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第三章 芸術祭といえば秋、なら実りと収穫でしょ!
間話ステラの恋愛話16
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スフレさまが我が家に来てから数日が経ち、あの日から全く手紙が来ていない。
まだ数日だから返答が来てないだけかもしれないが、しこりの残る日々が続いていた。
少しため息が出てしまい、慌てて口を閉じた。
「最近、元気がないように見えるが大丈夫か?」
だがすでに遅く、同僚であるセルランに見られてしまった。
勤務態度としてもあまり褒められたものではない。
「はい。ただ少し気持ちが緩んでしまったようです。引き締めます」
「そうか……そういえば婚姻の話はどうなった?」
タイミング悪く聞かれて、内心焦ってしまった。
この話は軽く流してもらおう。
「手紙のやり取りと数回会った程度です。まだ婚姻するかは決めかねているところです」
セルランは特に何も言わない。
無言の時間が流れた。
話を振ったのだから、話を締めてほしいと思う。
そんな時、部屋からベルが鳴った。
「わたくしが行きますね」
「頼む」
部屋の中に入った。
そこにはクロートとホーキンスがいた。
「姫さま、お呼びでしょうか?」
「ええ、こちらに来てください」
わたくしは姫さまのお招きに応じて、テーブルの方へ向かった。
色々な資料が並べられており、おそらくは蒼の髪の伝承について調べているのだろう。
姫さまが説明を始める。
「早速だけど、ステラ。ゴーステフラートの伝承を呼び起こすために事前調査をすることになりました。一応領主の城近くに祭壇があるらしいのですが、遺跡の中みたいです。ホーキンス先生の調査が必要で、護衛を用意しないといけませんのでステラにお願いします。またしばらくお休みがなくなるから、それが終わってから長期の休みを与えますね」
「かしこまりました。ちょうど体を動かしたいと思ったところです」
わたくしは承諾した。
それから洞窟内の地図をもらい、危険なところを先に洗い出す。
姫さまとクロートは話を続けた。
「そういえばスヴァルトアルフから数人の文官が派遣されるのでしたね」
「はい。伝承についてあちらも情報が欲しいようです。ただ仲が良くなったとはいえ、他領の人間を招き入れますので、余計な情報が行かないように全員注意してください」
スヴァルトアルフの文官と聞いて一人の男の顔が思い出された。
もしかしたら来るのか?
あの日のこともあり、もし来ていたら嫌だな、という思いがあった。
……いけない。
勤務中に余計な考えはいけない!
わたくしは頭から余計なことを排除して、任務について考えることにした。
早速わたくしとホーキンスでゴーステフラートに向かった。
調査の中には、姫さまが入っても大丈夫かの確認もあるのでしっかり武装していく。
数日後に姫さまが来るので、それまではホーキンスとずっといることになる。
遺跡周辺に野営地の準備を終えて、調査のメンバーと顔合わせがあった。
そしてそのメンバーの中にはスフレさまもいらっしゃった。
自由時間の間、少しの気まずさもあって川辺で水が流れるのを見ていた。
「ここにいましたか」
わたくしが木に体を預けて立っていると、横から声を掛けられた。
顔を横に向けるとスフレさまが歩いてきていた。
気まずいと思っているのはわたくしだけなのか、そう疑わせるほど笑顔だった。
「少し休憩がしたく思いまして。でも驚きました。まさかスフレさまがこの場に現れるなんて」
「わたしも同じ気持ちだ。お隣りいいかな?」
「構いませんよ」
二人で突っ立て、川のせせらぎを見る。
全く落ち着かないが、どこかに行ってほしいとも言えず、ただ時間だけが経っていく。
「ステラさまー、どこにいますか?」
遠くホーキンスの声が聞こえてきた。
ここで閃く。
これなら抜け出しても特におかしいわけはない。
「すみません。呼ばれているようなので失礼します」
わたくしは返事を待たずその場を離れた。
ようやく解放された空気に安堵した。
まさかホーキンスに感謝するようになるとは思ってもみなかった。
「ステラさま、聞こえていますか?」
「こちらです。一体どうしまーーひゃっ!」
ホーキンスに近づくといきなり両手を掴まれた。
思わず情けない声が出てしまった。
一体何事かとホーキンスを見るとかなり目を輝かせている。
「ちょうど試したいことがあったのですよ! ささ、僕に身を任せてください! マリアさまからも許可を貰っています。優しく教えますので、力を抜いてください!」
……姫さまァァァぁ!
