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2章 王城と私
30 大事なもの
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パチン。
指が鳴る音が聞こえたと同時に、私は真っ白な空間に一瞬で馬乗りのポーズのまま移動した。
ん?
「ま、まさか女神様?」
「正解~!」
いつかの、あの真っ白い美しいオーフェリン様が『ドッキリです!』の看板を持ってそうな顔で近づいてくる。
「どうしてここに? そうだ! 石の雨!」
「そうよ~、呼ぶのが遅いわよ。あなたには私の加護があるんだから~」
「は? 呼ぶと来てくれるとか、知りませんでしたよ!!!」
「あれ? そうだっけ?」
「それより… 私ってまた死んじゃったんでしょうか?」
「いえ。今度はその前にこちらへ瞬間移動させたからまだ死んでませ~ん」
ほぉ~。思わず安堵のため息が出る。
「じゃ、じゃぁ、あっちの世界はどうなってるんですか?」
「あぁ、時間が停止したままよ。ほら」
と、女神様は床を指差すと、上空から見下ろす感じでさっきの現場が映し出された。
「へ~便利~! 全体が見れて分かりやすいですね。あ~、クルスがあんな所にいる。ちゃんと敵を捕まえたんだ~よかった。あれ? あれってトロイ様? ん? それよりあそこ! 女神様!」
私がドーンを指差す。
私を助けようと飛び出したのだろう、石の雨がドーンの頭上にも覆っていた。その後ろでユーキさんが両手をかざして石の雨に魔法攻撃をしているが一部しか払拭されていない。
「ん~? あ~、あの子は助からないわね。多分」
何でもないようにのほほんと返事をするオーフェリン様。
え? それだけ?
「いやいや、あの人、ドーンって言うんですけど、どうにか助けられませんか? 私の大事な部下なんです」
「部下? いいじゃない、部下の1人や2人~。仕事の内でしょう? それに無理よ~私の加護があるわけじゃないんだし。何で私が助けなきゃならないの?」
た、確かに。オーフェリンに助ける義理はないけど… ドーンだよ? だってあのドーンだよ?
「私を助けようとして死ぬなんて… しかも私は助かるんですよね?」
「まぁ、そうね~」
「だったら! ついでにどうにかして下さいよ~! お願いします! 何でもします!」
「ん~」
髪をクルクルし出した面倒臭そうな女神様に、私は必死でお願いする。土下座アンド土下座を繰り返す。
「そんなに重要人物なの?」
「えぇ、それはもちろん! 無くてはならない存在です!」
「え~、本当に? ヤダ~嫉妬しちゃうじゃない。恋人とか?」
こ、恋人!!!
「ち、違いますよ… こ、恋人なんて… ゴニョゴニョ。と、とにかく、私がこの世界で、騎士団で生き残れたのはドーンのおかげなんです!」
「はぁ~、私はね自分の加護を持ったラモンだけが助かればそれでいいんだけど? あんな子どうでもいい… そうだわ!」
「何でしょう! 何でもします! 何でも言って下さい!」
「その言葉ウソじゃないでしょうね? 後でやっぱり別のものに~とか無しよ?」
「はい!」
オーフェリン様はニタ~~と笑いドーンを指差す。
「よし、じゃぁあの子を助けてあげる。あとね~、2人同時に助けたとして、そこの何もない場所とかに移動させると無理があるじゃない? 不自然すぎる」
と、女神様は地上の石の雨が降らない広場を指差した。
「確かに」
「それだと私が干渉したとバレる可能性もあるわけよ。それは面倒臭いから勘弁して欲しいの。過去にね~ちょっとイラッとした事があってね、人間には私の存在は『おとぎ話』程度で留めておきたいのよ」
「はい。それで?」
「なので、この事件が起きる前。そうねぇ30分前に時間ごと巻き戻すわ。それでいい?」
お~!!! それなら何とかなるか。
「それって、私の記憶は残ってるんでしょうか? 本当は無い事になる30分間の記憶がないとまた同じ事しそうで…」
「ラモンの記憶はそのままよ。あとね、あの子、ドーン? だったかしら。そのドーンを助けるのに代償を頂きます」
「あ~、そうですね。私は何をすればいいのでしょう?」
「あはははは。あなたじゃないわよ。あなたには加護があるんだから~助けるのは無償よ。私からの愛よ」
「ん? じゃぁ誰が代償を? まさかドーンですか? 助けるのに?」
「そうよ。あの子はタダで助かるのよ? 代償が必要だわ。一番大事なものを頂こうかしら」
「はぁ? 大事なもの?」
何だ? 何だろう? ドーンにとって大事なものとか、勝手に… でも命には代えられない?
