転生伯爵令嬢は、裏切り者からの寵愛に戸惑う。

館花陽月

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騎士団との旅立ち。

遠征の旅路。④

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「ロージアナまで、あと14キロ地点なんだが・・。あそこに見える村、どう思う??」

窓を開けて身を外に乗り出したレオは、遥か遠くに見える村を目を細めて見た。

「・・・どうって?まさかエリアス・・。あそこから何か「聞こえた」のか?」

「ああ・・。さっきから、何人もの呻き声が耳に入ってくる。ロージアナと同じ状況かもしれない・・。」

その言葉に、サッと表情のを変えたレオは無言のまま急いで馬車から降りると村へと一目散に駆け出した。

「レオっ・・!!待って!!」

私も、馬車から飛び降りるとレオと馬に乗ったエリアスの背を追いかけた。

レオは村の入り口を突破し、小さな水場の近くで足を止めた。

言葉を失くして立ち竦むレオに追いついた私は
目の前の景色に息を飲んだ。

「何よ。これは・・・。どうなってるの?」

答えようのない問いが空に吸い込まれた。

煙が上がり、倒れた家屋が並ぶ。

うめき声を上げた人々が所狭しと広場に寝かされていた。

痛みを訴えている人々や、すでに呼吸を荒く敷物の上に数十人の人が横たわり、それを看病している家族や村人達の姿が確認出来た。


「・・・何てことだ。たった1日で、こんな所まで・・。」

レオの青い瞳は、怒りとやり切れなさで大きく震えていた。

エリアスは現場を確認すると馬上でたずなの方向を変えて、騎士団やファーマシスト達の並ぶ列へと一目散に駆けて行った。

私は、立ち尽くすレオの横に並んでそっとレオの手を取った。


指先まで冷たくなった手を握ると、ハッとして私の方を向いたレオになるべく平静を保った言葉で伝えた。

「レオ、嘆いている暇はないわよ?
病人の手当と、この状況の原因と、薬の媒介理由を突き止めて、これ以上の被害を食い止めなければいけないわ。」

「・・・シア。・・そうだな。
広範囲の被害を出してる薬をどのように媒介しているのかを早急に突き止めなければならない。
君にはファーマシストとして、この村の人々の治療を頼んでもいいか?」

「勿論よ!!何のために来たと思ってるの?
傷ついたアルトハルトの国民と・・、あなたレオノールを助けるために来たんだからね?」

私は、水色の大きな瞳を輝かせて笑った。

眩しそうに見上げたレオの瞳は、少しだけ冷静さを取り戻しつつあった。

「レオ・・。薬を蔓延させるには水場に撒くのが手っ取り早いのよ。
症状が落ち着いた者たちから、どこでいつから症状が出たのかを聞くわ。貴方と騎士団は救助と、怪我人や病人を一か所に集めて。
ここからは確認出来ないけれど・・。もし薬によって、暴れて危害を加えている人たちがいたら止めさせて・・!!」


「解った・・。こちらと、ロージアナとに人員を割こうと思う。采配はこちらで決めるが、シアは欲しい人材はいるか?」

「この村はまだ小さいことが幸いだわ。多くて数百人規模の村のようだから・・。
私と数人の手があれば大丈夫よ!!
私の優秀な侍女のどちらか1名と、ファーマシストを数人。騎士団も10名程度残して・・。あとは、神力を使えるルカかクリスのどちらか1名を残してくれたら・・。何とかしてみせるわ!!」


その言葉に、レオは大きく頷いた。


「・・おいっ、嬢ちゃん!!大丈夫か??
今、用意してきた薬を騎士団が運び込む!!
すぐに調合の準備に取り掛かるから、この白衣とマスクを身に着けろ。」

「ルカ・・!!助かる、解ったわ!!」

戻ってきたエリアスが、レオを見てアイコンタクトを取った。

「俺はこのままロージアナに向かう。
この近辺の村の被害も気になる・・。
だけど、大丈夫か?こんな所にシアを残していくのは・・・。」

「馬鹿ね!!こんな時に何を言っているの??
私は必ずこの村を救って、そちらに合流するわ!!レオも、くれぐれも気をつけてね。」

強く握られた手を、私からゆっくりと離した。


ルカから渡された白衣を身に着けようとした瞬間、ぐいっと腕が強く引かれた。

次の瞬間に、レオの優しいムスクの匂いに包まれた。

驚いて目を見開いた私を、レオは腕の中で思い切り抱きしめた。


「・・・不謹慎だけど、感謝している。シアがいてくれて助かった。」

そう言って、アーモンド型の綺麗な青い瞳を細めて笑った。
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