転生伯爵令嬢は、裏切り者からの寵愛に戸惑う。

館花陽月

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騎士団との旅立ち。

遠征の旅路。③

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私は、変わりゆく景色をボーッと見ていた。

カラカラ・・。カラカラッ。

・・何だろう?

さっきからこの馬車、物凄く芳しいんだけど。


「シア、さっき屋台で何か買ってたけど・・。
あれって何??」

「ユヴェールって、よく見てるわねぇ・・。ちょっと今調合している薬に、足りない草花を調達していたのよ。」

「当たり前だよ?いつも見てるよ、シアのこと。」

ユヴェールは碧色の瞳を細めて爽やかに笑った。

洗濯王子・・。

悪気なくこの状況でも爽やかに爆弾を落とす訳ね。


その言葉に、右眉をピクリと動かしたレオはユヴェールを軽く睨んだ。

「あ、ああ!!あははは・・!!
もう、ユヴェールったら世話好きなんだからー。
いつも危なっかしくてごめんなさいね!!」

「おぉっ!?遠征中なのに、嬢ちゃんは勉強熱心だなぁ。何だ?今度はどんな毒薬を作るんだぁ?」

ルーカスに至っては、毒薬認定で話しかけないで欲しい・・。


「毒薬じゃないですよ?意識奪うやつと、仮死状態にする薬ですよ。」

「どっちも中枢神経系の薬じゃねぇか・・。充分危険だろぉ?まさか嬢ちゃん・・・。
さっきこの馬車に詰め込んだ、あの大きなカバンに材料が入ってんのか?」

「そうだけど・・。ルカって見た目によらず、よく見てるわね?みんな詰め込んだわよ!!」

「アレクシアさん。その薬の材料から言って・・。うっかり鞄の液体が混ざった場合、僕たち全員が車内で数分で死ねると思うんですけど?」

クリスが集中して読んでいた本から視線をこちらに向けて笑った。

車内に、一瞬だけ気まずい静寂が漂った。

「もう、先ほどから話に入っていけなくてつまらないですわ・・!!
レオノール様、アルトハルトは素晴らしい国ですわね。珍しい物が沢山あって驚きましたわ!!
市場に王宮で見かけた青薔薇の品種と、可愛いイエローの薔薇があったんですわよ!!
そこに、見たこともない虹色の薔薇があったんです!!あまりの美しさに私、ついその花々を買ってしまいましたのよ。
薔薇の花言葉は情熱でしたものねぇ!!私にピッタリだと思いません??」

大きく吊り上がった金色の瞳を輝かせたアイーネはレオに上目遣いで見上げた。

さっきからの芳しい香りは薔薇だったのね・・。
・・・納得。

レオは、目を閉じたまま金色の髪を邪魔そうにかき上げた。

「赤い薔薇の花言葉は確かに情熱だが・・。
先ほど、道端でお会いした時に俺のシアを押しのけて転ばしたよな?黄色の派手な薔薇こそ、アイーネ姫にピッタリの花だと思うが?」

(嫉妬でこそこそ汚い真似するな。
・・そろそろ息の根止めるぞ?)

・・あらら、こっちも良く見てるわね。

俺のシアって言うなって言ってるじゃないの!?

馬鹿でしょ?
この状況で空気読みなさいよ!!

「あっ、あれは・・。
勢いよくぶつかっただけですわっ!?わざとじゃないんですのよ!!
ところで、黄色の薔薇の花言葉って何ですの??」

「黄色の薔薇の花言葉は、「嫉妬」ですよ。
醜い嫉妬は古代から続く自分の価値を下げるだけの
弱者の遠吠えのような物ですね。・・汚物です。」

(だから女は嫌いなんだよ!!頼むから消えてくれ。)

しどろもどろになったアイーネにクリスからのトドメの一発が入った。

アイーネが肩を震わせてクリスをキッと睨むと
耳まで伸びた銀色の髪を揺らして、紅い瞳でニッと微笑み返していた。


レオは、冷めた瞳でアイーネを一瞥すると窓の外の景色へと視線を反らしたまま押し黙った。

フォローが出来なくなったユヴェールは項垂れていた。

 シーーーーン・・・。

天族達の容赦のない毒舌で馬車の温度は体感温度が一気に下がった。

・・・再び。

馬車の中は沈黙で包まれた。

怖過ぎでしょ・・。
お願い!!早く着いてぇ・・・。



その数十分後。

急に馬車が止まり、驚いた私は窓の外の景色を確認した。

道の途中で止まれたような状況に驚いていた。

「レオ・・。ちょっといいか??」

反対側にあるドアの窓をコンコンと叩く音がして振り向くと、息を切らしたエリアスが蒼い瞳を
鋭くしてこちらを見ていた。

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