僕と(私と)君と

羅糸

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一章幼馴染みとすれ違いと

一話

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 ピピピピ!ピピピピ!
  
 目覚まし時計の音が耳に響き渡る。その音を聞き目が覚めた少年は、手を伸ばし鳴り響く目覚まし時計を止め時間を見る。
 
 時刻は午前七時十分
 
 おかしい。少年は、いつも七時四十分に目覚ましを掛けていたはずだった。
 時計の針は変わらず、一定のはやさで進んでいく。故障してるわけではないはずだ。
 
 となれば誰かが時計を弄ったのだろうか。
 その考えが頭によぎったとき、彼は誰がやったのかすぐにわかった。あいつしかいないだろうと
 
 答えが分かりほっとした少年は、また布団にくるまり、二度寝をしようとする。なぜか目覚ましをかけずに 
 
 するとそれを見通してか否か、部屋の扉がおもいっきり開く音がした
 
「起きてるよね、悠」
 
 二度寝しようとしていた少年に向けて、やってきた一人の女の子が話しかける。悠と呼ばれた彼、山下悠大(やましたゆうた)は女の子の方を見た。
 赤茶色の髪を胸の辺りまでまで伸ばし、制服を着た黒い瞳の少女。間違いなく、彼女が目覚ましを弄ったのだと悠大は確信した。

「お、おはよう綾」
 
 さっきからムッとした表情で、こちらを見ていた彼女に悠大はご機嫌を取るかのように、恐る恐る話す。きっと二度寝をする事を予想していたのだろう
 
「うん、おはよ。朝御飯出来てるから早く着替えて来てね」
 
 それだけ言うと彼女はドアを閉め去っていった。まったく、お節介だ
 
 彼女は幼馴染みの涼風綾楓(すずかぜあやか)
 家が近いこともあり幼い頃から一緒にいることが多かった。そのため高校生になっても悠大と彼女は仲が良かった。
 
 ただ綾楓は少し世話焼きな性格だった。それが良いときもあれば悪いときもあり指摘しずらい
 
 今日来たのも、悠大の両親が出張で今日から一週間不在なため、代わりに家事をやってくれる事になっていた
 それ自体は大変ありがたいことではあるが、もう少し寝かせてほしいと思った。とはいえ来たときにすぐには起こさず寝かしてくれたのは、彼女なりの優しさだろうか
 
 悠大は複雑な気持ちでかけてあった制服を手に取り着替えることにした
 
 着替えを終え一階に降りると、テーブルに朝食が置かれ綾楓が座って待っていた
 
「ほらはやく食べよ」
「別に待たなくていいっていつも言ってるだろ」
「ダメ、ご飯はちゃんとみんなで食べなくちゃ」
 
 律儀な性格だなぁと思い悠大は椅子を引き腰を下ろす
 テーブルにはご飯に味噌汁、焼き魚とごく一般的な朝食が置かれている
 
 いつもは、もう少し遅い時間に起きるのもあり、手軽にはやく食べれるパン派だが、それを言ったとき私はご飯派なのと強く言われたためそれ以降反論はしなかった
 まぁたまにはこれもいいだろう、時間にも余裕があるし
  
「いただきます」
「いただきます」
 
 綾楓が手を合わせそう言うと悠大も同じく繰り返す
 その後箸を手に取り悠大は朝食を食べはじめる
 綾楓はよくこうやって作ってくれたり、自分の家でも家事を手伝っているらしく料理の腕前は人並み以上だった
 
「ごちそうさま」
「お粗末様でした」 
 
 朝食を食べ終えた二人は、自分が食べた食器を片付ける
 その後戸締まりをしたかを確認してから外へ出る
 
「さっ、行こ」
 
 先に家から出た綾楓は、両手で鞄を前に持ちこちらを振り向く。悠大は家の鍵を閉めてから綾楓の方へ向かう
 二人は学校へと歩き出す
 
「今日から私たち二年生ね」 
 
 歩きながら綾楓は言う
 そう、今日から新学期。高校二年生になる。かと言ってなにかが変わるとは思っていなかった
 強いて言うならばクラス替えがあることだろうか
 
「一緒のクラスだといいね」 
「別に一緒のクラスにならなくてもいいだろ」
 
 そうじゃなくても顔を会わせる機会は多いのだから
 
「だってずっとクラス違かったでしょ。そろそろなってもいいんじゃないかなって」
「まぁそれもそうだな」
 
 確かに綾楓の言う通りだった
 小中高とずっとおなじ学年、おなじ学校だったが一クラスしかなかった小学校はともかく中学校からはおなじクラスになった事はなかった
 これは神様の悪戯なのかたまたまなのかは分からないが
 
