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異世界。
失墜のアルベルト②
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不安気に歪められた表情と、パジャマ姿の彼は私の姿を捉えた。
「美月・・!!!・・大丈夫!?助けに来たよ!!」
「藤君!?・・・藤君・・。嘘・・。助かったの・・??」
ライトが無数に照らされて、サングラスの男が逃げ惑う様子が見られた。
藤君は、私の元へとゆっくりと歩いて来て抱きしめた。
「美月!?・・・大丈夫?めちゃくちゃ心配したんだよ・・!!」
私の涙を拭って、頬を両手で挟むとそっと口づけをする。
「えっ・・!?なに・・。何で!?」
動揺した私は、目を大きく見開いて藤君を見た。
色々な事に付いていけずに、目を白黒させながら頬を赤らめた。
「王子様のように、助けたかったんだ。大好きな君を・・。無事で良かった!!」
そう言って、私の背に腕を回して抱きしめた。
心臓がドキドキと早打ちをしている鼓動が聞こえるくらい、私は彼への気持ちを噛みしめた。
「有難う・・。助けに来てくれたのが、藤君で嬉しいよ。」
優しく細められた瞳を見つめて、私はホッとした表情を浮かべた。
「美月・・。美月!?無事か???」
スーツ姿の父と、白衣姿の母が走りこんで来て抱きしめる。
藤君は、泣いている私の頭をそっと優しくなでた。
後ろで騒がしい音が聞こえる。
叫び声と、怒鳴り声・・・。
警察に連行されていった男の正体については、誰も教えてくれなかった・・。
母に聞いても、父に聞いても難しい顔をするばかりだった。
その日から、藤君は晴れて父と母の公認のお付き合いをすることになった。
そして私は、その日から男性が近づくと拒絶反応を起こして倒れることになり・・。
・・・普通の女子中学生としての日常を失った。
思い出すだけでも、ゾクリと身体が震える恐怖の刻印のような記憶。
日常を奪った憎い男・・。
私の額に冷たい汗が光った。
「・・・まさか。貴方が、・・あの時の、・・犯人だったの・・?」
震える唇で、後ろから抱きしめたエストラを振り返る。
暗闇の中で、ニヤッと不気味に口角を上げたエストラの表情が全てを物語っていた。
カタカタと震える体の拒絶と、今すぐにでも意識を手放したいくらいの寒気と吐き気が
私の体を支配していた。
「美月を離せ・・!!!
どうしてお前がこの世界にいるんだ・・??
・・・離れろよ!!!すぐにその手を離せ・・・!!」
アルベルトが、エストラに襲い掛かろうとするとアルベルトの足をさっきの土下座男が
掴んだ。
あっ・・。
忘れてた・・!!!
「ア・・アルベルト・・・!!危ないっ。」
青ざめたアルベルトを見た、土下座男はもう片方の手から丸い物を取り出した。
「・・なんだ!?」
アルベルトの足を掴んで、ニヤッと笑った男は次の瞬間にピカッと光る物を地面へと放った。
「いやぁぁぁあああああ・・・!!!」
・・・ドゥオォォン。
その場で閃光が放たれて、火薬の嫌な臭いが地面からふわりと立ち込めた。
大きな煙がモクモクと沸き立ち、前が見えない・・。
私は、顔色を失くしてふらりと力が抜けてその場に立っていられなかった。
不安で不安で仕方がない・・。
「あの距離では助かるまい・・。残念だったな・・。
命までは取るつもりはなかったのだが・・。
・・・惜しい事をしたな。」
呆然とした私は、違う恐怖に支配されてパニックになっていた。
アルベルトが・・。
まさか、敵の自爆に巻き込まれたの??
「そんな・・。なんでよ!?アルベルトーーーっ!!!!」
静かに煙だけがもくもくと視界を覆う中・・。
涙を流して叫んだ瞬間に、煙の中から大きな手が私を掴んで引き寄せられた。
「きゃぁああぁああぁ!!!なんっ・・。何っ!?」
怯んだ隙を狙って、アルベルトが私を奪い返して、抱きかかえた。
気が付くと、アルベルトの固い胸が目の前にあった。
自分の状況に付いていけない・・・。
私は、色んな男に荷物のように受け渡しされている気がするんだけど・・。
「・・・お前!?まさか今の爆発を至近距離で食らって・・・。生きているのか??」
「ああ・・・。すぐに強化シールドを一体に張ったからな・・。残念だが、美月は返してもらう・・。」
驚いて唖然とした表情のエストラに、アルベルトはニヤッと笑って氷の礫を無数に向けて放った。
「・・・う、うう・・わぁっ。」
油断しているエストラは、固まりこそしなかったが視界が見えない程の氷に足を取られていた。
ピィーーーッと口笛を鳴らすと、空を飛ぶ白い馬が駆けつける。
「乗れ。・・・ここを離れる!!急げ、美月!!」
「ええぇっ!!!・・・の、乗る!!」
初ペガサスに跨る。
私の後ろには、アルベルトが慣れた様子で跨った。
もう・・。破れかぶれだわ・・。
私を掴んで、その馬(ペガサス)の手綱を力強く引いた。
ふわっと、Uターンをしたペガサスは物凄いスピードで銀色の月の方へと翼を大きく動かし
夜空を駆けて行く。
「・・・くっ。・・・そうは行くか!!!!」
エストラは、遠くみえなくなったアルベルトの背中へと漆黒の魔弾を放った。
振り切っても、突き刺さるまで止まらぬ闇の魔術が施されたその魔弾は漆黒の光に
淡く輝きを放ち闇夜を切り裂くように物凄いスピードで飛んでいく。