「いや… でも… 息子さんとか? 人とかダメですよ?」
「おバカ。人をどうこうしたら世界がおかしくなるでしょう? 別のもの。今、ドーンが大事にしているものよ。さっきあの子の中を覗いたら面白いものを見つけちゃって。ふふふ」
「何ですか? 本当に誰かが代わりに死ぬとかないですよね? ね?」
「はいはい。大丈夫。まっあっちの世界に戻ったら分かるわよ。ふふふ。あとでのおっ楽しみぃ~」
女神様は面白がっている。人差し指をクルクルしながらキャッキャとはしゃぐ。
「… 分かりました。命が助かるんです。文句を言ってはいけませんね。すみませんでした。そしてありがとうございます」
「ふふふ、いいのよ。次からは私の存在を忘れない事! ちょくちょくお話ししましょうね。ちゃんと呼ぶのよ? あと、ラモン。元々の世界に魔法がなかったからか、普段から魔法を使いなさすぎよ。せっかくギフトとしてあげたんだから活用してよ!」
「はい。すみません。光魔法って教会とか色々あってですね… いえ、何とかします」
「いい子ね。じゃぁ、次は間違わないようにね」
オーフェリン様が優しい笑顔で私の頭を撫でると、白い光に包まれて目が開けられない。
そっと目を開けると、私は王城のパーティー会場でレイリア様を慰めていた。
「~ございませんでした。あと、トリージア様のお名前は…」
あぁ、あのお嬢様方と言い合った後か。この時点ね。
「あ、あの~? ラモン様?」
「へ? あっ。ごめんなさい。聞かなかった事にするから、大丈夫よ」
「すみません、すみません」
「いいの」
レイリア様は泣きながら人ごみの中に消えて行く。
さぁ、どうするか。ここで私は好奇心に負けてクルスと探しに行くんだよね。
でも、まずは、ドーンだ!
「クルス、罠だと思うし総団長に報告するわ。ドーンもさっき一緒に居るって言ったわよね? 行きましょう」
「しかし、アレク様がここに居ろと」
「同じ会場内よ。報告したら戻るから、つべこべ言わずにさぁ、行くわよ」
私は立ち上がり痛む足でドーンを探す。クルスはため息を吐きながら私を支える為エスコートをしてくれた。
「ありがとう」
「あぁ、こっちだ」
人ごみをかき分けて総団長の集団まで辿り着いた。ちょっと様子がおかしい。ザワザワしている。
「おい、大丈夫か? 医者を呼ぶか?」
総団長がドーンの背中を支えながら呼びかけているが、ドーンは考える感じで手を当て目がキョロキョロ彷徨っている。
女神様!
何したんだろう? あんなに焦ってしまって。
「あの~、どうかしましたか? ドーン?」
「あぁラモンか。さっきからドーンのやつ急に話さなくなったと思ったらこの通り。下を向いたまま挙動不審なんだ」
総団長は本当に心配なんだろう。親友だもんね。
「ドーン? 大丈夫?」
私は総団長とは反対側からそっと背中をさする。
ハッとしたドーンがこちらを向いて私の手を軽く払い除けた。
「失礼。どちら様でしょう? 私に触れないで頂きたい」
!!!
