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7. 騎士団side 捜索
「魔力反応が消えただと⁉︎」
ここは王国騎士団特務隊の司令室。そこに、一人の男の声が響いた。
「アストリア領内で完全に消えています。あの辺りは危険な魔物が多いので、襲われた可能性があります」
「なんてことだ……。すぐに捜索隊を派遣しろ!」
「はっ」
そう指示を出す特務隊隊長は頭を抱えていた。
特務隊は王家直属という立ち位置のため、隊長は特に国王から作戦の狙いなどを聞かされることがある。
今回の元聖女捕縛作戦も狙いを聞かされていた。
強力で貴重な治癒魔法の使い手フィリアを他国に奪われないように、そして失わないように捕らえておく必要がある。隊長はそう聞かされていた。
実際に戦力としてフィリアの力に希望を抱いていた隊長がこの作戦に本気にならない理由がなかった。
だからこそ、頭を抱えているのだ。
「なんてことだ……神よ、我に力を与えてはくれませんか……?」
フィリアが絶命したと思われる絶望的状況に、隊長は神に願うことしかできなかった。
同じ頃、ノスタルダム子爵邸は大騒ぎになっていた。
「いいか、罪人が隠れてないかくまなく探せ!」
「「はっ」」
「なぜ騎士団が来るのですか? 指令書を見せてください!」
いくら騎士団だろうと荒らされる可能性しかない。そう考えた門番は引き止めようとしていた。
しかし……
「そんなものはない。陛下の指示だ、そんなに気になるなら王宮に行って聞いてこい」
……そう一蹴されてしまった。
「そんなことが許されるとお思いですか⁉︎」
「ああ、許される。念のためこの男を拘束しろ」
「なっ……」
驚きのあまり、固まってしまう門番。
それが隙となり、縄がかけられ彼は拘束されてしまった。
だが、彼が暴れることはなかった。
反抗すれば、雇い主であるノスタルダム子爵に迷惑がかかると考えたから。
「よし、門が空いた。くまなく探せ!」
その掛け声とともに雪崩れ込む騎士団員。
彼らはそのまま屋敷の中にも入っていき、人の入れる大きさの物を開けたりして捜索を始めた。
しかし、全てを探し終えても目的の人物──フィリアが見つかることは無かった。
「何か知っていそうな使用人を探して問い詰めろ。吐かないようなら拷問しても構わない」
そうして門番を含めた使用人達への鞭打ちが始まった。
「いい加減に吐いたらどうだ? 吐いたら楽になるぞ」
「おろろ……」
騎士団員の足に煌めくモノがかかる。
「うわっ、汚ねぇ! 吐くってそういう意味じゃねぇよ! いい加減に知ってることを話したらどうだって聞いてるんだ」
「私が知っているのはさっき話した通りです! お嬢様のことはここ半年間見ていません!」
いくら鞭で打っても何も語らない使用人達に騎士団員達は苛立ちを募らせていた。
「報告いたします! いくら鞭で打っても証言に変わりはありません!」
「そうか。本当に罪人はここには来ていないようだ。拷問を直ちにやめて治療に当たれ」
それもそのはず、使用人達にフィリアが来ているのを見たという記憶が無いのだ。
証言が出るはずがなかった。
この頃、フィリア達を乗せた馬車は子爵邸のあるハステイル王国を抜け、隣国グランディア王国に入っていた。
そして……
「報告いたします。グランディア王国の領内で罪人の魔力の反応がありました」
「なんだと⁉︎ 聖女を奪われたというのか⁉︎」
……王宮で報告を受けた国王はかつて無いほど取り乱した。
聖女を閉じ込め、好きなように使うのが難しくなってしまったから。
ここは王国騎士団特務隊の司令室。そこに、一人の男の声が響いた。
「アストリア領内で完全に消えています。あの辺りは危険な魔物が多いので、襲われた可能性があります」
「なんてことだ……。すぐに捜索隊を派遣しろ!」
「はっ」
そう指示を出す特務隊隊長は頭を抱えていた。
特務隊は王家直属という立ち位置のため、隊長は特に国王から作戦の狙いなどを聞かされることがある。
今回の元聖女捕縛作戦も狙いを聞かされていた。
強力で貴重な治癒魔法の使い手フィリアを他国に奪われないように、そして失わないように捕らえておく必要がある。隊長はそう聞かされていた。
実際に戦力としてフィリアの力に希望を抱いていた隊長がこの作戦に本気にならない理由がなかった。
だからこそ、頭を抱えているのだ。
「なんてことだ……神よ、我に力を与えてはくれませんか……?」
フィリアが絶命したと思われる絶望的状況に、隊長は神に願うことしかできなかった。
同じ頃、ノスタルダム子爵邸は大騒ぎになっていた。
「いいか、罪人が隠れてないかくまなく探せ!」
「「はっ」」
「なぜ騎士団が来るのですか? 指令書を見せてください!」
いくら騎士団だろうと荒らされる可能性しかない。そう考えた門番は引き止めようとしていた。
しかし……
「そんなものはない。陛下の指示だ、そんなに気になるなら王宮に行って聞いてこい」
……そう一蹴されてしまった。
「そんなことが許されるとお思いですか⁉︎」
「ああ、許される。念のためこの男を拘束しろ」
「なっ……」
驚きのあまり、固まってしまう門番。
それが隙となり、縄がかけられ彼は拘束されてしまった。
だが、彼が暴れることはなかった。
反抗すれば、雇い主であるノスタルダム子爵に迷惑がかかると考えたから。
「よし、門が空いた。くまなく探せ!」
その掛け声とともに雪崩れ込む騎士団員。
彼らはそのまま屋敷の中にも入っていき、人の入れる大きさの物を開けたりして捜索を始めた。
しかし、全てを探し終えても目的の人物──フィリアが見つかることは無かった。
「何か知っていそうな使用人を探して問い詰めろ。吐かないようなら拷問しても構わない」
そうして門番を含めた使用人達への鞭打ちが始まった。
「いい加減に吐いたらどうだ? 吐いたら楽になるぞ」
「おろろ……」
騎士団員の足に煌めくモノがかかる。
「うわっ、汚ねぇ! 吐くってそういう意味じゃねぇよ! いい加減に知ってることを話したらどうだって聞いてるんだ」
「私が知っているのはさっき話した通りです! お嬢様のことはここ半年間見ていません!」
いくら鞭で打っても何も語らない使用人達に騎士団員達は苛立ちを募らせていた。
「報告いたします! いくら鞭で打っても証言に変わりはありません!」
「そうか。本当に罪人はここには来ていないようだ。拷問を直ちにやめて治療に当たれ」
それもそのはず、使用人達にフィリアが来ているのを見たという記憶が無いのだ。
証言が出るはずがなかった。
この頃、フィリア達を乗せた馬車は子爵邸のあるハステイル王国を抜け、隣国グランディア王国に入っていた。
そして……
「報告いたします。グランディア王国の領内で罪人の魔力の反応がありました」
「なんだと⁉︎ 聖女を奪われたというのか⁉︎」
……王宮で報告を受けた国王はかつて無いほど取り乱した。
聖女を閉じ込め、好きなように使うのが難しくなってしまったから。
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