美月の後から、しっかりと手綱を握っていたアルベルトの背中を突き刺した。
「美月・・!!!・・大丈夫!?助けに来たよ!!」
「藤君!?・・・藤君・・。嘘・・。助かったの・・??」
ライトが無数に照らされて、サングラスの男が逃げ惑う様子が見られた。
藤君は、私の元へとゆっくりと歩いて来て抱きしめた。
「美月!?・・・大丈夫?めちゃくちゃ心配したんだよ・・!!」
私の涙を拭って、頬を両手で挟むとそっと口づけをする。
「えっ・・!?なに・・。何で!?」
動揺した私は、目を大きく見開いて藤君を見た。
色々な事に付いていけずに、目を白黒させながら頬を赤らめた。
「王子様のように、助けたかったんだ。大好きな君を・・。無事で良かった!!」
そう言って、私の背に腕を回して抱きしめた。
心臓がドキドキと早打ちをしている鼓動が聞こえるくらい、私は彼への気持ちを噛みしめた。
「有難う・・。助けに来てくれたのが、藤君で嬉しいよ。」
優しく細められた瞳を見つめて、私はホッとした表情を浮かべた。
「美月・・。美月!?無事か???」
スーツ姿の父と、白衣姿の母が走りこんで来て抱きしめる。
藤君は、泣いている私の頭をそっと優しくなでた。
後ろで騒がしい音が聞こえる。
叫び声と、怒鳴り声・・・。
警察に連行されていった男の正体については、誰も教えてくれなかった・・。
母に聞いても、父に聞いても難しい顔をするばかりだった。
その日から、藤君は晴れて父と母の公認のお付き合いをすることになった。
そして私は、その日から男性が近づくと拒絶反応を起こして倒れることになり・・。
・・・普通の女子中学生としての日常を失った。
思い出すだけでも、ゾクリと身体が震える恐怖の刻印のような記憶。
日常を奪った憎い男・・。
私の額に冷たい汗が光った。
「・・・まさか。貴方が、・・あの時の、・・犯人だったの・・?」
震える唇で、後ろから抱きしめたエストラを振り返る。
暗闇の中で、ニヤッと不気味に口角を上げたエストラの表情が全てを物語っていた。
カタカタと震える体の拒絶と、今すぐにでも意識を手放したいくらいの寒気と吐き気が
私の体を支配していた。
「美月を離せ・・!!!
どうしてお前がこの世界にいるんだ・・??
・・・離れろよ!!!すぐにその手を離せ・・・!!」
アルベルトが、エストラに襲い掛かろうとするとアルベルトの足をさっきの土下座男が
掴んだ。
あっ・・。
忘れてた・・!!!
「ア・・アルベルト・・・!!危ないっ。」
青ざめたアルベルトを見た、土下座男はもう片方の手から丸い物を取り出した。
「・・なんだ!?」
アルベルトの足を掴んで、ニヤッと笑った男は次の瞬間にピカッと光る物を地面へと放った。
「いやぁぁぁあああああ・・・!!!」
・・・ドゥオォォン。
その場で閃光が放たれて、火薬の嫌な臭いが地面からふわりと立ち込めた。
大きな煙がモクモクと沸き立ち、前が見えない・・。
私は、顔色を失くしてふらりと力が抜けてその場に立っていられなかった。
不安で不安で仕方がない・・。
「あの距離では助かるまい・・。残念だったな・・。
命までは取るつもりはなかったのだが・・。
・・・惜しい事をしたな。」
呆然とした私は、違う恐怖に支配されてパニックになっていた。
アルベルトが・・。
まさか、敵の自爆に巻き込まれたの??
「そんな・・。なんでよ!?アルベルトーーーっ!!!!」
静かに煙だけがもくもくと視界を覆う中・・。
涙を流して叫んだ瞬間に、煙の中から大きな手が私を掴んで引き寄せられた。
「きゃぁああぁああぁ!!!なんっ・・。何っ!?」
怯んだ隙を狙って、アルベルトが私を奪い返して、抱きかかえた。
気が付くと、アルベルトの固い胸が目の前にあった。
自分の状況に付いていけない・・・。
私は、色んな男に荷物のように受け渡しされている気がするんだけど・・。
「・・・お前!?まさか今の爆発を至近距離で食らって・・・。生きているのか??」
「ああ・・・。すぐに強化シールドを一体に張ったからな・・。残念だが、美月は返してもらう・・。」
驚いて唖然とした表情のエストラに、アルベルトはニヤッと笑って氷の礫を無数に向けて放った。
「・・・う、うう・・わぁっ。」
油断しているエストラは、固まりこそしなかったが視界が見えない程の氷に足を取られていた。
ピィーーーッと口笛を鳴らすと、空を飛ぶ白い馬が駆けつける。
「乗れ。・・・ここを離れる!!急げ、美月!!」
「ええぇっ!!!・・・の、乗る!!」
初ペガサスに跨る。
私の後ろには、アルベルトが慣れた様子で跨った。
もう・・。破れかぶれだわ・・。
私を掴んで、その馬(ペガサス)の手綱を力強く引いた。
ふわっと、Uターンをしたペガサスは物凄いスピードで銀色の月の方へと翼を大きく動かし
夜空を駆けて行く。
「・・・くっ。・・・そうは行くか!!!!」
エストラは、遠くみえなくなったアルベルトの背中へと漆黒の魔弾を放った。
振り切っても、突き刺さるまで止まらぬ闇の魔術が施されたその魔弾は漆黒の光に
淡く輝きを放ち闇夜を切り裂くように物凄いスピードで飛んでいく。
美月の後から、しっかりと手綱を握っていたアルベルトの背中を突き刺した。
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