二者択一で転生した令嬢は将来も選択したい

館花陽月

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僕の幼なじみ。(0~8歳・アルベルト視点)

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僕の名前はアルベルト=エルフラン=ザッハ=ルーべリア。

5つの王国・公国・帝国に分かれるグレンハーデン大陸の中心にあり、肥沃な土地と、
広大な山脈では宝石や金が算出され、古来より豊かな経済を誇る。

大陸内でも商業の流通の中心地として世界へと続く道と称えられる、首都のエトナに王城を構え
王侯貴族と農民、商人たちが中心となって国を支えているルーべリア王国。

そのルーベリア王国を統べるグエンアーネルフェルト王と、その側室として召しあげられた筆頭公爵家
の長女アーネルから生まれた。

父には既に隣国から王妃として政略的に迎えられたバフィー王妃を擁していたが、父は幼い頃から望んでいた母を諦めきれずに強く望んで妃として迎え入れ寵愛した。

愛し合う二人の間に、召し入れて一年もしない間に僕はこの世に生を受けた。

父の優しい空色な目と、珍しい色見である赤みがかったストロベリーブロンドを引きついで生まれた。皆はアルベルト王子。と呼び大層可愛がられて育った。

宰相を勤める母の出身の筆頭公爵家から母の義姉テレーゼの嫡男であるカイザルが僕が生まれる2年前に生まれていたので、彼とは兄弟のように育てられた。
幼少期から一緒に育った彼は、アルベルトと似たように淡々と何でも苦もなくこなす優秀な少年だった。
口数は少なかったが、極々稀に見せる笑顔の破壊力は凄かった。

黒曜石のような漆黒の髪とアルベルトよりも色の濃い青いラピスラズリのような瞳を持つカイザル=エレンシュタットは自分の兄のような存在だった。


父の学生時代からの親友であり、近隣への留学先にまで付き添い、現在も優秀な語学力と輸入物を扱う商社を経営し近隣国とも友好を深め、外遊の際には常に6ヶ国語を自在に操リ外交手腕を握る建国からの名門伯爵家であるフェナルディ伯爵家の当主の息子はアルベルトの1歳上に生まれた。

サイラス=フェナルデイと名付けられた。
父王からのたっての願いで帝王学の師として語学や経済学の授業を担当していたライオネル=フェナルデイ伯爵に父は全幅の信頼を寄せていた。

2つ年上のカイザルと、1つ年上のサイラス。
僕は、物心がついた時からこの2人とはいつも一緒に過ごした。

また、フェナルデイ伯爵の元に生まれた、サイラスの妹姫。僕の1つ下に産まれた娘ルナ=フェナルデイの誕生を父は喜び、ルナへの城への登城も許可をしていた。

しかし、フェナルデイ伯爵は息子を毎日連れたっていたが娘のルナを連れてきたことは一度もなかった。

カイザルやサイラスはご学友として、学問や武術の英才教育も一緒に受けた。

フェナルデイ伯爵はそれはとても厳しくて、辛抱強いカイザルは鬼のようだと無表情で比喩し、サイラスに至っては、まるで虐待だ。ベタぼれの母に見せて幻滅されればいいのに。
と、ぶつぶつ呟いていた。僕は王子として文句は言えなかった。

そう、王子様とはそうあるべきであるから。
生まれた時から僕は王子なのだから。

同じ年にパフィー王妃の息子である弟が生まれ、常に比べられ周りには王子としての品格を持ち、将来王太子として任ぜられるであろう可愛い弟のサフィールを助けるために頑張っていた。

同じ城に暮らしていても、折り合いの悪いと噂の多い王妃と母、アーネルが滅多に顔を合わせないように僕とサフィールも年に数回の国を挙げての行事の機会に会うだけだった。

兄弟といっても互いが意識するように周りが声をかけていた。僕たちは・・・。いや少なくとも僕は
サフィールを大切な弟であり、将来の王太子として認めていた。


・・・周りが 気ずいている事実になど全く気ずかぬまま。



可愛い弟を助ける知識と強さを得て、この国の民さえ幸せに笑っていられれば自分も幸せだと疑うことはなく8歳まで弱音ひとつ吐かない王子様だった。

母はよくお茶会を王宮のバラ園で開催していて、僕やカイザル、サイラスを連れたって強制的(無理矢理)に参加を強いていた。

笑顔の母君は目が笑っておらず、逆らえない怖さがあるのだ。
この国の良家の子女や子息を呼び集め、華やかなお茶会を催していた。

王妃様はバラ園に寄り付かなかったので、このバラ園は母の王宮内での安心できる居場所だったようだ。

「アルベルトさま!!今度うちにいらしてください。うちのバラのお花も大層見頃なんですのよ。」


「メイシャン侯爵さまのバラ園よりも、うちのお庭のほうが広くて品種もたくさんありますの。
アルベルトさまは是非うちへいらしてくださいな。」

キャアキャアと黄色い声の真っ只中で、味のしないお茶を笑顔で受け流しながら嗜んでいた。

その日もいつもと変わらない昼下がり。
朝からの勉強と鍛練後の母上の罰ゲー、、いや催しの参加であったので、この耳障りなやり取りをいちいち聞かずにサイラスに目配せをする。


