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異世界。
国境の町「レインディア」。②
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「・・・エレクトラ!!!ごめんなさいね!!
エレクトラまで、こんな危険な旅に巻き込んでしまって。助かる!!
・・・一応、掛け直してもらっても良い??」
エレクトラには、医魔術の指導と、私の病気の治療の為に無理を押して
同行してくれたのだった。
もちろん、彼女も魔術師団の精鋭だし。
魔術も、医魔術も可能なスペシャリスト枠での抜擢だった。
この配慮は、あの「短気団長」アルベルトのお陰なのよね・・一応、感謝しなくちゃね。
うんうん。と、自分で納得して頷いていた私の横では、クレイドルが急にブハッと噴き出した。
「・・おい!!今また、短気団長って言わなかったか?」
「地獄耳ですか!?・・・怖っ。こんなに距離感を取って思ったのに。
やっぱり、地獄耳短気団長・・・。」
「あのなぁ。お前は、普通に人の名を呼べないのか!?」
「・・・呼べますけど?でも、わたしは敢えて呼びません!!」
「何なんだ!!!普通にアルベルトでいいって言ってるだろう?
・・ほら、言ってみろよ。」
「・・・・地獄耳・・。似非短気団長・・・?」
ブチンと切れたアルベルトは、走り出して私を追いかけて来た。
「お前、ワザと言ってるだろう!?何の恨みがあるんだよっ。」
「ルナ様の作ったクッキー何枚食べたんですか!?・・恨みしかありませんよ!!」
「小さい女だな!!食い意地が張りすぎなんだよ、お前は!!!」
「すみません、・・・私、素直に育ったもので!!一生恨みます!!」
笑いながら走る私を、本気でブチ切れたアルベルトが追う。
その様子をアレクシスとクレイドルが腹を抱えて笑っていた。
ノアは、その様子をチラッと見ると切なそうに美月を見つめた。
「楽しそうだな・・。私の知らない美月ばかり目にする・・。」
「ノア様?先ほどお聞きした話が事実だとすれば・・。8年間も離れて過ごしていたのでは
変わられても何ら不思議はありません。ノア様だって、大分変られましたよ?」
「そうだな・・。何も知らない純粋な頃の自分など、消え去ったかのように・・。」
エストラの言葉に、少しだけ眉を顰め赤い瞳を天へを向けた。
その言葉の意味をよく知るエストラは、ノアの横顔を悲しそうに見上げた。
クッキーの恨みが怖いので、美月にアイスを買い与えて平穏を得たアルベルトは
ノアと共に、馬車で地図を広げてこれからの旅路の行き方についての相談を行った。
砂漠の国の装備も、この町で買い揃え白い民族衣装に身を包み金色の髪はターバンで隠した
アルベルトは慣れない仕草で馬車の椅子へと腰を降ろした。
「ノア殿下・・。ここから首都までは、あと5日ほどかかるようですが・・。
あまりに敵の攻撃が多く、寛げませんね。ルートを主要のルートから変えて、後追いが
難しいルートを取れませんか?」
「この国境からはアルベルディア領になります。・・途中は砂漠も通りますし、過酷を極めます。
殿下の仰る通り、刺客も多く落ち着きません。
今回、この国にお呼びした理由には、アルベルディアの首都「アリアドネス」へのご招待と・・。
もう1つ理由がございます。砂漠地帯を通る前に、山間の町「デルメ」へとお寄りになって
この国の現状を見て頂きたく思います。」
「「デルメ」?・・そこには、何が?」
ノアの赤い瞳は、苦痛に歪んだ。
美しく神々しい容姿がより一層儚く揺れた。
「この国がひっ迫した原因が、いち早く発生した町です・・。シェンブルグやルーベリアの国力増強
と共に我が国に齎された「毒」が、そこに在ります。」
「・・「毒」だと!?そんな・・・。私たちはその存在を聞いたこともない・・。」
アルベルトの大きな青い瞳が激しく揺れた。
美月と、クレイドル、アレクシスは顔を見合わせて戸惑いの表情を浮かべてノアを見る。
エレクトラまで、こんな危険な旅に巻き込んでしまって。助かる!!
