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覚えてないことはないですが、お断りいたします。
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「おはようございます。お嬢様。」
私の側に付き従うメイドの名前はレオナ。
昨日の夕食も準備してくれた可愛らしい茶色の髪に、漆黒の黒い目を持つ美人。
私より2歳上の19歳らしい。
そんな私の年齢は17歳。半年後に誕生日を迎えるアルベルト様と同じ年齢だ。
大きなグリーンの織りが入ったカーテンを開けると、麗らかな日差しが差し込む。
昨夜は父と兄の大騒ぎは22時過ぎまで続き、気づいたらソファの上で眠ってしまっていた。
「あれ?私、あそこで眠ってしまったような・・・・。」
「旦那様と、坊ちゃまとで激しい喧嘩の末にお嬢様を上体と下半身とに分けて運ばれて
おりましたよ。」
・・・なんでやねん。
自然に出た関西弁。だってそんな不毛な喧嘩ばかりでフェナルデイ家は大丈夫なのかしら?
優秀と言われた父も、麗しく賢い美青年で通る兄も私の前ではただの病の塊にしか見えないんですけど。
「そう。大変だったわね。有難う。そして・・・ごくろう様。」
「いえ、いつものことです」
優秀なメイドは少し遠い目をしてから私に微笑んだ。
名門フェナルデイ伯爵家は絶対、働いたらイメージ変わる職場だわね。
やれやれ。
着替えを済ませて、朝食をとりにダイニングへと向かう。
「お父様、お兄様、お早うございます。」
大きなダイニングへと続く扉を笑顔で開け放つ。
メイドも静々と朝食の準備を始め、兄と父は読んでいた新聞をテーブルの上に置いて
爽やかな笑顔でおはよう。と返答した。
眩しい美形なのに、残念。
本音を言うと、自分の顔も家族の顔も好みなのに
この残念感たらないわーー!!
ガックリと食べ物を見やり、目の前のご馳走に癒される。
目の前にジャガイモのいい香りが立ち上るスープが並べられ、幸せを感じる。
落ち着いたところで二人に提案があった私は思い切って話を切り出す。
「お父様、お兄様、今日一緒にお城に登城したいのだけど・・・。
宜しいかしら?アルベルト様にお目にかかってお話ししたことがあるの。」
渋い顔の父と、驚いた顔の兄。
また別々なリアクション・・・・。
「断るつもりなら、連れていくぞ。」
兄がニコニコ笑う。
「確かに、昨日の事故はアルベルト様の注意不足だから婚約破棄は仕方ないかもしれないな。
あんなに渋っておいて殿下に漸く良い返事をとしたのに、こんなことになるなんてなぁ・・・。」
父は少し困り顔ではあったが
「ちゃんとお話しをしなさい。医者に診てもらう前に行くのか?」
と尋ねられ「はい。記憶は簡単に治るものではありませんし、少しずつですが
記憶が戻ってきていますので大丈夫です。その上でアルベルト様とお話しをさせて頂きたいのです。」
兄もネガティブな話し合いと察したのか、食事を食べ終え、意気揚々と身支度をしに部屋を飛び出した。
「私は執務があるが、お前が望めば一緒についていくことは出来るが?」
父は心配そうに私を見ている。
「大丈夫よ。ありがとうお父様。」笑顔で笑った私に少し父はほっとしている様子だった。
白亜の門扉に金の壮麗な縁取りがされて美しい。
城の入城の際には大きな跳ね橋が下げられる。
すごいなぁ。本当にアルベルト様は王子様なんだ・・・・。
胸になにかチクりと痛みが走った。
気のせいね?
父と心配そうな兄とアルベルト様の執務室の前で別れる。
「大丈夫よ。また後でね、お兄様・・・。」
「何かあったら叫べよ。カイザルあたりをちょっと呼んどこうか・・・・。」
ああああ。
初心者の私に二人のお相手は無理です!!!