わたくしに全て丸投げしたことは明白だ。
これからめんどくさいことを押し付けられるに違いない。
だがふと周りの視線に気付く。
「おい、まさかホーキンス先生が恋をしたのか?」
「それもマリアさまの側近であるステラさまじゃないか! くぅー、羨ましいなぁ」
「やっぱりマリアさまと仲良くなればこういう出会いも期待できるんだろうな」
好き勝手周りが変な噂で盛り上がっている。
どうにか訂正しないと、わたくしはこの変態教師と婚姻を結んでいる噂が流れてします。
それだけは絶対に嫌だ。
どうにか手を離そうとしたが、なかなかどうして。
ホーキンスは何気に筋力があり、振り払うことが出来ない。
「ステラさまから離れろ!」
スフレさまから怒声が響き渡り、さらにトライードがホーキンスを掠めた。
かろうじてホーキンスは避けたが、危うく怪我するところだった。
「ステラさま、わたしの後ろにお下がりください!」
「いや……これは」
わたくしはどう誤解を説こうと考えたが、スフレさまが力強くトライードを握っている。
「大丈夫です! わたしが貴女をお守りする」
チラッとこちらに振り向いて笑顔を向けた。
胸のあたりが一瞬締め付けられるのと同時に顔に火照りを感じた。
「一体何をする! 研究の邪魔をするな! これから伝承の実験をするんだぞ!」
ホーキンスは怒っていた。
そこでスフレさまは動きを止めた。
「実験? えっ、どう、えっ?」
一体何のことだと、少しずつ意味を理解し始めた。
「そうだ! 大事な仕事で、おまけでマリアさまからの命令だぞ!」
……姫さまのお言葉をおまけって……
何とも不敬な発言だが今はスフレさまの誤解を説こう。
「あの……スフレさま? おそらく勘違いしております。ホーキンス先生はただわたくしに実験の協力を依頼しているだけで、その……変なことはするつもりはないですよ?」
わたくしが全て話したことで、スフレさまは顔を赤くしてその場にしゃがみ込んだ。
まだ数日だから返答が来てないだけかもしれないが、しこりの残る日々が続いていた。
少しため息が出てしまい、慌てて口を閉じた。
「最近、元気がないように見えるが大丈夫か?」
だがすでに遅く、同僚であるセルランに見られてしまった。
勤務態度としてもあまり褒められたものではない。
「はい。ただ少し気持ちが緩んでしまったようです。引き締めます」
「そうか……そういえば婚姻の話はどうなった?」
タイミング悪く聞かれて、内心焦ってしまった。
この話は軽く流してもらおう。
「手紙のやり取りと数回会った程度です。まだ婚姻するかは決めかねているところです」
セルランは特に何も言わない。
無言の時間が流れた。
話を振ったのだから、話を締めてほしいと思う。
そんな時、部屋からベルが鳴った。
「わたくしが行きますね」
「頼む」
部屋の中に入った。
そこにはクロートとホーキンスがいた。
「姫さま、お呼びでしょうか?」
「ええ、こちらに来てください」
わたくしは姫さまのお招きに応じて、テーブルの方へ向かった。
色々な資料が並べられており、おそらくは蒼の髪の伝承について調べているのだろう。
姫さまが説明を始める。
「早速だけど、ステラ。ゴーステフラートの伝承を呼び起こすために事前調査をすることになりました。一応領主の城近くに祭壇があるらしいのですが、遺跡の中みたいです。ホーキンス先生の調査が必要で、護衛を用意しないといけませんのでステラにお願いします。またしばらくお休みがなくなるから、それが終わってから長期の休みを与えますね」
「かしこまりました。ちょうど体を動かしたいと思ったところです」
わたくしは承諾した。
それから洞窟内の地図をもらい、危険なところを先に洗い出す。
姫さまとクロートは話を続けた。
「そういえばスヴァルトアルフから数人の文官が派遣されるのでしたね」
「はい。伝承についてあちらも情報が欲しいようです。ただ仲が良くなったとはいえ、他領の人間を招き入れますので、余計な情報が行かないように全員注意してください」
スヴァルトアルフの文官と聞いて一人の男の顔が思い出された。
もしかしたら来るのか?
