ご令嬢は天才外科医から全力で逃げたい。

館花陽月

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恋は混戦模様。

はじまる新しい関係③

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そっと耳朶を食まれて、ビクリと身体が震えた。

私は睨みながら、目の前の彼を少し遠ざける。

「・・二条先生は、全てが規格外過ぎて上手くやっていけるか自信がないです!」

「二条先生じゃなくて、慧って名前で呼んでくれないか?
これからはずっと、一緒に暮らすんだからな。」

慧の揺れる瞳に私が映し出されていた。

不安そうに、でも明らかに嫌そうじゃない表情の私が。

頬に触れた慧の手は熱かった。

バスローブ姿で、まだ少し水気の残るその髪も美しい大きな切れ長の目で見つめられるとドキドキした。

「美桜・・。君の瞳の色は不思議だ、金色にも、焦げ茶色にも赤にも見える。」

私の瞳をじっと見つめたままゆっくりと近づいて唇を重ねた。

角度を変えて次第に激しくなる口づけは、歯列をなぞる様に舌が入り込んで深くなっていく。

私は脳みそが溶けてしまうかのように何も考えられなくなっていた。

呼吸が出来なくなって酸素を求めて離すと慧が切なそうにこちらを見つめる。

「ああっ・・・。あの、に・・二条せんせい・・。」

すぐに再開される唇を奪う仕草に翻弄されていく。

不安そうに見上げる私の瞼にも口づけた。

「もう・・無理。止められない・・。」

頭をしっかりと離さないように支えた慧の仕掛ける激しいキスに、私は身体を支えられなくなっていく。

ずるっと体がよろめいて、咄嗟に抱き留めた慧が頬をバラ色に染めて、涙目になった私を上から見上げた慧が真っ赤になる。

「美桜・・。その目は駄目だ。」

「私もダメです・・。これ以上・・キスされたら、心臓がもたない。死んでしまいます・・。」

蕩けるように身体に力をなくして頽れた。

「可愛いね。キス以上の事を今からするけど何回死ぬのかな?死んだら蘇生はプロだから大丈夫だ・・。」

「なんですか・ それっ。たしかに・・心配蘇生は得意そう。仮死なんて嫌ですよ・んんっ・・。」

ぐったりとした私の頬を撫でながら嬉しそうに微笑んだ慧は、姿勢すら保てなくなった私をそっと持ち上げてリビングの隣の部屋へとゆっくり運んだ。

白い壁紙と、高い天井の部屋の真ん中にあるベッドへとそっと下された。

フワフワで弾力のあるベッドの寝心地に驚いた。

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