「大丈夫。お兄様、お仕事に戻ってね。でわ、行ってまいりますので。」
すぐに踵を返して思い切り扉をノックした。
すぐに「どうぞ。」とアルベルトの声が聞こえた。
扉を開けて入出すると、アルベルトが驚いた顔で私を見る。
書類を手から滑り落とし、珍しく慌てている様子だ。
夢のイメージが少し変わったわ。
いい意味でホッとした。
「どうしたの?ルナ急に訪ねてくるなんて。しかも記憶はもう大丈夫なの?」
立ち上がり、私の前に駆け寄る彼に私は壮絶な決意である言葉を口にする。
「アルベルト様、私、ルナ=フェナルディは貴方との婚約を解消しに伺いました。
急なご無礼をお許しくださいませ。」
私の低いトーンでの一言で、美しいアルベルトの表情が凍り付いてしまった。
私は最後の言葉を発した後、頭を静かに下げた姿勢で留まっていた。
「ちょ・・っとルナ、顔を上げてよ。お願いだから。どうして急にそんなことを言うんだい?」
動揺などいつも微塵も感じさせない、王子様。
アルベルト様は王子様然とした態度を崩さない王子の中の王子なのだ。
青く澄んだ瞳か悲しそうに陰ると、何故だか胸が痛かった。
私のものか、ルナのものか分からないけれど。
とても胸が苦しい。
「わたくし、昨日の怪我で貴方との記憶も、何故貴方をお慕いしていたのかも
分からなくなってしまいました。こんな私が華麗なるアルベルト様の妻になるなんて・・・・。
不安で仕方がないのです。私なぞよりも貴方を慕い、大切にするご令嬢を妃としどうぞ幸せになって
ください。」
許してくれるまで頭はあげません!の私の態度にアルベルトは珍しく焦りといら立ちを
見せた。
「なんで・・。やっとルナと結婚できるのに・・・。記憶喪失なんてありえない!!」
目を伏せたアルベルトは悲痛な声で叫んだ。
「婚約は解消しない。したいなら僕を殺してくれ。」
私は頭を下げたまま茫然として言葉が出なかった。
アルベルトは執務室の椅子に項垂れ、泣きそうな顔で私を下から見下ろした。
その綺麗な赤と金のストロベリーブロンドに美しい青い目に見つめられると
「ごめんなさい!!やっぱり嘘です!!」
と言ってしまいたくなる。
なんだか迷いが心の底にはあって、何故か彼の瞳が揺れるたびに不安になった。
<彼は私を殺したいくらいじゃないの。死んでしまいそうなくらい愛してるわ>
胸の奥で誰かの声がした。
恋愛初心者の私には魔物のような言葉だった。
何故?ルナは確かに素晴らしい令嬢だった。
だが、アルベルトも神々しい美しさと才能溢れる王子だった。
「そんな・・・。そんなことは出来ません。
ただ今の私では貴方の気持ちに追いつけません!!
昨日もあんな不敬な真似をして。殺されても文句は言えな・・・。」
言葉は続かなかった。
アルベルトはルナとの距離を一気に詰めた。
腕を掴んで彼女を思いきり抱きしめた。
「好きだ・・。絶対婚約は解消しない。君は僕の全てだから。」
そう呟くと、私の目の前の景色はアルベルトの胸から反転し、執務室の
真っ白な天井に視点移動が行われた。
唖然としていると、執務室の大きなベロア調のソファに体が投げ出されたのが分かった。
「痛っ。アルベルト様!?なにを・・」
腕は頭の上で一纏めにされ、不安になった私はアルベルトを睨んだ。
「殺されても・・・殺されても文句がないのなら。君を僕にちょうだいルナ。」
切なそうに笑うアルベルトの壮絶な美しさは、あまりに綺麗過ぎたのだった。
私の側に付き従うメイドの名前はレオナ。
昨日の夕食も準備してくれた可愛らしい茶色の髪に、漆黒の黒い目を持つ美人。
私より2歳上の19歳らしい。
そんな私の年齢は17歳。半年後に誕生日を迎えるアルベルト様と同じ年齢だ。
大きなグリーンの織りが入ったカーテンを開けると、麗らかな日差しが差し込む。
昨夜は父と兄の大騒ぎは22時過ぎまで続き、気づいたらソファの上で眠ってしまっていた。
「あれ?私、あそこで眠ってしまったような・・・・。」
「旦那様と、坊ちゃまとで激しい喧嘩の末にお嬢様を上体と下半身とに分けて運ばれて
おりましたよ。」
・・・なんでやねん。
自然に出た関西弁。だってそんな不毛な喧嘩ばかりでフェナルデイ家は大丈夫なのかしら?
優秀と言われた父も、麗しく賢い美青年で通る兄も私の前ではただの病の塊にしか見えないんですけど。
「そう。大変だったわね。有難う。そして・・・ごくろう様。」
「いえ、いつものことです」
優秀なメイドは少し遠い目をしてから私に微笑んだ。
名門フェナルデイ伯爵家は絶対、働いたらイメージ変わる職場だわね。
やれやれ。
着替えを済ませて、朝食をとりにダイニングへと向かう。
「お父様、お兄様、お早うございます。」
大きなダイニングへと続く扉を笑顔で開け放つ。
メイドも静々と朝食の準備を始め、兄と父は読んでいた新聞をテーブルの上に置いて
爽やかな笑顔でおはよう。と返答した。
眩しい美形なのに、残念。
本音を言うと、自分の顔も家族の顔も好みなのに
この残念感たらないわーー!!
