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カルドリア王国
エバーアフター。
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漆黒のマントを身に纏い、色気のある目の下の黒子に紅い瞳の美貌の魔術師団の総長は、朝から酷く憂鬱だった。
詰所の入り口には、男女の師団員達が今か今かと総長達の登場を心待ちにしているのだった。
後ろには第1師団総長、クレード=アルベンロッサ=エルド=カルドリア。
第2師団長アスコット=ルアー、第3師団長エミール=アクセルロッドが並ぶ。
その後ろから栗色の髪をボニーテールに結び、美しい翡翠のような瞳を見開いてセレーナ=アルヴェルディアが颯爽と登場した。
彼女は、師団を持たず副総長として魔術師団に君臨しそのずば抜けた魔力と学術都市「クロニクル」との懸け橋となり、魔術と、科学の平和活用に尽力していたのだった。
セレーナの凄まじい魔力は、神田有栖が消えてしまった今も残っていた。
神具を扱う事も出来る彼女は、毎年行われる3国の話し合いの席でも協議に参加し、王公子たちとも民の暮らしについて議論を繰り広げるのだった。
有栖の記憶だけでなく、志も受け継いだ彼女は、元から好きな読書を生かし、論文を読み漁り、メイデルと共に古代神殿都市「エストラルド」の遺跡研究や、神話研究に協力した。
更に、先端エネルギーの開発にも取り組んでいるらしく非常に忙しい3足の草鞋を履いた生活をしていたのであった。
昨年、新設した第4師団は、先の戦いで抜群の成長を見せたリンダ=ラクシャータが団長を勤めていた。
この6人のカリスマの登場に、魔術師団の詰め所は歓声に沸き、総長や団長達の美しく整った顔と圧倒的な魔力のオーラに、発狂しそうな女性師団員や、ファンクラブ然とした男性の応援隊達は一同に騒ぎ始める。
ぶすっとしたランドルは、皆を睨みつける。
凍えるような視線に、団員たちは固まる者、悶絶する者など反応はバラバラだった。
「何で、セレーナと一緒に過ごす時間がこんなに少ないのだ・・。」
チラリと後ろを歩く、栗色の髪の美少女を眺めてぼやく。
アスコットは慌てて、ランドルの腕を引っ張って頬を膨らまして抗議した。
「ちょっと、ランドル君!
師団員達への八つ当たりは辞めなよ?
ただで際、毎朝、普段から凄まじい殺気がだだ漏れで団員達が怖がっているのに・・・。」
「まぁなー。確かに最近のセレーナは、メイデルと論文ばっか読んでるから不安なんだろうなー。
気持は分かるけど、毎日カルドリアとマグダリアと、シーグラルドを転移して忙しく動いてるし、
何より、総長のお前が忙しくてバタバタしているんだからお互い様だろう?
まぁ、俺は毎日魔術師団や王宮で会えてるし、いつでも略奪する気でいるけどな!!」
「おいクレード、物騒な事言うな・・。
お前達は王子なんだから、決められた女性を早く娶ればいいだろう。
そもそもセレーナは、私の婚約者だぞ・・。」
「はいはい。俺も幼少期から婚約しているみたいなもんだけどな。」
「お前、それは無理やりだったろ!?
私達の正式な婚約と、ママゴトでの強制した約束を混同するな。」
セレーナは、不機嫌なランドルの側に駆け寄り、並びながら心配そうに見つめる。
「ランドル様・・・。どうしたのですか?
いつもに増して、不機嫌じゃないですか・・・。」
「・・最近、メイデルとばかり論文を読んでいるだろう?セレーナが全然足りない。」
「はぁ・・・!?子供ですか!!」とでも、言いたげなセレーナの表情に、少し切なくなるランドルだった。
「・・・ランドル様、狭量なお言葉にガッカリです。私はエストラルドの神話を、正しい形で伝えたいと望まれるメイデル様に協力をしたいのです!
神話の歪んだ伝聞を正し、アヴァとカイルの真実を伝えたいのに・・。」
「分かっている・・。
しかし、せっかく戦いが終わって、国が落ち着いたのに・・。
昨夜、隣国の王宮での舞踏会でお会いした、アリストラド王弟陛下と、セレーネ殿のアツアツぶりに当てられたんだろうな。
私達は、いつになったら結婚出来るのだろうな・・。」
「お父様とお母様は特別ですよ。
あの2人は今が新婚みたいなモノでしょ?」
拗ねている私の様子を見て、クスクス笑ったセレーナは私を見上げた。
「私達も、婚約から2年半だ。そろそろ申し込んだら受けてくれるか?」
腰に手を回した私に、セレーナは、小さくバチリと電撃を撃って払う。
「うーん。今は駄目ですねー。
・・・お断りいたします!!」
ふわりと踵を返したセレーナは、下をペロリと出して先へと進んで行ってしまった。
「あああっ・・。報われない!!
