転生したらストーカーも転生したようなので、魔術師団に入ります。

館花陽月

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マグダリア王国編

学術都市「クロニクル」。

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学術都市「クロニクル」は、ドーム型の巨大科学都市で最先端技術が駆使された街だった。
技術の流出を防ぐため、入り口には、マグダリア王国で発行するIDカードをかざすと入れてもらえる。

特殊な検問システムが導入された未来都市のような世界が広がっていた。

「セレーナ!!見てー。あそこ・・。箱が上に動いてる!!
あっ、あっちには、車輪のような物が動いて洗濯してるわー。すっごーい!」

「姉さん、これ浮いてるんだけど・・!?どうなってるのかな?ちょっと来て見てよー。」

リンダがキラキラとこげ茶の瞳を輝かせて大きな声を上げる。
クリスも好奇心一杯の目で周りを見渡していた。

「ホントだ!!あっ、あちらには光の階段がある!?
ええっあれ、どうなってるの??動力源は?!・・・ちょっと行ってくる!!」

私はダッシュで調査に向かう。

リンダも、クリスも顔を見合わせてクスクス笑っていた。

「あー・・。なるほど、魔鉱石を使って動力源にしているのね。
でも、この階段を炭素化して固める手段は・・・。」

誰かの強い視線を感じ、振り向く。

「・・・っ?!!」

驚いて周りを見渡したが、誰も私を注視している視線は見当たらない。

不思議に思って、首を傾げる。

「セレーナ、どうした??メイデルとアスコットがジェンダリン=ボマード博士を保護したそうだ!!」

・・・早っ。

私が「クロニクル」を堪能している隙に既に任務を終えてしまうなんて。
・・・流石団長とクロニクル通の王子殿下!!

心の中で2人を拝み倒していると、
また、さっきの強い視線を感じて私はまた周辺を見渡した。

「なんなの・・。あっ・・!!」

「セレーナ、どうした?!」

私の目の前に、元第3師団団員だったメーガン=オルコットが現れたのだ。

「久しぶりね・・。セレーナ=アルベルディア。」

隣のランドルは一瞬で強い殺気を上げて構えた。

「残念ね、ここは魔術は禁止されているのよ?戦うなら外に出ましょうか?」

メーガンは、自分などどうでも良さそうに気だるげな提案をする。

「そうか、とっとと殺されたいのか?なら、望み通り外に出ろ・・・。」
ランドルは、メーガンに近づこうとした・・。
でも、メーガンは何故ここで私に近づいて来たのだろう?!

「待って・・。お気持ちは重々承知ですが、ランドル様は少し黙ってて下さい。
メーガンと少しだけ話をさせて下さい!!」

私は、2人の間に立ちふさがって、ランドルを強い碧の瞳で睨み付けた。
ランドルも、少し動揺した様子で後ろへ下がった。

「セレーナ・・・。あんたは、あんただけは少しも変わらないね。」
メーガンは、蒼い瞳を細めて笑った。

この「クロニクル」には、任務で訪れたメーガンはセレーナを見かけてつい呼び止めてしまった。
ジェレミーと共に、命令を遂行し自分の師であるアスコットの命を狙った裏切り者なのに・・。

自分のした事を思い出すと胸が痛んだ。

大事に育ててくれたアスコットを裏切り、ランドルに処刑されたジェレミー以外の、捕らえられた部下達は皆、あの方に皆始末されたのだった。

カインとエミールの亡骸を目の前で見た時から、自分の心は大きく揺れていた。

皆で詰所の中で笑い合い、共に研磨を続けたあの頃に戻りたい。
そう何度も思ってしまっていたのだった。

「セレーナ・・・。私は団長を殺そうとしたわ。
そして、エミールとカインも私の目の前で死んだの・・。こんな事になると思わなかったの。
魔術師団に入ったのは、スパイや裏切りの為ではなくて純粋に魔術を強化する為の
任務だと思って努力していたのよ。本当にごめんなさい・・。」

エミールとカインの発言が出た時、ランドルはピクリと眉を動かした様子だったが・・堪えていた。

メーガンは嘘をついている様子ではなくて、何かを伝えようと現れたのだと思った。

「ねぇ・・。メーガン、貴方は何故その話を私にするの?
止めて欲しいの?貴方自身を・・・。そして貴方を突き動かす物から
救って欲しくて私に声をかけたの?」

「・・・そうかもしれない。私は、もう嫌なの。自分のしている事が正しいと思えない!!
あの方を愛しているけれど、あの方は私を愛していない・・。
何か、別のモノを追い求めているような気がして。寂しくて、怖いの!!
一緒にいても体を重ねていても私を見ていない。いつも、私・・一人ぼっちみたいで・・。」

透明な涙を流したメーガンを私は混乱する頭で見つめていた。

あの方??!
・・どの方だぁあぁぁ!?

