁に行けません』って言われてるようなものじゃない。ミレニア様だっけ? まだまだ若かったわね。ちょっとかわいそう」
「まぁ妥当かと。あんなゴミの低俗な令嬢は一生領地から出ないのが皆の為になるでしょう」
「まぁまぁ、毒づくなぁ…」
ははは、ドーンの殺気がビンビン感じる。ここは戦場じゃないよ?
「それより、席を外して申し訳ございませんでした。私の失態です」
「大袈裟な… ああ言うのはどの道スキを突いてやって来るものよ。ドーンのせいじゃないわ」
「… はい」
「じゃぁ、着替えるわね」
「中に王城付きの侍女が居りますので手伝ってくれますよ」
「了解。着替える間に、総団長に話を通しておいてね。さっき会場でニヤニヤしてたから、大体は把握してると思うし」
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