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45. 余命6日③
「お互いに協力するということでいいだろうか?」
どうやって役に立とうか悩んでいると、陛下にそんな問いかけをされた。
これを断る理由なんて欠片もない。だから私はすぐに頷いて、こう返した。
「ええ、これから宜しくお願いしますわ」
「ありがとう。重い話はここまでにして、そろそろ夕食にしよう」
陛下はそう言うと、自ら席を立って侍従達を部屋に招き入れた。
「夕食の用意を」
「畏まりました」
陛下の指示に返事をする侍女さん。
この後すぐに料理が運ばれてきて、夕食が始まったのだけど……王族の前だからか緊張で殆ど話すことが出来なかった。
王妃様は「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」なんて言ってくれたけど、緊張が解けることは無かった。
それから少しして、夕食後。
簡単な挨拶を終えた私は、無事に部屋に戻った。
「疲れたわ……」
ベッドに横になりたい衝動を抑えてソファに腰掛けると、隣にフレアが姿を現した。
「相手もただの人間なんだから、もう少し気を抜いてもいいと思うわよ?」
「そうしたいけど、少しでも無礼って思われたら終わりだもの……」
この格好のままだと休まらないわ……。
そんなことを思ったから、大して休まずに衣装部屋に着替えに向かう私。
するとフレアも一緒に来てくれて、そのまま着替えを手伝ってくれた。
「ありがとう。侍女みたいにしちゃってごめんね」
「私が好きでやってるんだから、気にしなくていいわよ」
「それでもよ。私は何も出来てないから……」
フレアにそう返事をしながらベッドに横になる私。
すると、フレアはベッドの縁に腰掛けて、こんなことを口にした。
「魔力を貰ってるお礼よ」
「本当に貰ってるの?」
正直言って、魔力を吸われているような感覚は全くしていない。
だから本当に魔力を渡しているのか気になったのだけど……。
「それはレティシアの魔力が多すぎるからよ。普通の人間の100倍はありそうね」
「そ、そうなのね……」
魔力の量について知るには、魔力が尽きるまで魔術を使うくらいしか方法がないから、他人に知られることはない。
でも、ちょっと桁違いすぎて引いてしまった。自分のことなのに……。
「どういうわけか分からないけど、貴族の方が魔力は多いみたいよ」
「よく分かるわね?」
「私たち精霊って魔力を感じることができるから、それのお陰よ」
そんなことを話している間に湯浴みがまだだったと思い出してしまった。
慌てて立ち上がれば、フレアが不思議そうに私を見つめていた。
「何かあったの?」
「まだ湯浴みをしていなかったから……」
「そういうことね。手伝うわ。レティシアは着替えの準備でもしておいて」
そう言って私より先にお風呂に向かうフレア。
私はそのまま夜着を用意したりしてからお風呂に向かった。
「先に入ってるわね」
お風呂の扉を開ければ既にフレアが湯船に浸かっていて、そんなことを口にした。
「う、うん……」
「身体洗って欲しい? 疲れているでしょ?」
「大丈夫よ、自分で出来るから」
配慮は嬉しいけど、誰かに体を洗ってもらったことは無いから恥ずかしいのよね……。
世の中にはお風呂のお世話まで使用人にさせている貴族もいるらしいのだけど、正直その行動は理解出来ない。
そういうわけだから、自分で身体を洗ったりしてから湯船に入る私。
それからしばらく、フレアと雑談しながらお風呂の中で過ごしたのだけど……。
「大丈夫⁉︎」
気分が悪くなっていることに気が付いた私は、湯船の縁にもたれかかった。
「逆上せたみたい……」
「立てる? 歩ける?」
そう言われて立ち上がってみた。
どういうわけか、湯船が私の方に倒れてきた。
「大丈夫じゃなさそうね……」
結局、私はフレアに抱き上げられてベッドまで運ばれてしまった。
どうやって役に立とうか悩んでいると、陛下にそんな問いかけをされた。
これを断る理由なんて欠片もない。だから私はすぐに頷いて、こう返した。
「ええ、これから宜しくお願いしますわ」
「ありがとう。重い話はここまでにして、そろそろ夕食にしよう」
陛下はそう言うと、自ら席を立って侍従達を部屋に招き入れた。
「夕食の用意を」
「畏まりました」
陛下の指示に返事をする侍女さん。
この後すぐに料理が運ばれてきて、夕食が始まったのだけど……王族の前だからか緊張で殆ど話すことが出来なかった。
王妃様は「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」なんて言ってくれたけど、緊張が解けることは無かった。
それから少しして、夕食後。
簡単な挨拶を終えた私は、無事に部屋に戻った。
「疲れたわ……」
ベッドに横になりたい衝動を抑えてソファに腰掛けると、隣にフレアが姿を現した。
「相手もただの人間なんだから、もう少し気を抜いてもいいと思うわよ?」
「そうしたいけど、少しでも無礼って思われたら終わりだもの……」
この格好のままだと休まらないわ……。
そんなことを思ったから、大して休まずに衣装部屋に着替えに向かう私。
するとフレアも一緒に来てくれて、そのまま着替えを手伝ってくれた。
「ありがとう。侍女みたいにしちゃってごめんね」
「私が好きでやってるんだから、気にしなくていいわよ」
「それでもよ。私は何も出来てないから……」
フレアにそう返事をしながらベッドに横になる私。
すると、フレアはベッドの縁に腰掛けて、こんなことを口にした。
「魔力を貰ってるお礼よ」
「本当に貰ってるの?」
正直言って、魔力を吸われているような感覚は全くしていない。
だから本当に魔力を渡しているのか気になったのだけど……。
「それはレティシアの魔力が多すぎるからよ。普通の人間の100倍はありそうね」
「そ、そうなのね……」
魔力の量について知るには、魔力が尽きるまで魔術を使うくらいしか方法がないから、他人に知られることはない。
でも、ちょっと桁違いすぎて引いてしまった。自分のことなのに……。
「どういうわけか分からないけど、貴族の方が魔力は多いみたいよ」
「よく分かるわね?」
「私たち精霊って魔力を感じることができるから、それのお陰よ」
そんなことを話している間に湯浴みがまだだったと思い出してしまった。
慌てて立ち上がれば、フレアが不思議そうに私を見つめていた。
「何かあったの?」
「まだ湯浴みをしていなかったから……」
「そういうことね。手伝うわ。レティシアは着替えの準備でもしておいて」
そう言って私より先にお風呂に向かうフレア。
私はそのまま夜着を用意したりしてからお風呂に向かった。
「先に入ってるわね」
お風呂の扉を開ければ既にフレアが湯船に浸かっていて、そんなことを口にした。
「う、うん……」
「身体洗って欲しい? 疲れているでしょ?」
「大丈夫よ、自分で出来るから」
配慮は嬉しいけど、誰かに体を洗ってもらったことは無いから恥ずかしいのよね……。
世の中にはお風呂のお世話まで使用人にさせている貴族もいるらしいのだけど、正直その行動は理解出来ない。
そういうわけだから、自分で身体を洗ったりしてから湯船に入る私。
それからしばらく、フレアと雑談しながらお風呂の中で過ごしたのだけど……。
「大丈夫⁉︎」
気分が悪くなっていることに気が付いた私は、湯船の縁にもたれかかった。
「逆上せたみたい……」
「立てる? 歩ける?」
そう言われて立ち上がってみた。
どういうわけか、湯船が私の方に倒れてきた。
「大丈夫じゃなさそうね……」
結局、私はフレアに抱き上げられてベッドまで運ばれてしまった。
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