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神託の国。
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王妃に揺さぶりをかけることが出来た・・。
今回の目的は1つ果たされた。
紫の美しい瞳を持つ王子は、夜空に上がる花火を横目で見ながら与えられた自室を目指して歩いていた。
目の前から青い顔をした青年が急ぎ足で通り過ぎるのに気づき、足を止めた。
「おい、待て。」
エミリアンが低い声で相手を制止した。
振り向く前にカイザルはキツイ口調で怒鳴る。
「・・・・・なんだ?」
ルーベリア王国の王子付きの騎士であるカイザルは、相手の顔を見て瞠目し詫びた。
「申訳ありません。シェンブルグの・・第一王子殿下でしたか・・。」
第一王子。
その響きは好かなかった。
「第一王子は私ではないだろう。・・・死んだとされた王子がいた筈なのだが、今どこにいるのやら。」
ククッと自虐的に笑った。
「・・・・・。申訳ありません。自国から出たことがない故、シェンブルグの王子の話は存じ上げずに失礼な呼び方をしてしまいました。」
カイザルは静かに頭を下げた。
ルナと同じ年になるエミリアン王子殿下。
王と王妃の第一王子だったはずだが?
思案しているカイザルに、エミリアン王子は静かにこう告げた。
「我が国は神託と言えば聞こえがいいが、秘匿の多い国だ。我が国だけが守り続けてきた魔力も王家の先祖返りのみが持つ、膨大な力を持って生まれた子を代々王にしてきたのだ。
私には、人の心を読む力と、先読みの力しか持ち合わせぬ故。微力な王太子として国では笑われておる。」
魔力を持つ国・・・。
神託を大切にし、他国への侵略や、自国民の流出を止めているのはそれを守るためなのか・・・。
「そう。だから自国外の出入りに厳しい制限がかけられているのだ。」
カイザルは、自分の考えた思いに肯定がされて驚く。
「心で思ったことが伝わるのは、口で話さなくてもいいから便利ですね。」
「へぇ、便利とな。今日は面白い者と出会ってばかりだな。この国は思っていたより面白い。この旅の滞在が楽しみになるな。」
エミリアンは、何かを思い出したように楽しそうに笑った。
「・・・恐れながら申します。ルナ姫へは近づかないで欲しい。アルベルト殿下と婚姻がもうすぐなのに、エミリアン殿下との醜聞で彼女に傷がついて欲しくない。」
カイザルは先ほどのエミリアンと、ルナの逢瀬の光景を思い出し、本人に牽制をかけようと繰り出したのだった。
「へぇ・・。それはアルベルト殿下との友情の気持ちなのか、君の嫉妬心からの言葉なのか・・・。どちらだろうね?」
薄く笑いながら、心を推し量っている様子だった。
カイザルは心を読む相手に、キッパリと気持ちを伝えようと思った。
「両方です。私は気分が悪くなるものは見ていたくない性分なので特にエミリアン殿下とルナの逢瀬など、不快以外の何者でもありません。」
不敬と分かっていても、カイザルはエミリアンを鋭い眼で睨み付けた。
「そう。君は正直で心地よい人間だな。私の父や母とは大違いだ。」
カイザルは何も言わずに、礼を取ってその場を去ろうとする。
「・・・そうだ、何も知らない君に1つだけ、教えてあげようかな。今、君の未来が視えたから教えておこうか。」
エミリアンは静かにカイザルに近づき、耳元に酷薄な笑みを浮かべ何かを告げた。
カイザルはあまりの驚きに、エミリアンを見やり、愕然とした表情を浮かべた。
「私はルナ姫が気に入ったのでな、君の助言は聞かなかった事にしよう。では、また会おうな。祝福の子、カイザル=エレンシュタット。」
自室の方へと向きを取り直し、静かに去っていくエミリアンの背をカイザルはただ茫然と見送った。
今回の目的は1つ果たされた。
紫の美しい瞳を持つ王子は、夜空に上がる花火を横目で見ながら与えられた自室を目指して歩いていた。
目の前から青い顔をした青年が急ぎ足で通り過ぎるのに気づき、足を止めた。
「おい、待て。」
エミリアンが低い声で相手を制止した。
振り向く前にカイザルはキツイ口調で怒鳴る。
「・・・・・なんだ?」
ルーベリア王国の王子付きの騎士であるカイザルは、相手の顔を見て瞠目し詫びた。
「申訳ありません。シェンブルグの・・第一王子殿下でしたか・・。」
第一王子。
その響きは好かなかった。
「第一王子は私ではないだろう。・・・死んだとされた王子がいた筈なのだが、今どこにいるのやら。」
ククッと自虐的に笑った。
「・・・・・。申訳ありません。自国から出たことがない故、シェンブルグの王子の話は存じ上げずに失礼な呼び方をしてしまいました。」
カイザルは静かに頭を下げた。
ルナと同じ年になるエミリアン王子殿下。
王と王妃の第一王子だったはずだが?
思案しているカイザルに、エミリアン王子は静かにこう告げた。
「我が国は神託と言えば聞こえがいいが、秘匿の多い国だ。我が国だけが守り続けてきた魔力も王家の先祖返りのみが持つ、膨大な力を持って生まれた子を代々王にしてきたのだ。
私には、人の心を読む力と、先読みの力しか持ち合わせぬ故。微力な王太子として国では笑われておる。」
魔力を持つ国・・・。
神託を大切にし、他国への侵略や、自国民の流出を止めているのはそれを守るためなのか・・・。
「そう。だから自国外の出入りに厳しい制限がかけられているのだ。」
カイザルは、自分の考えた思いに肯定がされて驚く。
「心で思ったことが伝わるのは、口で話さなくてもいいから便利ですね。」
「へぇ、便利とな。今日は面白い者と出会ってばかりだな。この国は思っていたより面白い。この旅の滞在が楽しみになるな。」
エミリアンは、何かを思い出したように楽しそうに笑った。
「・・・恐れながら申します。ルナ姫へは近づかないで欲しい。アルベルト殿下と婚姻がもうすぐなのに、エミリアン殿下との醜聞で彼女に傷がついて欲しくない。」
カイザルは先ほどのエミリアンと、ルナの逢瀬の光景を思い出し、本人に牽制をかけようと繰り出したのだった。
「へぇ・・。それはアルベルト殿下との友情の気持ちなのか、君の嫉妬心からの言葉なのか・・・。どちらだろうね?」
薄く笑いながら、心を推し量っている様子だった。
カイザルは心を読む相手に、キッパリと気持ちを伝えようと思った。
「両方です。私は気分が悪くなるものは見ていたくない性分なので特にエミリアン殿下とルナの逢瀬など、不快以外の何者でもありません。」
不敬と分かっていても、カイザルはエミリアンを鋭い眼で睨み付けた。
「そう。君は正直で心地よい人間だな。私の父や母とは大違いだ。」
カイザルは何も言わずに、礼を取ってその場を去ろうとする。
「・・・そうだ、何も知らない君に1つだけ、教えてあげようかな。今、君の未来が視えたから教えておこうか。」
エミリアンは静かにカイザルに近づき、耳元に酷薄な笑みを浮かべ何かを告げた。
カイザルはあまりの驚きに、エミリアンを見やり、愕然とした表情を浮かべた。
「私はルナ姫が気に入ったのでな、君の助言は聞かなかった事にしよう。では、また会おうな。祝福の子、カイザル=エレンシュタット。」
自室の方へと向きを取り直し、静かに去っていくエミリアンの背をカイザルはただ茫然と見送った。
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