でも、今日も可愛いなー。クソッ。」
頭を抱えた総長の姿に、師団長達は笑う。
「ランドル君、ほら、王宮からのお達しが来てるよ?
総長に、今夜の舞踏会の件で相談があるってさ。
・・さあ皆も、今日は特別な夜だよ。
仕事仕事!!」
集まった師団員を叱咤激励しながら、アスコットは詰所へと颯爽と歩く。
顔を引き締めたランドルは、前を向きマントを翻して王宮へと向かった。
その日の晩。
明日からに控えた、カルドリア王国、マグダリア王国、シーグランド王国の3国協定の為の、年に1度の3ヵ国が集う場。
今年の開催地、カルドリア王国の王宮で大きな舞踏会が開催された。
3国の王族や、侯爵家以上の有力貴族や、政治科、魔術者達と、科学者達が今後の政治を話し合い、施策を決める場への参加で沢山の人々がその場に集っていた。
「昨年は、シーグランド王国で行われた舞踏会では、いきなりアリストラド王弟陛下が、セレーネ様に結婚を申し込んで、場が華やいだな。
今年は、そのようなサプライズがあれば面白いのに・・・。」
「そうね、お母様も、お父様も今夜も幸せそうに踊られているわ。
あの2人を見ていると、恋って素敵だと思うの・・・。
お互いしか見えない関係・・。
色々あったのに、どうしてもその人がいいなんて素敵よね!」
クリーム色の光沢のあるドレスに、栗色の髪をアップスタイルに纏めたセレーナが笑顔で、グラスを持ち微笑んでいた。
エメラルドのような緑の瞳は嬉しそうに輝き、ダンスホールの下では、ひと際美しく輝いていた。
その横で、パリッとした騎士服の詰襟を立て、スマートに佇むアスコットはそんなセレーナを眩しそうに見下ろしていた。
「そう?難しい事ではないと思うよ。
僕も、昔からずっとセレーナの事が好きだけどね・・・。
でも、君だって変わらずに彼の事が好きだろ?」
そう言うと、持っていたグラスの指でランドルの方向を指し示していた。
私とアスコットの少し離れた先の一団の中に、ランドル=クラリシッドが立っていた。
タッセルが留めた黒色のマントに、濃紺の詰襟の服を身に纏い、漆黒の髪を揺らして落ち着いた表情で微笑んでいた。
彼の側にいた、マグダリアのメラニー王女を始め、周りの男女問わずの面々を魅了していたのだった。
「ランドル様!!
私、今週一杯はこちらの王宮に滞在するの!
明日、是非一緒に乗馬でも如何かしら??」
頬を染めた紅い瞳のゴージャスなメラニー王女は、胸を大きく開いたドレスと、赤い口紅でボディタッチをガンガンしてる。
不快そうなランドルと、押せ押せのメラニー。
そんな2人が舞踏会場の中では、一段と目立っていた。
「ほら・・。いつまでも意地を張っていると、ランドル君が盗られてしまうよ?」
アスコットは、青い瞳を切なそうに細めてセレーナを見つめた。
いつも、優しく強く、前向きで美しく輝いている彼女への気持ちは降り積もるばかりだった・・。
「団長、私、自分の気持ちに自信がないのです。
父や母みたいに、アリスとユウみたいに・・。
絶対的にこの人だって自信が。
私は、確かにアリスの中でランドル様に魅かれていたけど。
それは彼女の気持ちだったのか、私の気持ちだったのか・・確信が持てなくて。」
「・・そう本当にそう思うの?
僕には、君はランドル君の事を好きそうに見えるんだけどな。
では、まだまだ・・僕にもチャンスはあるのかな?」
「もう団長!私を揶揄わないでくださいよ・・。」
アスコットの冗談に、苦笑いをした私は持っていたシャンパンをぐいっと飲み干した。
後ろにいたリンダは、少し悲しそうなアスコットの表情を見て、切なそうに瞳を陰らせていた。
完結予定だったのですが、現世の2人と、ランドルとセレーナ達の今後を少し加筆することにしました!!