・・・一応、掛け直してもらっても良い??」
エレクトラには、医魔術の指導と、私の病気の治療の為に無理を押して
同行してくれたのだった。
もちろん、彼女も魔術師団の精鋭だし。
魔術も、医魔術も可能なスペシャリスト枠での抜擢だった。
この配慮は、あの「短気団長」アルベルトのお陰なのよね・・一応、感謝しなくちゃね。
うんうん。と、自分で納得して頷いていた私の横では、クレイドルが急にブハッと噴き出した。
「・・おい!!今また、短気団長って言わなかったか?」
「地獄耳ですか!?・・・怖っ。こんなに距離感を取って思ったのに。
やっぱり、地獄耳短気団長・・・。」
「あのなぁ。お前は、普通に人の名を呼べないのか!?」
「・・・呼べますけど?でも、わたしは敢えて呼びません!!」
「何なんだ!!!普通にアルベルトでいいって言ってるだろう?
・・ほら、言ってみろよ。」
「・・・・地獄耳・・。似非短気団長・・・?」
ブチンと切れたアルベルトは、走り出して私を追いかけて来た。
「お前、ワザと言ってるだろう!?何の恨みがあるんだよっ。」
「ルナ様の作ったクッキー何枚食べたんですか!?・・恨みしかありませんよ!!」
「小さい女だな!!食い意地が張りすぎなんだよ、お前は!!!」
「すみません、・・・私、素直に育ったもので!!一生恨みます!!」
笑いながら走る私を、本気でブチ切れたアルベルトが追う。
その様子をアレクシスとクレイドルが腹を抱えて笑っていた。
ノアは、その様子をチラッと見ると切なそうに美月を見つめた。
「楽しそうだな・・。私の知らない美月ばかり目にする・・。」
「ノア様?先ほどお聞きした話が事実だとすれば・・。8年間も離れて過ごしていたのでは
変わられても何ら不思議はありません。ノア様だって、大分変られましたよ?」
「そうだな・・。何も知らない純粋な頃の自分など、消え去ったかのように・・。」
エストラの言葉に、少しだけ眉を顰め赤い瞳を天へを向けた。
その言葉の意味をよく知るエストラは、ノアの横顔を悲しそうに見上げた。
クッキーの恨みが怖いので、美月にアイスを買い与えて平穏を得たアルベルトは
ノアと共に、馬車で地図を広げてこれからの旅路の行き方についての相談を行った。
砂漠の国の装備も、この町で買い揃え白い民族衣装に身を包み金色の髪はターバンで隠した
アルベルトは慣れない仕草で馬車の椅子へと腰を降ろした。
「ノア殿下・・。ここから首都までは、あと5日ほどかかるようですが・・。
あまりに敵の攻撃が多く、寛げませんね。ルートを主要のルートから変えて、後追いが
難しいルートを取れませんか?」
「この国境からはアルベルディア領になります。・・途中は砂漠も通りますし、過酷を極めます。
殿下の仰る通り、刺客も多く落ち着きません。
今回、この国にお呼びした理由には、アルベルディアの首都「アリアドネス」へのご招待と・・。
もう1つ理由がございます。砂漠地帯を通る前に、山間の町「デルメ」へとお寄りになって
この国の現状を見て頂きたく思います。」
「「デルメ」?・・そこには、何が?」
ノアの赤い瞳は、苦痛に歪んだ。
美しく神々しい容姿がより一層儚く揺れた。
「この国がひっ迫した原因が、いち早く発生した町です・・。シェンブルグやルーベリアの国力増強
と共に我が国に齎された「毒」が、そこに在ります。」
「・・「毒」だと!?そんな・・・。私たちはその存在を聞いたこともない・・。」
アルベルトの大きな青い瞳が激しく揺れた。
美月と、クレイドル、アレクシスは顔を見合わせて戸惑いの表情を浮かべてノアを見る。
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