悪役令嬢に嵌められてしまったので、破滅に追い込んで平穏に過ごそうと思います!

八代奏多

文字の大きさ
24 / 24

24. 裁判です

しおりを挟む
 厳かな雰囲気の中、アーシャ様の裁判は始まった。

「アーシャ・レノクス、貴女には暗殺未遂、暴行、脅迫、違法薬物の取引など、多くの容疑がかけられています」

 私達は被害者として傍聴席にいる。
 うちの騎士長さんは証人として出廷を命じられている。

「まずは暗殺未遂についてです。貴女はレシア・アレオス様を一方的に恨み人を雇って暗殺しようとした。これは殺人に次ぐ大変重い罪です。
 何か異論はありますか?」

 アーシャ様にそう問う裁判長さん。

「あの女が悪いのですわ! 私のエルワード様に近付くから!」
「そのような事は法で認められておりません。暗殺未遂については被告人の発言の通り、事実が確認出来ました」

 まだ私のせいにしようとするアーシャ様に呆れてきた……。

「次は暴行についてです」



 この後はアーシャ様がやらかした事が公にされていった。
 それでもアーシャ様は醜く抵抗を続けた。

 途中からは暴れ始めたけれど、兵士さん1人に難なく押さえつけられていた。



「ーーそれでは、判決を言い渡します。
 被害者から減刑の申し出があった事を加味して、アーシャ・レノクスを身分剥奪の上、修道院送りとします。その後については状況を見て判断いたします」

 実は、レノクス家との関係を酷く拗れさせないために罪を軽くするように言っていた。
 それを聞いてもらえていたようで、私は安心した。

「これにて閉廷とします」
「離しなさい! 無礼者! お父様が許しませんわよ!」

 連行されながら叫ぶアーシャ様を見届けてから私は法廷を後にした。

 ざまぁみろ……なんて思ってはないけど、これから暴力を振るわれないと思うと安心した。


   ☆ ☆ ☆



 裁判から1週間が経ち、私はパーティーを満喫している。

 令嬢最大のグループのリーダーのリテクス公爵令嬢は少しの無礼でも許してくださる優しい方なので、怯えることなく過ごせている。
 かくいう私も何故かグループのリーダーみたいになっているけど、もう気にしない事にした。

「レシア様、今度はレシア様かお茶会を開いてください!」
「私が?」

 不意打ちに聞き返してしまう私。
 今まで忙しくてお茶会を開く余裕なんてなかったからそれもいいかなと思う。

「はい!」
「アレオス邸を見たいそうですの」
「ちょっと! それは秘密って言ったじゃない!」

 今では公なパーティー以外でこんな風にふざける事も出来るようになって、みんな楽しそうにしている。

「うちなんて自慢するようなものないわよ?」
「アイセア様からすごいって聞きましたよ! 謙遜なさらないでください!」
「アイセア、余計なこと言ってくれたのね?」
「お庭は自慢できるわよね?」
「は、って何よ! それ以外も見せられるよ! ……あっ」

 平穏が訪れた社交界で私達は会話を楽しむのだった。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
 今回で第一部完結となります。

 第二部のプロットがまだ未完ですので、次回以降の更新は未定です。
 連載再開時期については近況ボードでお知らせする予定ですので、それまでお待ち下さい。
しおりを挟む
感想 4

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(4件)

🌷︎
2021.10.30 🌷︎
ネタバレ含む
解除
麟華
2021.09.30 麟華
ネタバレ含む
解除
萌乃
2021.01.17 萌乃
ネタバレ含む
2021.01.18 八代奏多

感想ありがとうございます。

呼び方ですが、主従関係は確かにそうなのですが、お世話される側(雇い主側)の日々の感謝の表れと考えてください。

解除

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、 たまたま付き人と、 「婚約者のことが好きなわけじゃないー 王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」 と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。 私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、 「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」 なんで執着するんてすか?? 策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー 基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。 他小説サイトにも投稿しています。

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした

黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→

AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」 ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。 お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。 しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。 そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。 お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。

婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。

パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。 王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ 頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。 ゆるい設定です

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。