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58. 余命3日①
「嘘だろ……。もうここまで広がっているのか……」
テラスに出てすぐ、そんなことを呟く殿下。
フレアが言ってたことが本当なら、殿下も瘴気を払えるということになるのだけど……。
「殿下……?」
「すまない、なんでもない」
私が声をかけると、殿下は何もなかったかのように笑顔を浮かべていた。
「私にも見えてますわよ」
「見えてる?」
「この黒い霧のことですわ」
きっと、殿下はこの霧について話すために私を呼んだのよね。
「そうか、レティシアにも見えてたのか。ということは、払い方も知っているのか?」
「払い方というよりも消し方ですけど、一応知っていますわ」
「そうか、それなら話は早い。この霧を払うのを手伝って欲しいんだ」
やっぱりそうなるわよね……。
そんなことを思いながら、言葉に詰まる私。
本音を言えば、運命の日が迫っているから手伝いたくはなかった。
でも、王都の人たちのためにも、瘴気を放っておくわけにはいかない。
だから……ゆっくりと首を縦に振った。
「分かりましたわ」
「ありがとう。霧──瘴気と言うらしいが、これの払い方は知っているか?」
「光の魔力で相殺するということなら……」
「それは打ち消し方だな。払うだけなら、光の魔術で閃光を作れば出来る」
そう口にしながら、手に光の球を生み出す殿下。
すると、王宮の目の前まで迫っていた瘴気が少しだけ後ろに下がっていった。
「……こんな風に」
「分かりましたわ」
試しに、光の魔法を使ってみる私。
でも、瘴気は全く下がっていかなかった。
光の強さを倍にしても同じ。もっと強くしても、全く動かなかった。
「全く動きませんわ……」
「まさか……」
もしかして、魔術でないと効果がないのかしら……?
そう思ったから、今度は魔術を使ってみた。
「やっぱり無理みたいですわ……」
「そんな馬鹿な……」
そう呟きながら、再び光の魔術を使う殿下。
すると、瘴気が後ろに下がり始めた。
「どういうことですの……?」
「原因は分からないが、レティシアの方が効果が小さいみたいだ……」
「え……?」
私の方は効果が小さいどころか、全くないのだけど……?
「よく見れば分かるが、レティシアでも少しずつ動いている」
「そうですのね……」
じっと見てみても、変化は感じられないのだけど……。
「距離が離れると効果が出なくなるから、見ていても分からないはずだ」
殿下はそう説明してくれたけど、きっと私に瘴気を払う力は無い。一瞬そう思えてしまった。
「瘴気が近付いて来ないのが証拠だな」
でも、殿下のこの言葉で私にも瘴気を払えるかもしれない。そう思えたのに……。
再び瘴気が少しずつ近付き始めてしまった。
「なんでだ……」
困惑しながら、再び光の魔術を使う殿下。
再び瘴気は王宮から離れていった。
「やっぱり、私に瘴気を払う力は無いみたいですわ」
「……だが、打ち消すことは出来るはずだ。明日、王都に出て元凶を探るから、その時に試して欲しい」
「分かりましたわ」
「瘴気を見ていると気分が悪くなる。そろそろ中に戻ろう」
そんな言葉と共に手を引かれて、大人しくそれに従う私。
殿下はそのまま廊下を進んでいって、途中にある部屋に入っていった。
私もそれに続いて部屋に入ると、テーブルの上にお菓子が置いてあるのが目に入った。
でも、それよりも気になることがあった。
「殿下、一つ質問してもよろしいですか?」
「ああ」
間を置かずに頷く殿下。
「前回までにも瘴気は出ていましたの?」
「ああ。とは言っても、ここまで酷いものではなかった」
「そうでしたのね……」
つまり、殿下が経験した前回の人生から、運命は変わっているのね……。
何が原因かは分からないけれど。
「話したかったことはこれで終わりなんだが、少し雑談でもしないか?」
「ええ」
殿下からのお誘いを断る訳にはいかないから頷いたのだけど……今の状況で楽しく雑談が出来るとは思えなかった。
「まだ言ってなかったけど、そのお菓子は食べて大丈夫だから」
「では、いただきますわ」
そう返しながら、早速ひとつ口に運ぶ私。
突然知らない人の声が響いたのは、その時だった。
「フレア、いい加減に出てきなさいよ」
声の主は殿下の真後ろに突然あらわれた金髪の女性で、私の方をじっと見つめてきている。
えっと、これはどういう状況なのかしら……?