「ユーリア様はヘアスタイルを変えられましたね。巻き毛も美しかったですが、緩く三つ編みに花やリボンを編み込みまとめられたスタイルはつい触れてしまいたくなります。」

エメラルドの瞳で見つめられた令嬢は頬を赤く染め、サイラスにはにかみながら「サイラス様、そんな、、お恥ずかしいわ。」と上目遣いで見つめる。

サイラス。ナイス!!その調子!

いつもこちらを思ん図っての行動なのか、、天然タラシなのか

横から令嬢のハートを引き付けてくれるサイラスに心から感謝していた。

カイザルは冷めた目で静かにため息をつきながら
その光景を見ていた。

きっと彼は’天然タラシメーカー’だと思っているであろう。
冷めた目でカップを眺め、見てはいけないようなものを見る目を時々投げていた。

サイラスも、カイザルも素直で心地良いと僕は感じていた。母にメイドが一人近より何かを告げると、母は気色立ち「ほんとに?!まぁ嬉しいわ。」
と立ち上がりながら喜びの声を上げた。

「アルベルト、今日はね。凄いニュースがあるのよ!!」

僕は情況が読めずにただ淡々とカップのお茶をカイザルと向かい合って飲んでいた。

「なんと!ルナちゃんに会えるのよ~。貴方の幼ななじみの初披露になるわね!!
もう、フェナルデイ伯爵もプリシラも掌中の珠を隠してばかりいるから何年も会わせられなかったわ。この日を陛下とどれだけ楽しみにしていたか。」

ぶつぶつ呟いた母の話から察したサイラスは驚きの声を上げた。

「まさか・・!!!

ルナですか? ルナがここに?!
ルナの登城を父が許したのですか?!母ならともかく・・・。」

あり得ないと声を上げたサイラスに驚いて、ティーカップを置いてカイザルと視線を合わせる。

カイザルが驚いた様子で
「ルナ姫?サイラスの妹姫だったか?
何度も陛下がルナ姫をつれて参れと命じたらしいがフェナルデイ伯爵がうんと言わず。
どのお茶会でもサイラスの妹姫を見ることはなかったな。」

サイラスの方を見やり、珍しく饒舌なカイザルは続けて話始めた。

「サイラス、美しい姫だと聞いたが。誰も見たものはいないから幻姫と呼ばれてるとかなんとか。
一度見てみたいと思っていた。」

あまり好奇心を持たぬカイザルが前のめりになることに驚きを覚えたが、冷めきったティーカップを触りながら僕は幻姫と聞いて何故か不安を覚えた。

「家から出すのが不安なくらいの、、そのー・・・容姿なのか?」

珍しく貴公子の仮面を脱ぎ捨てたサイラスが興奮ぎみに僕を睨む。

「馬鹿か。いくらアルベルトでも殺意を覚える寝言だぞ。
我が妹はどんな美しい令嬢より美しい。
寝言は寝て言え。次はないぞ。」

「…そうか。言葉も態度も不敬以外の何者でもないな。失礼すぎるぞ。」

「サイラスもフェナルデイ伯爵もルナ姫を女神の如く例えて邸に隠していると専らの噂だぞ。
アルベルトは知らなかったのか?」

カイザルのフォローに顔をひきつらせながら

「知らないよ。どんなに美人でもここで育ってあらゆる美少女や他国の美人を見てきた僕は何を見ても驚かないよ。
見たことないだろう。僕が取り乱した姿なんて。」

「おほほほ!!まぁ。なんて可愛らしいやり取りなのかしら。プリシラは目の覚めるほどの美人で、夜会の大輪と呼ばれた伝説級の美しさを誇っていたのよ。
今は、、病で伏せがちになってしまっているけど。。。」

大輪か。

可愛らしいといっても王子である僕が驚くことはないだろう。
皆、大袈裟に言っているだけで本人への噂と期待だけが膨らんでしまうだろう。

なんだか僕は会ったことのないルナと言う名の姫ぎみを不憫にまで思ってしまった。

母の笑い声が会話をぶったぎったせいか、辺りは水を打っようにシーンとなっていた。

先程のマシンガントークを繰り広げていた令嬢たちまで静かだった。

皆、一様に噴水の方に目を向け茫然としていた。
沈黙を破ったのはサイラスだった。

「る、ルナ!!」

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