悪役令嬢に嵌められてしまったので、破滅に追い込んで平穏に過ごそうと思います!

八代奏多

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23. 追い詰めます!

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「アーシャ嬢、君が使用人にレシア嬢を暗殺するように指示していたことは分かっている。嘘をついたら罰が重くなるだけだから、正直に話したらどうかね?」

 国王陛下の言葉に黙り込んでしまうアーシャ様。

 流石のアーシャ様も陛下には逆らおうとしないみたい。

「陛下、失礼ながら証拠は全て揃っております。彼女が何を言おうと、罪は明らかです」
「そうだな。アーシャ嬢、今回の罪はどう償うつもりかね?」
「わ、わたくしは悪くありませんわ!」

 陛下の問いにそう答えるアーシャ様。

「……私のエルワード様を奪おうとしたあの女が悪いんですわ!」
「救えないな……。死者は出ていないから、修道院送りがいいだろう。そこで再教育させよう」
「いやですわ! なんでわたくしが修道院送りですの⁉︎」

 うるさく喚くアーシャ様に周りの人たちが不機嫌そうな表情を向ける。

「陛下、お伝えし忘れていました。アーシャ様は麻薬の密売にも関わっていたようです」
「ふむ。そうなると私の一存では決めるわけにはいくまい。来週、裁判を開くことにしよう」

 こうして、アーシャ様は裁判にかけられることになったのだけど……

「わたくしは何もしていませんのよ⁉︎ 全てはあの女のせいですわ! あの女のせいで……許しませんわ! 許しませんわ……!」

 ……アーシャ様がそんなことを言いながら私に手を向けてきた。

「死んで償いなさい!」

 そんな言葉と共に光の筋が私の頭に向かって放たれた。

「お嬢様!」
「下がって」

 魔法での戦いになればサラさんが戦うよりも私が戦った方が勝てるはず。それに、サラさんの魔力では大怪我をしかねないから。

「闇よ」

 私は防御魔法を使った。
 呪文スペルを唱えなくても魔法自体は使えるけれど、魔力を練っていなかったから唱えるしかなかった。

 何故か私のでない魔法で防御が二重になっているけれど……。

 ちなみに、学院の授業でアーシャ様と戦ったときは全敗している。アーシャ様の機嫌を損ねないように手を抜いていたから。
 だから勝算はある。

「死ねーーッ!」

 今度の攻撃はさっきのよりも魔力が込められていた。
 その攻撃は私が防ぐ前に、目の前に飛び込んできた影によって防がれた。

「レシア、大丈夫か?」
「え、ええ」

 私はエルワード様の介入に戸惑いながらも、アーシャ様に雷の魔法を放った。

「きゃあっ!」

 私が放った魔法が直撃したアーシャ様は身体を痙攣させて、そのまま床に倒れた。
 当たった相手の身体を麻痺させる護身用の魔法が効いたみたい。

 頭を打つ「ゴチン」という音が聞こえたけど、気にしないようにしよう……。

「今だ、拘束しろ!」

 王宮の兵士さんに魔法を封じる効果のある手枷を嵌められるアーシャ様。

「無礼者! 離しなさい! 触らないで! エルワード様、助けて!」
「牢に連れて行け!」

 この日、アーシャ様は裁判まで王宮の貴人用の牢に入れられることになった。
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