ガックリと食べ物を見やり、目の前のご馳走に癒される。
目の前にジャガイモのいい香りが立ち上るスープが並べられ、幸せを感じる。
落ち着いたところで二人に提案があった私は思い切って話を切り出す。
「お父様、お兄様、今日一緒にお城に登城したいのだけど・・・。
宜しいかしら?アルベルト様にお目にかかってお話ししたことがあるの。」
渋い顔の父と、驚いた顔の兄。
また別々なリアクション・・・・。
「断るつもりなら、連れていくぞ。」
兄がニコニコ笑う。
「確かに、昨日の事故はアルベルト様の注意不足だから婚約破棄は仕方ないかもしれないな。
あんなに渋っておいて殿下に漸く良い返事をとしたのに、こんなことになるなんてなぁ・・・。」
父は少し困り顔ではあったが
「ちゃんとお話しをしなさい。医者に診てもらう前に行くのか?」
と尋ねられ「はい。記憶は簡単に治るものではありませんし、少しずつですが
記憶が戻ってきていますので大丈夫です。その上でアルベルト様とお話しをさせて頂きたいのです。」
兄もネガティブな話し合いと察したのか、食事を食べ終え、意気揚々と身支度をしに部屋を飛び出した。
「私は執務があるが、お前が望めば一緒についていくことは出来るが?」
父は心配そうに私を見ている。
「大丈夫よ。ありがとうお父様。」笑顔で笑った私に少し父はほっとしている様子だった。
白亜の門扉に金の壮麗な縁取りがされて美しい。
城の入城の際には大きな跳ね橋が下げられる。
すごいなぁ。本当にアルベルト様は王子様なんだ・・・・。
胸になにかチクりと痛みが走った。
気のせいね?
父と心配そうな兄とアルベルト様の執務室の前で別れる。
「大丈夫よ。また後でね、お兄様・・・。」
「何かあったら叫べよ。カイザルあたりをちょっと呼んどこうか・・・・。」
ああああ。
初心者の私に二人のお相手は無理です!!!
「大丈夫。お兄様、お仕事に戻ってね。でわ、行ってまいりますので。」
すぐに踵を返して思い切り扉をノックした。
すぐに「どうぞ。」とアルベルトの声が聞こえた。
扉を開けて入出すると、アルベルトが驚いた顔で私を見る。
書類を手から滑り落とし、珍しく慌てている様子だ。
夢のイメージが少し変わったわ。
いい意味でホッとした。
「どうしたの?ルナ急に訪ねてくるなんて。しかも記憶はもう大丈夫なの?」
立ち上がり、私の前に駆け寄る彼に私は壮絶な決意である言葉を口にする。
「アルベルト様、私、ルナ=フェナルディは貴方との婚約を解消しに伺いました。
急なご無礼をお許しくださいませ。」
私の低いトーンでの一言で、美しいアルベルトの表情が凍り付いてしまった。
私は最後の言葉を発した後、頭を静かに下げた姿勢で留まっていた。
「ちょ・・っとルナ、顔を上げてよ。お願いだから。どうして急にそんなことを言うんだい?」
動揺などいつも微塵も感じさせない、王子様。
アルベルト様は王子様然とした態度を崩さない王子の中の王子なのだ。
青く澄んだ瞳か悲しそうに陰ると、何故だか胸が痛かった。
私のものか、ルナのものか分からないけれど。
とても胸が苦しい。
「わたくし、昨日の怪我で貴方との記憶も、何故貴方をお慕いしていたのかも
分からなくなってしまいました。こんな私が華麗なるアルベルト様の妻になるなんて・・・・。
不安で仕方がないのです。私なぞよりも貴方を慕い、大切にするご令嬢を妃としどうぞ幸せになって
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許してくれるまで頭はあげません!の私の態度にアルベルトは珍しく焦りといら立ちを
見せた。
「なんで・・。やっとルナと結婚できるのに・・・。記憶喪失なんてありえない!!」
目を伏せたアルベルトは悲痛な声で叫んだ。
「婚約は解消しない。したいなら僕を殺してくれ。」
私は頭を下げたまま茫然として言葉が出なかった。
アルベルトは執務室の椅子に項垂れ、泣きそうな顔で私を下から見下ろした。
その綺麗な赤と金のストロベリーブロンドに美しい青い目に見つめられると
「ごめんなさい!!やっぱり嘘です!!」
と言ってしまいたくなる。
なんだか迷いが心の底にはあって、何故か彼の瞳が揺れるたびに不安になった。
<彼は私を殺したいくらいじゃないの。死んでしまいそうなくらい愛してるわ>
胸の奥で誰かの声がした。
恋愛初心者の私には魔物のような言葉だった。
何故?ルナは確かに素晴らしい令嬢だった。
だが、アルベルトも神々しい美しさと才能溢れる王子だった。
「そんな・・・。そんなことは出来ません。
ただ今の私では貴方の気持ちに追いつけません!!
昨日もあんな不敬な真似をして。殺されても文句は言えな・・・。」
言葉は続かなかった。
アルベルトはルナとの距離を一気に詰めた。
腕を掴んで彼女を思いきり抱きしめた。
「好きだ・・。絶対婚約は解消しない。君は僕の全てだから。」
そう呟くと、私の目の前の景色はアルベルトの胸から反転し、執務室の
真っ白な天井に視点移動が行われた。
唖然としていると、執務室の大きなベロア調のソファに体が投げ出されたのが分かった。
「痛っ。アルベルト様!?なにを・・」
腕は頭の上で一纏めにされ、不安になった私はアルベルトを睨んだ。
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