もう少しだけお付き合い、宜しくお願いします。
詰所の入り口には、男女の師団員達が今か今かと総長達の登場を心待ちにしているのだった。
後ろには第1師団総長、クレード=アルベンロッサ=エルド=カルドリア。
第2師団長アスコット=ルアー、第3師団長エミール=アクセルロッドが並ぶ。
その後ろから栗色の髪をボニーテールに結び、美しい翡翠のような瞳を見開いてセレーナ=アルヴェルディアが颯爽と登場した。
彼女は、師団を持たず副総長として魔術師団に君臨しそのずば抜けた魔力と学術都市「クロニクル」との懸け橋となり、魔術と、科学の平和活用に尽力していたのだった。
セレーナの凄まじい魔力は、神田有栖が消えてしまった今も残っていた。
神具を扱う事も出来る彼女は、毎年行われる3国の話し合いの席でも協議に参加し、王公子たちとも民の暮らしについて議論を繰り広げるのだった。
有栖の記憶だけでなく、志も受け継いだ彼女は、元から好きな読書を生かし、論文を読み漁り、メイデルと共に古代神殿都市「エストラルド」の遺跡研究や、神話研究に協力した。
更に、先端エネルギーの開発にも取り組んでいるらしく非常に忙しい3足の草鞋を履いた生活をしていたのであった。
昨年、新設した第4師団は、先の戦いで抜群の成長を見せたリンダ=ラクシャータが団長を勤めていた。
この6人のカリスマの登場に、魔術師団の詰め所は歓声に沸き、総長や団長達の美しく整った顔と圧倒的な魔力のオーラに、発狂しそうな女性師団員や、ファンクラブ然とした男性の応援隊達は一同に騒ぎ始める。
ぶすっとしたランドルは、皆を睨みつける。
凍えるような視線に、団員たちは固まる者、悶絶する者など反応はバラバラだった。
「何で、セレーナと一緒に過ごす時間がこんなに少ないのだ・・。」
チラリと後ろを歩く、栗色の髪の美少女を眺めてぼやく。
アスコットは慌てて、ランドルの腕を引っ張って頬を膨らまして抗議した。
「ちょっと、ランドル君!
師団員達への八つ当たりは辞めなよ?
ただで際、毎朝、普段から凄まじい殺気がだだ漏れで団員達が怖がっているのに・・・。」
「まぁなー。確かに最近のセレーナは、メイデルと論文ばっか読んでるから不安なんだろうなー。
気持は分かるけど、毎日カルドリアとマグダリアと、シーグラルドを転移して忙しく動いてるし、
何より、総長のお前が忙しくてバタバタしているんだからお互い様だろう?
まぁ、俺は毎日魔術師団や王宮で会えてるし、いつでも略奪する気でいるけどな!!」
「おいクレード、物騒な事言うな・・。
お前達は王子なんだから、決められた女性を早く娶ればいいだろう。
そもそもセレーナは、私の婚約者だぞ・・。」
「はいはい。俺も幼少期から婚約しているみたいなもんだけどな。」
「お前、それは無理やりだったろ!?
私達の正式な婚約と、ママゴトでの強制した約束を混同するな。」
セレーナは、不機嫌なランドルの側に駆け寄り、並びながら心配そうに見つめる。
「ランドル様・・・。どうしたのですか?
いつもに増して、不機嫌じゃないですか・・・。」
「・・最近、メイデルとばかり論文を読んでいるだろう?セレーナが全然足りない。」
「はぁ・・・!?子供ですか!!」とでも、言いたげなセレーナの表情に、少し切なくなるランドルだった。
「・・・ランドル様、狭量なお言葉にガッカリです。私はエストラルドの神話を、正しい形で伝えたいと望まれるメイデル様に協力をしたいのです!
神話の歪んだ伝聞を正し、アヴァとカイルの真実を伝えたいのに・・。」
「分かっている・・。
しかし、せっかく戦いが終わって、国が落ち着いたのに・・。
昨夜、隣国の王宮での舞踏会でお会いした、アリストラド王弟陛下と、セレーネ殿のアツアツぶりに当てられたんだろうな。
私達は、いつになったら結婚出来るのだろうな・・。」
「お父様とお母様は特別ですよ。
あの2人は今が新婚みたいなモノでしょ?」
拗ねている私の様子を見て、クスクス笑ったセレーナは私を見上げた。
「私達も、婚約から2年半だ。そろそろ申し込んだら受けてくれるか?」
腰に手を回した私に、セレーナは、小さくバチリと電撃を撃って払う。
「うーん。今は駄目ですねー。
・・・お断りいたします!!」
ふわりと踵を返したセレーナは、下をペロリと出して先へと進んで行ってしまった。
「あああっ・・。報われない!!
