転生したらストーカーも転生したようなので、魔術師団に入ります。

館花陽月

文字の大きさ
47 / 75
シーグラルド公国編

魔弾。

しおりを挟む

夕食の知らせを伝えにリンダが、セレーナを探しまわっていた。

ランドルの部屋から、腰が立たなくなった私が全力で脱走しようとしている姿を見つけて助けてくれたのだった。

湖で濡れた後、びしょ濡れで宿に戻った話をすると、リンダが爆笑したので理由を聞けば、

「そんなの風の魔法ですぐ、乾くのに!」

そんな事を忘れていた私と、絶対分かっていただろうランドルを思いむうっと頬を膨らまして怒ったのだった。

私は、リンダとアスコットと新たな第3師団の仲間と共に楽しい夕食を取った。

食後は広い食堂で、思い思いに集い、意見交換などを行っていた。

「そうだセレーナ、今朝話していた・・魔術師団に帰れない理由は何だ?」

ランドルが、注がれたカップの紅茶を飲みながら私にゆっくりと顔を向けた。

「シーグラルド公国のアヴァの伝説を聞いたのです。魔力が枯渇せぬ姫・・。
神巫女と呼ばれた姫君の話でした。
この今の戦争に近づく気概をどう収めれば良いのか皆悩んでますよね。
だけど、私がその神巫女の力を持ち合わせているならば戦や争いを回避出来るでしょう?」

「そうか知ったのか・・。
初めて会った時から気づいていた。
桁外れの魔力と、不思議なオーラ。それにその瞳・・。
君は、子どもの頃に母に読んでもらった「クレアルス神話」に出て来る。
アヴァ姫そのものだったからな・・。」

「クレアルス神話・・と言う書があるのですか?」

「ああ、カルドリアにも、マグダリアにも、ここシーグラルドにも伝わっている全世界共通の神話本だ。そのアヴァが最期を迎えた都「エストラルド」の全景も描かれた本だったな。
確か、カルドリアに原本があるはずだ。」

「ランドル様、私はその「エストラルド」に行きたいのです。
その為に古代史研究をされている、メイデル殿下を訪ねようと旅に出ました・・・。
今朝は、その途中で貴方達に偶然会えたのです。」

「古代神殿都市「エストラルド」か。
きっとメイデルも同じ事を考えてるだろう。だから先ほど、その話を快諾したのだな。
「クロニクル」の防衛兵器は完成してあるし、ドス黒い野望がどちらにあるのかも見えてきた。
アリストラドの話は・・先ほど、エミールからも聞いたが。
私達の見聞きしていた事と事実は大きく違う。
魔術師団に伝わっている話や、民からの話とは全く違っていた。
私も、実は「クロニクル」からこちらへ来る事を、魔術師団には報告せぬまま来たのだ。」

真剣な表情で部屋の様子を見渡すランドルの発言に、私は驚いた。

私も魔術師団には今は、信頼や安心感は持てない・・。

師団長である、ランドルまでが同じ気持ちを抱いているとは思っていなかったが、
聡明な彼らしい、冷静な判断と思った。

「大丈夫なのですか??
そうだ、クレード様からは無事だと伺ったのですが。。ケイレブ様は連絡がなければ、ご心配なさっているのでは?」

急に椅子の後ろから良く澄んだ低い声が響く。

「・・そのケイレブすら、信用できぬのだろう?・・・ランドル。」

団欒の雰囲気になっていた食堂に、その人が立っていた。

「アリストラド様?・・どうしてここに?!」

私が、驚いて目を合わせるとフッと笑った。

アリストラドは苦しそうに、ランドルの方へと視線を向けて言った。

ランドルも、驚いたようにアリストラドを見つめる。

「夜は・・お前を一人に出来ぬからな。
転移して会いに行くと言っただろう。
しかし、ランドルも・・気づいたようだな。
お前は昔から頭も切れる男だった・・。
やはり、セレーナを・・任せられるかも・・な。」

ふらっと大きな体を揺らがせた。

その動きに違和感を見て取った私は、急いでアリストラドの元へと駆けた。

アリストラドの後ろに座っていたアスコットは、椅子から立ち上がり真っ青な顔で叫んだ。

「・・総長!!貴方、背中にっ・・!!!」

ランドルも慌てて、側へと駆け込む。

崩れそうになる体を私は必死に支えようとするも・・力が足りない。

ランドルがグイッとアリストラドの体を抱きとめた。

「貴方の背中に・・黒い矢が刺さっております!!」

「なんだ!?おい・・アリストラド、どうしたんだ?誰にやられた??」

ジェイデンも、大慌てで側へと駆け込んで来る。

ドロリと流れる血に私は真っ青になり、ランドルが横にした姿勢で寝転がす。

ドクドクと広がる血の海に、私は強張り、何が起きているのか分からなかった。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...