と頭の中では大声で叫んでいる。


「メーガン!?・・・お前、どうしてここに!?」

「メ、メーガン!!?」

アスコットとリンダが私たちの方へと向かって走ってくる。

「・・・タイミングが悪いな。」

ランドルは舌打ちをして、2人を引き留めようと場所を離れる。

セレーナと向き合ったメーガンは静かに目を閉じる。

「全部、きっと貴方なの・・・。」

「・・・え?」

「あの方はきっと貴方を手に入れる為にこの組織を動かしている・・。
恐ろしい執着を向けている矛先は、多分セレーナ。
・・・全てが貴方へと続いているわ。」

私は驚いて、メーガンを見る。

「ど、どういう・・。どういう意味?
私は「ブルームスコーピオン」なんて、知らないわ!!」

「そうね、貴方のせいじゃないわ。きっと、一方的なあの方の執着・・。」

「待ってメーガン、その人は誰なの・・・?!」

「・・あの方は・・・・。」


シュツ・・・・。

メーガンの背中の後方から物凄い速さで光の矢が飛んで来る。
私は目を大きく見開き声を出した。

「・・・メーガンッ!!!危ない!!!」

私は、弾かれたように光の矢を目がけて飛び出した。

「・・・光盾コウジュンっ!」
私は走りながら魔法を繰り出した。

しかし、呆気なく光盾コウジュンの防御も破ってその矢はメーガンを捉えた。

「な・・ぜ!?」
私は目の前の出来事に戸惑いを隠せなかった。

振り返ったメーガンはその矢を避けようとせずに、目を瞑りながら自ら体に受ける。

駆けつけてきたアスコットや、リンダ、ランドルも大きく目を見張り驚きの表情を浮かべた。


「メーガン!!?メーガン!しっかりして・・、メーガンお願い!!」

私は、地面に崩れ落ちそうになったメーガンの体を抱きしめ、その場にしゃがみ込んだ。

水晶癒すいしょうち!!!」

ポウっと浮かび上がる光に、メーガンは目を開け微笑む。

「セレーナ・・。この矢は・・無駄よ。魔力を・・吸い尽くして消える・・の。」

ランドルは途中で駆けつけてきたクレードと合流し、矢の飛んできた方向に向かい走った。

アスコットは、メーガンの姿を見て驚愕の表情で側に来る。

「団長・・。ごめんなさい・・。知らなかったの・・全部。こんな事になるなんて・・。
・・・楽しかったあの場所に・・戻りたい。」

メーガンは一筋の涙を流し、手を伸ばす。

リンダも苦しそうに涙を浮かべ、メーガンを見つめていた。

「セレーナ・・。あんたは、いい友達だった・・。
優しくて・・みんなを元気にしてくれる・・。どうか・・あの方を救ってあげて・・・。」

私は、メーガンの手を掴み涙を流しながら頷いた。

「私もよ!!いい友達だったの・・。何でっ、この矢邪魔よ!!!駄目よメーガン!!
またあの場所に戻りましょう?
間違いは誰にでもあるもの・・。どうか諦めないで!」

私は矢に睨み、溶かそうと試みる。

アスコットも、胸の真ん中に刺さった矢に魔法をかけて取り去ろうとするが
すぐに魔法は消えてしまう・・。

茶色の瞳は薄く閉じられ、呼吸が浅くなり手が私の中からずるりと・・落ちた。

胸に刺さった矢はパァンと輝きながら霧散した。

「メーガン!!メーガン・・・駄目よ!・・死なないで!お願い・・。」

冷たくなっていくメーガンの体に縋り付き、私は大きな声で泣き叫んだ。
アスコットとリンダも、苦しそうに眉根を寄せてメーガンの側で涙を流した・・。

騙されていたメーガンと、ジェレミー・・・。
あの方って誰?

沢山の人が傷つき、死んでいく。

全ては私のせいなの・・・!?

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