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57. 余命4日③
「大丈夫……?」
心配そうに問いかけてくるフレア。
手を握って、背中をさすってくれているのだけど……それでも吐き気が収まるどころか、息が切れてきていた。
「ちょっとまずいかも……。少し魔力返して……」
「分かったわ」
魔力を使いすぎると、魔力欠乏症なんて呼ばれている状態になることがあって、今の私はその状態になっているに違いない。
そう思い至ったから、フレアの手を握って魔力を返してもらおうとした。
すぐに握っている手から温かいものが広がっていって、息が落ち着いていく。
でも、この魔力が私のものではないことにすぐに気が付いた。
「これってフレアの……?」
「相性は悪くないから大丈夫なはずだけど、問題あったかしら?」
「ううん、これで大丈夫よ。ありがとう」
魔力欠乏って、安静にする以外に治す方法はなかったはずなのだけど……こんな治し方も出来るのね。
そんなことを思いながら、フレアの方に視線を向ける私。そして気付いてしまった。
フレアの手が真っ赤に染まってしまっていることに。
「ねえ、それって……」
「これ? レティの血だけど……」
「え?」
言われて、自分の手を見てみる。
すると血に濡れた私の手が視界に入ってきて、思わず目を背けてしまった。
魔力欠乏って、血を吐いてしまうこともあるらしいから、きっとそれね……。
「手、洗ってくるわね」
声をかけて、部屋にある台所に向かう。
身体はもう大丈夫なのに、フレアもついてきてくれた。
「私はもう大丈夫よ?」
「それもあるけど、私も手を洗いたいの」
「そうだったわね……」
そんなことを話しながら、交代で手を洗う私達。
部屋の扉がノックされたのは、その時だった。
「ジグルドだ。話したいことがあるから、開けてほしい」
「分かりましたわ」
フレアはまだ手を洗っているけど、血は殆ど落ちたみたいだから、出ても大丈夫そうね。それに、開けようとしたら姿を消すはずだから。
そう思ったけど、念のため鏡で身だしなみを確認してみる。
――うん、これでは駄目ね。
口の近くに血がついてしまっているし、ドレスにも血の跡が……。
「着替えてるので、少しお待ちください」
「分かった」
声をかけて、急いで衣裳部屋に駆け込む私。
すると、フレアがタオルを手に駆け寄ってきて、何かの魔法をかけながら顔を拭いてくれた。
「これで血は落ちたわ」
「今の一瞬で!?」
「浄化魔法よ。心配なら、確認してみて」
「大丈夫、ありがとう」
お礼を言って、扉の前に向かう。
後ろを振り返ってみると、そこにフレアの姿はなかった。
「お待たせしました」
「いや、殆ど待ってないから大丈夫だ」
穏やかな笑みを浮かべながら、そう返してくる殿下。
「この後は何か予定が入っていたりするだろうか?」
「空いているので大丈夫ですわ」
「良かった。それなら、少しテラスで話をしたい。いいだろうか?」
「ええ、大丈夫ですわ」
そう返事をしながら、前回と同じテラスに向かおうとする私。
でも、殿下は違う場所に向かおうとしていたみたいで、肩に手を置かれてしまった。
「そっちじゃない、こっちだ」
「分かりましたわ」
返事をして、殿下の後を追う私。
意識はしていないのに、少しすれば殿下と並ぶ形になっていた。
そして5分後。
「ここだ」
辿り着いたのは、王宮の最上階にあるテラスで、普段は王族しか入ることが許されていない場所だった。
「こんな場所で大丈夫ですの……?」
「父上の許可は得ている。だから問題ない」
「そうでしたのね、分かりましたわ」
そう返事をしている間に、殿下がテラスへ続く扉を開けて、テラスに足を踏み入れていた。
その後を追って、私もテラスに出た。
……のだけど、目の前に広がっている光景に、目を覆いたくなってしまった。
どうして瘴気が王宮のすぐ側まで迫っているの……!?