あの日のこともあり、もし来ていたら嫌だな、という思いがあった。
……いけない。
勤務中に余計な考えはいけない!
わたくしは頭から余計なことを排除して、任務について考えることにした。
早速わたくしとホーキンスでゴーステフラートに向かった。
調査の中には、姫さまが入っても大丈夫かの確認もあるのでしっかり武装していく。
数日後に姫さまが来るので、それまではホーキンスとずっといることになる。
遺跡周辺に野営地の準備を終えて、調査のメンバーと顔合わせがあった。
そしてそのメンバーの中にはスフレさまもいらっしゃった。
自由時間の間、少しの気まずさもあって川辺で水が流れるのを見ていた。
「ここにいましたか」
わたくしが木に体を預けて立っていると、横から声を掛けられた。
顔を横に向けるとスフレさまが歩いてきていた。
気まずいと思っているのはわたくしだけなのか、そう疑わせるほど笑顔だった。
「少し休憩がしたく思いまして。でも驚きました。まさかスフレさまがこの場に現れるなんて」
「わたしも同じ気持ちだ。お隣りいいかな?」
「構いませんよ」
二人で突っ立て、川のせせらぎを見る。
全く落ち着かないが、どこかに行ってほしいとも言えず、ただ時間だけが経っていく。
「ステラさまー、どこにいますか?」
遠くホーキンスの声が聞こえてきた。
ここで閃く。
これなら抜け出しても特におかしいわけはない。
「すみません。呼ばれているようなので失礼します」
わたくしは返事を待たずその場を離れた。
ようやく解放された空気に安堵した。
まさかホーキンスに感謝するようになるとは思ってもみなかった。
「ステラさま、聞こえていますか?」
「こちらです。一体どうしまーーひゃっ!」
ホーキンスに近づくといきなり両手を掴まれた。
思わず情けない声が出てしまった。
一体何事かとホーキンスを見るとかなり目を輝かせている。
「ちょうど試したいことがあったのですよ! ささ、僕に身を任せてください! マリアさまからも許可を貰っています。優しく教えますので、力を抜いてください!」
……姫さまァァァぁ!
わたくしに全て丸投げしたことは明白だ。
これからめんどくさいことを押し付けられるに違いない。
だがふと周りの視線に気付く。
「おい、まさかホーキンス先生が恋をしたのか?」
「それもマリアさまの側近であるステラさまじゃないか! くぅー、羨ましいなぁ」
「やっぱりマリアさまと仲良くなればこういう出会いも期待できるんだろうな」
好き勝手周りが変な噂で盛り上がっている。
どうにか訂正しないと、わたくしはこの変態教師と婚姻を結んでいる噂が流れてします。
それだけは絶対に嫌だ。
どうにか手を離そうとしたが、なかなかどうして。
ホーキンスは何気に筋力があり、振り払うことが出来ない。
「ステラさまから離れろ!」
スフレさまから怒声が響き渡り、さらにトライードがホーキンスを掠めた。
かろうじてホーキンスは避けたが、危うく怪我するところだった。
「ステラさま、わたしの後ろにお下がりください!」
「いや……これは」
わたくしはどう誤解を説こうと考えたが、スフレさまが力強くトライードを握っている。
「大丈夫です! わたしが貴女をお守りする」
チラッとこちらに振り向いて笑顔を向けた。
胸のあたりが一瞬締め付けられるのと同時に顔に火照りを感じた。
「一体何をする! 研究の邪魔をするな! これから伝承の実験をするんだぞ!」
ホーキンスは怒っていた。
そこでスフレさまは動きを止めた。
「実験? えっ、どう、えっ?」
一体何のことだと、少しずつ意味を理解し始めた。
「そうだ! 大事な仕事で、おまけでマリアさまからの命令だぞ!」
……姫さまのお言葉をおまけって……
何とも不敬な発言だが今はスフレさまの誤解を説こう。
「あの……スフレさま? おそらく勘違いしております。ホーキンス先生はただわたくしに実験の協力を依頼しているだけで、その……変なことはするつもりはないですよ?」
わたくしが全て話したことで、スフレさまは顔を赤くしてその場にしゃがみ込んだ。
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