でも、今日も可愛いなー。クソッ。」
頭を抱えた総長の姿に、師団長達は笑う。
「ランドル君、ほら、王宮からのお達しが来てるよ?
総長に、今夜の舞踏会の件で相談があるってさ。
・・さあ皆も、今日は特別な夜だよ。
仕事仕事!!」
集まった師団員を叱咤激励しながら、アスコットは詰所へと颯爽と歩く。
顔を引き締めたランドルは、前を向きマントを翻して王宮へと向かった。
その日の晩。
明日からに控えた、カルドリア王国、マグダリア王国、シーグランド王国の3国協定の為の、年に1度の3ヵ国が集う場。
今年の開催地、カルドリア王国の王宮で大きな舞踏会が開催された。
3国の王族や、侯爵家以上の有力貴族や、政治科、魔術者達と、科学者達が今後の政治を話し合い、施策を決める場への参加で沢山の人々がその場に集っていた。
「昨年は、シーグランド王国で行われた舞踏会では、いきなりアリストラド王弟陛下が、セレーネ様に結婚を申し込んで、場が華やいだな。
今年は、そのようなサプライズがあれば面白いのに・・・。」
「そうね、お母様も、お父様も今夜も幸せそうに踊られているわ。
あの2人を見ていると、恋って素敵だと思うの・・・。
お互いしか見えない関係・・。
色々あったのに、どうしてもその人がいいなんて素敵よね!」
クリーム色の光沢のあるドレスに、栗色の髪をアップスタイルに纏めたセレーナが笑顔で、グラスを持ち微笑んでいた。
エメラルドのような緑の瞳は嬉しそうに輝き、ダンスホールの下では、ひと際美しく輝いていた。
その横で、パリッとした騎士服の詰襟を立て、スマートに佇むアスコットはそんなセレーナを眩しそうに見下ろしていた。
「そう?難しい事ではないと思うよ。
僕も、昔からずっとセレーナの事が好きだけどね・・・。
でも、君だって変わらずに彼の事が好きだろ?」
そう言うと、持っていたグラスの指でランドルの方向を指し示していた。
私とアスコットの少し離れた先の一団の中に、ランドル=クラリシッドが立っていた。
タッセルが留めた黒色のマントに、濃紺の詰襟の服を身に纏い、漆黒の髪を揺らして落ち着いた表情で微笑んでいた。
彼の側にいた、マグダリアのメラニー王女を始め、周りの男女問わずの面々を魅了していたのだった。
「ランドル様!!
私、今週一杯はこちらの王宮に滞在するの!
明日、是非一緒に乗馬でも如何かしら??」
頬を染めた紅い瞳のゴージャスなメラニー王女は、胸を大きく開いたドレスと、赤い口紅でボディタッチをガンガンしてる。
不快そうなランドルと、押せ押せのメラニー。
そんな2人が舞踏会場の中では、一段と目立っていた。
「ほら・・。いつまでも意地を張っていると、ランドル君が盗られてしまうよ?」
アスコットは、青い瞳を切なそうに細めてセレーナを見つめた。
いつも、優しく強く、前向きで美しく輝いている彼女への気持ちは降り積もるばかりだった・・。
「団長、私、自分の気持ちに自信がないのです。
父や母みたいに、アリスとユウみたいに・・。
絶対的にこの人だって自信が。
私は、確かにアリスの中でランドル様に魅かれていたけど。
それは彼女の気持ちだったのか、私の気持ちだったのか・・確信が持てなくて。」
「・・そう本当にそう思うの?
僕には、君はランドル君の事を好きそうに見えるんだけどな。
では、まだまだ・・僕にもチャンスはあるのかな?」
「もう団長!私を揶揄わないでくださいよ・・。」
アスコットの冗談に、苦笑いをした私は持っていたシャンパンをぐいっと飲み干した。
後ろにいたリンダは、少し悲しそうなアスコットの表情を見て、切なそうに瞳を陰らせていた。
完結予定だったのですが、現世の2人と、ランドルとセレーナ達の今後を少し加筆することにしました!!
もう少しだけお付き合い、宜しくお願いします。
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