心配そうに問いかけてくるフレア。
手を握って、背中をさすってくれているのだけど……それでも吐き気が収まるどころか、息が切れてきていた。
「ちょっとまずいかも……。少し魔力返して……」
「分かったわ」
魔力を使いすぎると、魔力欠乏症なんて呼ばれている状態になることがあって、今の私はその状態になっているに違いない。
そう思い至ったから、フレアの手を握って魔力を返してもらおうとした。
すぐに握っている手から温かいものが広がっていって、息が落ち着いていく。
でも、この魔力が私のものではないことにすぐに気が付いた。
「これってフレアの……?」
「相性は悪くないから大丈夫なはずだけど、問題あったかしら?」
「ううん、これで大丈夫よ。ありがとう」
魔力欠乏って、安静にする以外に治す方法はなかったはずなのだけど……こんな治し方も出来るのね。
そんなことを思いながら、フレアの方に視線を向ける私。そして気付いてしまった。
フレアの手が真っ赤に染まってしまっていることに。
「ねえ、それって……」
「これ? レティの血だけど……」
「え?」
言われて、自分の手を見てみる。
すると血に濡れた私の手が視界に入ってきて、思わず目を背けてしまった。
魔力欠乏って、血を吐いてしまうこともあるらしいから、きっとそれね……。
「手、洗ってくるわね」
声をかけて、部屋にある台所に向かう。
身体はもう大丈夫なのに、フレアもついてきてくれた。
「私はもう大丈夫よ?」
「それもあるけど、私も手を洗いたいの」
「そうだったわね……」
そんなことを話しながら、交代で手を洗う私達。
部屋の扉がノックされたのは、その時だった。
「ジグルドだ。話したいことがあるから、開けてほしい」
「分かりましたわ」
フレアはまだ手を洗っているけど、血は殆ど落ちたみたいだから、出ても大丈夫そうね。それに、開けようとしたら姿を消すはずだから。
そう思ったけど、念のため鏡で身だしなみを確認してみる。
――うん、これでは駄目ね。
口の近くに血がついてしまっているし、ドレスにも血の跡が……。
「着替えてるので、少しお待ちください」
「分かった」
声をかけて、急いで衣裳部屋に駆け込む私。
すると、フレアがタオルを手に駆け寄ってきて、何かの魔法をかけながら顔を拭いてくれた。
「これで血は落ちたわ」
「今の一瞬で!?」
「浄化魔法よ。心配なら、確認してみて」
「大丈夫、ありがとう」
お礼を言って、扉の前に向かう。
後ろを振り返ってみると、そこにフレアの姿はなかった。
「お待たせしました」
「いや、殆ど待ってないから大丈夫だ」
穏やかな笑みを浮かべながら、そう返してくる殿下。
「この後は何か予定が入っていたりするだろうか?」
「空いているので大丈夫ですわ」
「良かった。それなら、少しテラスで話をしたい。いいだろうか?」
「ええ、大丈夫ですわ」
そう返事をしながら、前回と同じテラスに向かおうとする私。
でも、殿下は違う場所に向かおうとしていたみたいで、肩に手を置かれてしまった。
「そっちじゃない、こっちだ」
「分かりましたわ」
返事をして、殿下の後を追う私。
意識はしていないのに、少しすれば殿下と並ぶ形になっていた。
そして5分後。
「ここだ」
辿り着いたのは、王宮の最上階にあるテラスで、普段は王族しか入ることが許されていない場所だった。
「こんな場所で大丈夫ですの……?」
「父上の許可は得ている。だから問題ない」
「そうでしたのね、分かりましたわ」
そう返事をしている間に、殿下がテラスへ続く扉を開けて、テラスに足を踏み入れていた。
その後を追って、私もテラスに出た。
……のだけど、目の前に広がっている光景に、目を覆いたくなってしまった。
どうして瘴気が王宮のすぐ側まで迫っているの……!?
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