二者択一で転生した令嬢は将来も選択したい

館花陽月

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高スペックなだけじゃ好きにならない。

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澄んだ青空と、優しそうな青い目が私の両目に写し出されてなんだか・・落ちつかなーい!


彼氏いたことあったっけ?
参考書代に使いたいからって、男の子からの映画の誘いも断ってたし、告白もしたことない。

恋愛スキル0の私が王子様然とした美形と至近距離で
ガツンて!!無理。
何この高スペック異世界王子様的なルックスは。。

混乱と一人ツッコミ中の私の背に手を貸して起こしてくれた彼は笑顔で笑った。

「ルナ。そんなに驚いてどうしたの?
今日は昼過ぎからルナの伯爵家にお邪魔する約束だったよね?
まさか庭で花畑に埋もれて眠り姫のように僕を待ってるとは思わなかったよ。
蝶の気持ちが分かった気がするよ。・・・君は紛れもなく可憐な花だったからね。
顎は、大丈夫?」

私の身体を支えようと手を差し出してくれた。

ぱしっ。
私はその親切を叩き落した。

「何なの?破廉恥よ!!キザよ!」

起き上がりながら、わなわな震える声で涙目で美形
に声を荒らげる。

「距離感が可笑しいです!
あの、そもそも、どなたか存じないお相手に助け起こしてもらう謂れはございません。」

ひどくビックリした様子で私を見つめた「美形・王子然の彼」は、私が喚き終わるまでは待ってる様子だった。

心地良い、風と驚いた様子でこちらを凝視する「美形・王子然の彼」。

何に驚愕をされているのか、情況把握出来ずにあせる私。

一体この美形はどなたでしょう?


「いくら高スペックな美形でも、TPOを弁えた行動ができなければ動物と一緒よ。
そんな相手を殺したいほど愛してしまう訳がないわ。
顎がぶつかる距離感を初対面のかたと近づくなんて不適切な対応だと思うわ。

貴方みたいに素敵な方と近距離で見つめあい顎がぶつかったらみんな恋してしまうわ。
私は簡単に恋だの愛だの落ちたり、落としたりしないわ。面倒だから私に近づかないで。」

現世でもこんな感じだった。

何でも素直・・・と言えば聞こえはいいが、素直すぎて言葉をオブラートに包むのが苦手で
仕事では気をつけているのに、関わる男性には絶対零度の塩対応と言われていた。

数秒間の間のあとに
暖かい日差しの当たる麗らかな原っぱには似つかわしくない、それはそれは冷んやりした声が返ってくる。

「・・・・それは、誉め言葉と受けとれば良いの?そして婚約者候補で幼なじみの僕を初対面だなんて。からかってるの?」

何も返せない私にとどめの一言。

「それとも君は僕を試してる?
忘れるような関係だとでも僕の目を見て言えるの?
 ねぇ、我が愛しのルナ=フェナルディ伯爵令嬢。
今の言葉は君を7歳の時分から知っている僕への冒涜ではないのかな?」


え?伯爵令嬢設定?

7歳からの知り合い?
そんで私の婚約者候補設定??


張り付いたような笑顔で固まった私と、少し挑戦的

に見下ろしてくる自称幼なじみで婚約者候補らしい

彼との緊迫したやり取りに頭がついていかず、私は

数秒間フリーズしてしまった。

早朝のTV放送で使用されている「しばらくお待ちください。」のテロップがあったら
ここで使いたい。

気まずい空間に居心地の悪さを感じた。

転生してきて、当初から着ていたドレスは、足元までの長さで動きがとりずらい。
ついでにスカートはあまりに久しぶりすぎて足がスースーする上に、ほぼ経験がない
編み上げブーツ姿でふらふらの状態でくるりとまわれ右をする。

きっと領地の中にあるあの大きな屋敷が私の家なんだろうから、、、頭がついていかないので
いっぺん休憩!!

そうだ、この場所から一時退避だ!!それしかない!!

大きく息を吸い込み

「・・・忘れました!すみません。」

金色の長い髪を振り乱し、ダッシュで屋敷へと走り出した。

月が出たら、ハチ公よりモヤイと叫びたい気分。猫先生ピンチ過ぎます。

転生したら高スペックな相手と会えても会話すらままならない。

そもそも恋愛偏差値0だし。

私、金髪の伯爵令嬢だし、婚約者候補いるし、幼なじみは美形すぎるし、顎が当たるくらいの
スキンシップ日常的、、ってキャパ越えてます!!

無理でした。
虹色の猫ちゃん、お願い!

た・す・け・てーー!!

屋敷に着いて振り返ると

彼は追っては来なかった。

少しほっとするも。屋敷の大きさに唖然。


部屋すら解らない私に、執事は驚きながら案内をしてくれた。

メイドはティセットと、アフタヌーンティのセットを二人分用意していた。

日差しが心地良い六角形の洒落た間取りのリビングへと案内され、ふかふかのベロア調の椅子に腰掛けた。


恐る恐る窓の外を見ると、彼はそこにいなかった。
メイドに聞くと、仕事を残しているので今日は邸に帰ると伝言をして帰ったらしい。

心配そうにメイドが壮年の執事に目配せをしてい
た。
ぼーっとして何も考えれなかった私は、メイドのいれてくれた柔らかい味のミルクティを口に含み、頭を整理する。


「お嬢様は「ミルクティが頭の整理には必要なの」といつも言っておりますから・・・。
先ほどよりも、少し落ち着かれた様子で安心致しました。もう一杯いかがですか?」

と、声をかけてくれた。

「ありがとう・・・。頂くわ。」

なるほど、根本的には似た部分もあるのかなと少し安心しながら目が覚めてからの顎ガツンを思いだし、悲しそうな、怒ったような自称幼なじみの言葉を思い出した。

よくわかんない。
だって、転生したら高スペックな美形と婚約者候補なんて私には分不相応だわ。

恋より、仕事したいのに。


紅茶にミルクがメイドによって足され、波紋が表面に広がっていく。

私の気持ちみたいだった。

そんなセンチに浸る情況がぶっ飛んでしまうのは
まったりお茶タイムから、三時間が過ぎたこの世界での兄に当たる人物が帰宅するタイミングからだった。


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