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17. 鬼先生
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お父様の命で始まった護身術だけど、今は護身術の域を超えてる気がする。
というのも……
「これって、剣よね……?」
……刀身が細めの剣を握らされているから。
「ええ、剣ですよ」
「なんで私が剣術をやらなきゃいけないのよ!?」
「旦那様から、手練れ相手でも死なないようにしろ、と言われましたので」
お父様、ハードル高すぎよ……。
「私が手練れの人に勝てるわけないじゃない……」
「剣で守ってる間に魔法で攻撃すれば勝ち目はあると思います」
「そう……」
「では、早速やっていきましょう」
「お手柔らかにお願いします」
「まずは基本の型からいきましょう」
そうして、私の剣術の練習が始まった。
☆ ☆ ☆
剣の練習をさせられること2時間、私は手の痛みに襲われていた。
護身術で体を動かしていたおかげなのか、手以外は痛くないけど物をつかめないから辛い。
「申し訳ありません、休憩を挟まなくって」
「別に怒ってないわよ」
手の痛みのせいで不機嫌になっているから、今の言葉に説得力はないと思う。
実際、侍女さんが頭を下げたまま動かない。
「いいから、顔を上げて」
「はい……」
その時だった。
「お嬢様、昼食の準備ができました」
執事さんがそう告げに来た。
「分かったわ」
そう返事をしたけれど、私は頭を抱えてしまった。
物を掴めないのに、スプーンやフォークを持てるはずがない。
「ねえどうしよう! これじゃあ何も食べられないじゃない」
「お詫びに、食べさせて差し上げましょうか?」
「そんな恥ずかしいことしなくていいわよ!」
……などと話しているうちに、痛みが引いてきたので結局普通に食べることが出来た。
☆ ☆ ☆
「さあ、続きをやりますよ!」
昼食後、意気込む先生役の侍女さんを見て私はげんなりしていた。
なぜか、護衛の騎士さんまでいる。
「もう手が限界よ……。明日じゃだめ?」
「ダメですよ。もう時間がありませんから」
「もう疲れたのよ」
そう言って頬を膨らませてみたけど、全く相手にされなかった。
「騎士さんの攻撃を防いでみてくださいね~! 木剣でも防げなかったら痛いですよ~!」
「えっ……寸止めじゃないの⁉︎」
あざとかになったらどうするのよ⁉︎ ……って思ったけど、うちのお医者様ならすぐに治せることに思い至ってしまった。
でも、痛いのは嫌よ!
「だから、本気で防いでくださいね~」
「鬼だわ、鬼がここにいるわ……」
「ぐずぐず言ってないで始めますよ。さあ、構えてください!」
そして、私が構えるよりも先に騎士さんの剣が迫ってきた。
ギリギリ反応出来る速さだったから防げたけれど、そのまま次の攻撃が飛んできた。
「こんなの無理よ~~!」
「出来てるじゃないですか、頑張ってください」
抗議の声は綺麗にスルーされ、数分後には私の肩口を騎士さんの剣が直撃してしまった。
というのも……
「これって、剣よね……?」
……刀身が細めの剣を握らされているから。
「ええ、剣ですよ」
「なんで私が剣術をやらなきゃいけないのよ!?」
「旦那様から、手練れ相手でも死なないようにしろ、と言われましたので」
お父様、ハードル高すぎよ……。
「私が手練れの人に勝てるわけないじゃない……」
「剣で守ってる間に魔法で攻撃すれば勝ち目はあると思います」
「そう……」
「では、早速やっていきましょう」
「お手柔らかにお願いします」
「まずは基本の型からいきましょう」
そうして、私の剣術の練習が始まった。
☆ ☆ ☆
剣の練習をさせられること2時間、私は手の痛みに襲われていた。
護身術で体を動かしていたおかげなのか、手以外は痛くないけど物をつかめないから辛い。
「申し訳ありません、休憩を挟まなくって」
「別に怒ってないわよ」
手の痛みのせいで不機嫌になっているから、今の言葉に説得力はないと思う。
実際、侍女さんが頭を下げたまま動かない。
「いいから、顔を上げて」
「はい……」
その時だった。
「お嬢様、昼食の準備ができました」
執事さんがそう告げに来た。
「分かったわ」
そう返事をしたけれど、私は頭を抱えてしまった。
物を掴めないのに、スプーンやフォークを持てるはずがない。
「ねえどうしよう! これじゃあ何も食べられないじゃない」
「お詫びに、食べさせて差し上げましょうか?」
「そんな恥ずかしいことしなくていいわよ!」
……などと話しているうちに、痛みが引いてきたので結局普通に食べることが出来た。
☆ ☆ ☆
「さあ、続きをやりますよ!」
昼食後、意気込む先生役の侍女さんを見て私はげんなりしていた。
なぜか、護衛の騎士さんまでいる。
「もう手が限界よ……。明日じゃだめ?」
「ダメですよ。もう時間がありませんから」
「もう疲れたのよ」
そう言って頬を膨らませてみたけど、全く相手にされなかった。
「騎士さんの攻撃を防いでみてくださいね~! 木剣でも防げなかったら痛いですよ~!」
「えっ……寸止めじゃないの⁉︎」
あざとかになったらどうするのよ⁉︎ ……って思ったけど、うちのお医者様ならすぐに治せることに思い至ってしまった。
でも、痛いのは嫌よ!
「だから、本気で防いでくださいね~」
「鬼だわ、鬼がここにいるわ……」
「ぐずぐず言ってないで始めますよ。さあ、構えてください!」
そして、私が構えるよりも先に騎士さんの剣が迫ってきた。
ギリギリ反応出来る速さだったから防げたけれど、そのまま次の攻撃が飛んできた。
「こんなの無理よ~~!」
「出来てるじゃないですか、頑張ってください」
抗議の声は綺麗にスルーされ、数分後には私の肩口を騎士さんの剣が直撃してしまった。
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