転生したらストーカーも転生したようなので、魔術師団に入ります。

館花陽月

文字の大きさ
27 / 75
マグダリア王国編

マグダリアの霧。

しおりを挟む
マグダリア王国に滞在して1週間。

祖国カルドリア国内の状況は落ち着いていた様子だった。
ケイレブは忙しそうに、両国を転移しながら動き回っていた。

私達は、残りの精鋭部隊と共にこの城で世話になり「グロームスコーピオン」の
動きを探っていた。

私は王宮図書館から借りて来た論文を読みながら、リンダとアスコットと一緒に庭園でお茶をしている最中だった。

「最近は魔術と科学が混ぜ合わさった強力な武器開発が行われているらしい・・・。
しかし、これは・・凄まじい破壊兵器となるだろうな。」

アスコットは、文献を指さしながら不安そうに頭を掻きむしっていた。

「そうですね・・。
あっ、これなんて町の半分が消失する威力ですってよ!!
こんなのが近隣諸国で用いられて戦争になってしまったら・・。」

「そうね、おびただしい数の死者が出る。
もちろん、生態系も無事では済まないでしょうね・・。」

私は喉の渇きを感じ、手前に置いてあったティーカップの持ち手を掴むとぐいっと飲み干した。

文献に目を移し、続きを読み漁ろうとすると

「バサッ」

と、私の目の前に赤と白の大きな薔薇の花束が差し出された。

横に視線を逸らすと、黒いサラサラの髪と、整った美麗な顔があった。

跪いたランドルが、私を美しい紅い瞳で見上げた。

「結婚しよう、セレーナ。」

「・・・お断り致します!」

間髪入れずにお断りをしたのであった。

「何でだ!?別に式は焦らずとも良いので、こちらに名前を書いてくれれば・・。」

「あああっ!!それ、結婚証明書ですよね?!えっ、ちょっと・・いつの間に!?」

「ケイレブが国に戻る際に手紙を頼んだのだ。
叔父さんいや、王に頼んで取り急ぎ発行してもらったんだが・・。」

「もー、・・・書きませんよ!?
今は「グロームスコーピオン」を潰すんでしょう??
もう、ランドル様ってば!!色惚けてる場合じゃないのですよ?!」

呆れた表情を見せた私に、しゅんと落ち込むランドルが少し可愛い。

「ランドル君?君は仕事をしなさいよ。
しかも、セレーナはハッキリお断りしてるんだからさっさと諦めなさいよ。」

「おい、アスコット・・。お前、まだセレーナを狙ってるのか?
魑魅魍魎ちみもうりょうだらけの魔術師団で、婚約じゃ効力がないと分かったからな。
婚姻以外の手段がないから必死なんだよ・・・。」

「ああ、確かに。
団長も伯爵令嬢とのご婚約を破棄されましたものね。
婚約なんて破棄してしまえば、何も枷は無くなりますものね。」

リンダは、目の前のサンドイッチをムチャムチャと頬張りながら爆弾を落とす。

「は?何で?!あの伯爵家は超名門だぞ?!ルアー子爵家も無事で済むはずが・・。」

「無事ではないけど、大丈夫かな。
もう、自分の心に嘘は付けないからね。
僕の婚約は解消してあるから、ランドル君に呆れたらいつでも安心して僕の所においでね、セレーナ。」

ランドルを揶揄うように私の手を取りうっとりと微笑む。

私は、目をパチクリしながらこの展開に全く着いて行けていなかった。

婚約破棄発言に激しい衝撃を受けたランドルは震えていた。

「末恐ろしい・・。こんな魔術師団になんかいれるんじゃなかった!!」

ランドルは、激しく自分の選択を後悔したのであった。


項垂れていたランドルの前に、メイデルと、クレードが報告書の束を持って
颯爽と現れた。

「皆、聞いてほしい。「クロニクル」に異変が起こっていると報告があったのだ。」

私達は、漫才を止めて静かにクレードとメイデルの話に耳を澄ます。

「異変・・とは?」

ランドルは訝しげに、クレードの方を見る。

「研究者が・・。
特に、魔術と科学の融合を謳った研究をしている者達が次々と姿を消しているらしいのだ。」

「なんですって?!丁度先ほど、そのような論文を拝見していた所だったのです!!」

「一体、いつからそのような異変が起こっていたのですか?」

メイデルは、報告書を読みながら

「最初の報告は3週間前になる。そこから、次々と行方不明者が出ているのだ・・。」

「そんな・・・。そんなの「グロームスコーピオン」が動いてるとすれば最悪な事態に
繋がりますよ?流石の我が魔術師団でも・・手を余す事態になってしまう!」

アスコットは不安そうな表情を浮かべ、椅子の上で頭を抱えた。

メイデルも渋い顔で一同を見渡していた。

「そうなのだ・・。
だから、君たちには学術都市「クロニクル」に向かい、行方不明人の調査をお願いしたいのだ。」

「はい!!行きたい・・いや、私、行かせて頂きます!!」

はりきって手を上げた。

皆が驚き、こちらを見る。

「あの・・すみません。
もう一つ気になる事があって。
この論文の作者、ジャンダリン=ボマード博士は行方不明者のリストには入っておりますか?」

「・・・いや、今の所・・。そうだな、・・入ってないようだ。」

クロードが調査書を確認しながら、答えた。

「その者がどうしたのだ?」メイデルは、不思議そうにこちらを見た。

「ジェンダリン=ボマード博士は、魔術と科学の融合でのリスクを取り上げ論じておりました。
そこから、その技術を融合して逆に防衛の手段や方法についてを研究されて開発しております。」

メイデルとランドルは驚いて顔を上げた。

「そうか・・!!!確かに、それなら相手の攻撃に備えられる!!」

「はい。この教授を絶対に死守しましょう。
この方から魔術と科学を持ち合わせて開発した攻撃技術から、我らを守る術を頂きましょう!!」

私は、皆に声をかけた。

「そうだ!!防衛を知る者は攻撃の何たるかも知っているだろう。名案だ!!」

メイデルは嬉しそうに笑った。

皆が希望を持ち、深く頷く。

2度と、目の前で魔術師団員を亡くすのは嫌だ。
あんなランドルも、アスコットの姿も見たくない。

必ず、この任務を遂げて「グロームスコーピオン」の目的を突き止めて打ち破る!!
私は、そう心に決めたのだった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...