 一緒のクラスになりたいという気持ちは確かにあった
 
 歩いて十数分、二人は学校の校門までやってきた
 校門にある石で出来た看板には海王高等学校と書かれている
 
 特にこれといった特徴はなく単純に偏差値と家から近い、それだけで決めた普通の学校だ
 校門を進み学校内に入ると掲示板に人だかりが出来てることに気づく
 皆掲示板に貼ってあるクラス替えの大きな紙を見ていた
 
「うわ、めんどいな」
 
 この人だかりの中掲示板を見るのは難しい
 
「私が見てこようか」
 
 悠大のめんどくさそうな表情を見てなのか、綾楓は自分のを見るついでに見てこようかと提案をする
 
「いやいい、俺が行ってくるわ」
 
 めんどくさいが流石にあの人だかりの中を女の子に任せるのは恥ずかった
 
「じゃ、頑張って」
 
 綾楓は応援する形でその場で待ち、悠大は掲示板を見るために、人だかりの中へ入っていった
 人だかりの中は窮屈で狭かった。やっとの事で掲示板の内容が見えるところまで前進すると、悠大は紙をみる
 2年のところを一組二組と見ていく。すると三組に涼風綾楓と書かれた名前があった。次は自分の名前を探す
 それはすぐに見つかった。というより近くにあった。そう、綾楓とおなじ三組であった
 それさえわかればどうでもいい、と悠大はすぐさまその場を離脱した
 
「どうだった?」
 
ずっと待っていたであろう彼女は言う
 
「俺もお前も三組だってさ」
「そっか、やったね」
 
 綾楓はにっこりと微笑む。幼馴染みとして彼女の笑顔は何度も見てきたがそれでもいつ見ても可愛らしいと思った

 その後、眠くなるほど退屈な始業式をやりそれを終えてからは教室に行きクラスでの自己紹介、委員会決めがあった。
 昼休みや休み時間一年のときとおなじクラスメイトや新しいクラスメイトともコミュニケーションを取った。だが何故か綾楓は全く話しかけて来ない
 中学校以降クラスが一緒の時がなかったのもあって学校では話すことがほとんど無かったのもあるがおなじクラスでもほとんど会話がないのが疑問に思えた 
 午後になり、今日は早めに帰れるかなと思っていたが予想してなかった小テストがあり結局いつもと同じ時間の帰りになっていた
 
「終わった終わったー」
 
 悠大は疲れた身体をほぐすために背伸びをする
 テストの出来はそこそこといったところだろうか、そこまでいい点ではないとは思うが悪い点でもないはずだ
 一息つくと悠大は教室内を見渡す。急いで帰る生徒、新しいクラスメイトとの会話を楽しむ生徒等よくある光景を目にする。
 だがそれを見るために見渡したわけではない。ある人物を探していた
 見渡す限りいないようだ。先に帰ったのかなと思い昇降口へ向かう
 
 昇降口に向かうとそこには探してた人物がいた。ちょうど下駄箱で靴を履き替えるところだった
 
「綾」
「悠!?」

 悠大が先程まで探していた人物、綾楓を見つけ話しかけると綾楓はびっくりした表情を見せた
 
「ど、どうしたの……」
「いや、一緒に帰ろうかと思ってさ」
 
 探していた理由はこれだった。せっかく一緒のクラスになったのにほとんど会話がなかったのは寂しい。せめて一緒に帰ろうかと思った

 だが期待とは裏腹に綾楓は予想外の言葉を口にした
 
「ごめん……ちょっと私用事あるから」
 
 それだけ言って綾楓は背を向けすぐさま悠大の元へ離れていく
 背を向ける前に見た綾楓の表情はどこか寂しそうな切なそうな顔をしていた
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