マジで?
指が鳴る音が聞こえたと同時に、私は真っ白な空間に一瞬で馬乗りのポーズのまま移動した。
ん?
「ま、まさか女神様?」
「正解~!」
いつかの、あの真っ白い美しいオーフェリン様が『ドッキリです!』の看板を持ってそうな顔で近づいてくる。
「どうしてここに? そうだ! 石の雨!」
「そうよ~、呼ぶのが遅いわよ。あなたには私の加護があるんだから~」
「は? 呼ぶと来てくれるとか、知りませんでしたよ!!!」
「あれ? そうだっけ?」
「それより… 私ってまた死んじゃったんでしょうか?」
「いえ。今度はその前にこちらへ瞬間移動させたからまだ死んでませ~ん」
ほぉ~。思わず安堵のため息が出る。
「じゃ、じゃぁ、あっちの世界はどうなってるんですか?」
「あぁ、時間が停止したままよ。ほら」
と、女神様は床を指差すと、上空から見下ろす感じでさっきの現場が映し出された。
「へ~便利~! 全体が見れて分かりやすいですね。あ~、クルスがあんな所にいる。ちゃんと敵を捕まえたんだ~よかった。あれ? あれってトロイ様? ん? それよりあそこ! 女神様!」
私がドーンを指差す。
私を助けようと飛び出したのだろう、石の雨がドーンの頭上にも覆っていた。その後ろでユーキさんが両手をかざして石の雨に魔法攻撃をしているが一部しか払拭されていない。
「ん~? あ~、あの子は助からないわね。多分」
何でもないようにのほほんと返事をするオーフェリン様。
え? それだけ?
「いやいや、あの人、ドーンって言うんですけど、どうにか助けられませんか? 私の大事な部下なんです」
「部下? いいじゃない、部下の1人や2人~。仕事の内でしょう? それに無理よ~私の加護があるわけじゃないんだし。何で私が助けなきゃならないの?」
た、確かに。オーフェリンに助ける義理はないけど… ドーンだよ? だってあのドーンだよ?
「私を助けようとして死ぬなんて… しかも私は助かるんですよね?」
「まぁ、そうね~」
「だったら! ついでにどうにかして下さいよ~! お願いします! 何でもします!」
「ん~」
髪をクルクルし出した面倒臭そうな女神様に、私は必死でお願いする。土下座アンド土下座を繰り返す。
「そんなに重要人物なの?」
「えぇ、それはもちろん! 無くてはならない存在です!」
「え~、本当に? ヤダ~嫉妬しちゃうじゃない。恋人とか?」
こ、恋人!!!
「ち、違いますよ… こ、恋人なんて… ゴニョゴニョ。と、とにかく、私がこの世界で、騎士団で生き残れたのはドーンのおかげなんです!」
「はぁ~、私はね自分の加護を持ったラモンだけが助かればそれでいいんだけど? あんな子どうでもいい… そうだわ!」
「何でしょう! 何でもします! 何でも言って下さい!」
「その言葉ウソじゃないでしょうね? 後でやっぱり別のものに~とか無しよ?」
「はい!」
オーフェリン様はニタ~~と笑いドーンを指差す。
「よし、じゃぁあの子を助けてあげる。あとね~、2人同時に助けたとして、そこの何もない場所とかに移動させると無理があるじゃない? 不自然すぎる」
と、女神様は地上の石の雨が降らない広場を指差した。
「確かに」
「それだと私が干渉したとバレる可能性もあるわけよ。それは面倒臭いから勘弁して欲しいの。過去にね~ちょっとイラッとした事があってね、人間には私の存在は『おとぎ話』程度で留めておきたいのよ」
「はい。それで?」
「なので、この事件が起きる前。そうねぇ30分前に時間ごと巻き戻すわ。それでいい?」
お~!!! それなら何とかなるか。
「それって、私の記憶は残ってるんでしょうか? 本当は無い事になる30分間の記憶がないとまた同じ事しそうで…」
「ラモンの記憶はそのままよ。あとね、あの子、ドーン? だったかしら。そのドーンを助けるのに代償を頂きます」
「あ~、そうですね。私は何をすればいいのでしょう?」
「あはははは。あなたじゃないわよ。あなたには加護があるんだから~助けるのは無償よ。私からの愛よ」
「ん? じゃぁ誰が代償を? まさかドーンですか? 助けるのに?」
「そうよ。あの子はタダで助かるのよ? 代償が必要だわ。一番大事なものを頂こうかしら」
「はぁ? 大事なもの?」
何だ? 何だろう? ドーンにとって大事なものとか、勝手に… でも命には代えられない?
