悪役令嬢への未来を阻止〜〜人は彼女を女神と呼ぶ〜〜

まさかの

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第三章 芸術祭といえば秋、なら実りと収穫でしょ!

閑話ステラの恋愛話17

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 顔がフッと綻びてしまった。
 何だか頼りになる雰囲気から一転可愛らしい雰囲気になった。
 だがまずはやるべきことがあった。
 毅然とした態度でホーキンス先生に言う。

「ホーキンス先生、興奮すると見境が無くなるから、いらぬ誤解を招くのです。あまりにもひどいようですと姫さまに報告して、罰をお与えになるように進言しますよ?」
「うっ……」

 姫さまの言葉を聞いて顔を青くした。
 これは罰せられるのが恐いのではなく、姫さまに協力を制限されることの方が恐いのだ。
 渋々ではあるが、あとでテントに行くことで同意となった。

「なんだ、ただの勘違いか」
「ホーキンス先生が人間に興味持つわけないよな」
「てことはまだ俺にもチャンスはあるんだな!」


 野次馬たちがどんどん散り散りになっていく。
 スフレさまも立ち上がって、一度咳払いをした。

「その……すまない。恥ずかしいところを見せました」

 耳まで赤いままその場を離れようとする。
 だがわたくしはその前に彼の手を掴んで引き留めた。

「カッコ良かったですよ。スフレさまだけがわたくしを守ろうとしてくれましたから」

 言っている自分も恥ずかしくなって、俯きながら伝えた。
 騎士として力量を上げるにつれて、周りから守られるということが減っていった。
 実力を認められている証でもあるので、そこに関しては特に悲観することはない。
 だが普通の令嬢のように庇護すべき対象と思ってもらえるのは、案外嬉しいものだと知った。
 スフレさまはこちらを振り返った。

「男として、好きな女性を守るのは当たり前です。たとえ貴女より弱くても、見て見ぬ振りをしても良い理由にはならない。だから……そのぉ、本当に怪我がなくてーー」

 スフレさまは先程以上に顔を赤くした。
 言葉を躊躇いながら、何と言うか躊躇われている。
 ものすごく胸がドキドキと弾んでいく。

「おい、スフレ! ちょっとこっちを手伝ってくれ!」
「おぅおお!」
「きゃっ!」


 思わず奇怪な叫び声を二人とも上げてしまった。
 心臓に悪いタイミングで声を掛けられたせいだ。
 スフレさまはすぐに返事を返した。
 ちょうどスフレさまの影に隠れる形だったのでわたくしのことは見えていないようだ。
 また二人の視線が合わさった。

「ぷっ!」

 最初にスフレさまが笑ったことで、次にわたくしも笑ってしまった。
 なぜだかお互いに自然と笑いが生まれたのだ。
 やっとお互いに落ち着いた。

「何だかやっと素直にお話が出来た気がする」
「わたくしもです」
「また時間があるときにじっくり話そう。お互いに呼ばれているみたいだし」
「そうですね。では……お待ちしていますね」


 最後の言葉は少しばかり恥ずかしかった。
 まるで乙女のような言葉なので、もうわたくしには縁が無いとは思っていた。

「ああ、また声を掛ける。ではまた後で」

 一度お互いに別れてから、わたくしはホーキンス先生の手伝いに行った。
 結局ずっと付き合わされてクタクタになるまで働かせられた。
 そして、とうとう遺跡内への調査となった。

「ワクワクするね。どんなものがあるかな」

 ホーキンスはものすごくワクワクしていた。
 一つだけ疑問があった。
 この場所は特に知られていない場所ではなく、領主がしっかり管理していた。
 それなのにまだ一度も探索をしたことがないのか?

「ホーキンス先生はここは未探索なのですか?」
「いいや、もちろんしている。ただ、最近マリアさまが魔力を込めたら出てくる部屋があっただろ? だから念のため魔法陣がないか調べてもらったんだ。そしたらあったんだよ。それもマリアさまの魔力じゃなくても大丈夫なやつが」

 どうやらゴーステフラートの方で色々調べてくれたようで、隠し通路が見つかったようだ。
 まだ未探索の部分は多いが、魔法陣に詳しい者が多いため一気に解明していくようだ。

「現時点では魔物は居ないらしいけど、油断はしないようにね。罠も結構多いらしいから」
「分かりました。姫さまの安全の確保だけは最優先事項ですから油断などあり得ません」

 わたくしは堂々と答えた。
 ホーキンスの口笛と他領の文官たちから、おぉ、という声が響いた。
 遺跡へと足を運ぶと、綺麗な状態であった。
 遺跡は広大ではあるがしっかり保全はしていることから、しっかり信仰を受け継いでいくというのが残って好感を覚えた。


「では行きましょう」

 ホーキンスの先導のもと先へと進む。
 遺跡の内部から地下の階段に降りた。
 そこには解放された隠し扉があった。

「ここがそうみたいだね。なるべく離れないように付いてきてくれ。魔法陣に気付いたら教えてね」

 かなり薄暗いので、護衛でいるだけのわたくしが棒状に形作られた物を持って灯りを担当する。
 魔道具なため、魔力がある限り灯りを灯せるのだ。
 通路を進むと開けた場所に出た。
 さらに先にはたくさんの部屋がいくつもあり、迷路のように入り組んでいた。

「ほうほう、これはすごい。では各位、それぞれ地図の作成と伝承に関わることの捜索をするように!」

 ホーキンスが命令を出して各自動き出した。
 わたくしはホーキンスと共に担当の部屋を見て回った。
 壁画が多く残されており、予想以上に昔は伝承に対しての信仰が根強かったようだ。
 そこには複数の人間の壁画が残っていた。

「これが五大貴族のご先祖さまですか?」

 蒼の髪を持った乙女は、ジョセフィーヌの直系であらせられる。
 だがその他の五大貴族にはそれぞれ別々の伝承がある。
 しかしそれは蒼の髪と同じく実在しているかわからないものだった。
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