「いや… でも… 息子さんとか? 人とかダメですよ?」
「おバカ。人をどうこうしたら世界がおかしくなるでしょう? 別のもの。今、ドーンが大事にしているものよ。さっきあの子の中を覗いたら面白いものを見つけちゃって。ふふふ」
「何ですか? 本当に誰かが代わりに死ぬとかないですよね? ね?」
「はいはい。大丈夫。まっあっちの世界に戻ったら分かるわよ。ふふふ。あとでのおっ楽しみぃ~」
女神様は面白がっている。人差し指をクルクルしながらキャッキャとはしゃぐ。
「… 分かりました。命が助かるんです。文句を言ってはいけませんね。すみませんでした。そしてありがとうございます」
「ふふふ、いいのよ。次からは私の存在を忘れない事! ちょくちょくお話ししましょうね。ちゃんと呼ぶのよ? あと、ラモン。元々の世界に魔法がなかったからか、普段から魔法を使いなさすぎよ。せっかくギフトとしてあげたんだから活用してよ!」
「はい。すみません。光魔法って教会とか色々あってですね… いえ、何とかします」
「いい子ね。じゃぁ、次は間違わないようにね」
オーフェリン様が優しい笑顔で私の頭を撫でると、白い光に包まれて目が開けられない。
そっと目を開けると、私は王城のパーティー会場でレイリア様を慰めていた。
「~ございませんでした。あと、トリージア様のお名前は…」
あぁ、あのお嬢様方と言い合った後か。この時点ね。
「あ、あの~? ラモン様?」
「へ? あっ。ごめんなさい。聞かなかった事にするから、大丈夫よ」
「すみません、すみません」
「いいの」
レイリア様は泣きながら人ごみの中に消えて行く。
さぁ、どうするか。ここで私は好奇心に負けてクルスと探しに行くんだよね。
でも、まずは、ドーンだ!
「クルス、罠だと思うし総団長に報告するわ。ドーンもさっき一緒に居るって言ったわよね? 行きましょう」
「しかし、アレク様がここに居ろと」
「同じ会場内よ。報告したら戻るから、つべこべ言わずにさぁ、行くわよ」
私は立ち上がり痛む足でドーンを探す。クルスはため息を吐きながら私を支える為エスコートをしてくれた。
「ありがとう」
「あぁ、こっちだ」
人ごみをかき分けて総団長の集団まで辿り着いた。ちょっと様子がおかしい。ザワザワしている。
「おい、大丈夫か? 医者を呼ぶか?」
総団長がドーンの背中を支えながら呼びかけているが、ドーンは考える感じで手を当て目がキョロキョロ彷徨っている。
女神様!
何したんだろう? あんなに焦ってしまって。
「あの~、どうかしましたか? ドーン?」
「あぁラモンか。さっきからドーンのやつ急に話さなくなったと思ったらこの通り。下を向いたまま挙動不審なんだ」
総団長は本当に心配なんだろう。親友だもんね。
「ドーン? 大丈夫?」
私は総団長とは反対側からそっと背中をさする。
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!!!
マジで?
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