テラスに出てすぐ、そんなことを呟く殿下。
フレアが言ってたことが本当なら、殿下も瘴気を払えるということになるのだけど……。
「殿下……?」
「すまない、なんでもない」
私が声をかけると、殿下は何もなかったかのように笑顔を浮かべていた。
「私にも見えてますわよ」
「見えてる?」
「この黒い霧のことですわ」
きっと、殿下はこの霧について話すために私を呼んだのよね。
「そうか、レティシアにも見えてたのか。ということは、払い方も知っているのか?」
「払い方というよりも消し方ですけど、一応知っていますわ」
「そうか、それなら話は早い。この霧を払うのを手伝って欲しいんだ」
やっぱりそうなるわよね……。
そんなことを思いながら、言葉に詰まる私。
本音を言えば、運命の日が迫っているから手伝いたくはなかった。
でも、王都の人たちのためにも、瘴気を放っておくわけにはいかない。
だから……ゆっくりと首を縦に振った。
「分かりましたわ」
「ありがとう。霧──瘴気と言うらしいが、これの払い方は知っているか?」
「光の魔力で相殺するということなら……」
「それは打ち消し方だな。払うだけなら、光の魔術で閃光を作れば出来る」
そう口にしながら、手に光の球を生み出す殿下。
すると、王宮の目の前まで迫っていた瘴気が少しだけ後ろに下がっていった。
「……こんな風に」
「分かりましたわ」
試しに、光の魔法を使ってみる私。
でも、瘴気は全く下がっていかなかった。
光の強さを倍にしても同じ。もっと強くしても、全く動かなかった。
「全く動きませんわ……」
「まさか……」
もしかして、魔術でないと効果がないのかしら……?
そう思ったから、今度は魔術を使ってみた。
「やっぱり無理みたいですわ……」
「そんな馬鹿な……」
そう呟きながら、再び光の魔術を使う殿下。
すると、瘴気が後ろに下がり始めた。
「どういうことですの……?」
「原因は分からないが、レティシアの方が効果が小さいみたいだ……」
「え……?」
私の方は効果が小さいどころか、全くないのだけど……?
「よく見れば分かるが、レティシアでも少しずつ動いている」
「そうですのね……」
じっと見てみても、変化は感じられないのだけど……。
「距離が離れると効果が出なくなるから、見ていても分からないはずだ」
殿下はそう説明してくれたけど、きっと私に瘴気を払う力は無い。一瞬そう思えてしまった。
「瘴気が近付いて来ないのが証拠だな」
でも、殿下のこの言葉で私にも瘴気を払えるかもしれない。そう思えたのに……。
再び瘴気が少しずつ近付き始めてしまった。
「なんでだ……」
困惑しながら、再び光の魔術を使う殿下。
再び瘴気は王宮から離れていった。
「やっぱり、私に瘴気を払う力は無いみたいですわ」
「……だが、打ち消すことは出来るはずだ。明日、王都に出て元凶を探るから、その時に試して欲しい」
「分かりましたわ」
「瘴気を見ていると気分が悪くなる。そろそろ中に戻ろう」
そんな言葉と共に手を引かれて、大人しくそれに従う私。
殿下はそのまま廊下を進んでいって、途中にある部屋に入っていった。
私もそれに続いて部屋に入ると、テーブルの上にお菓子が置いてあるのが目に入った。
でも、それよりも気になることがあった。
「殿下、一つ質問してもよろしいですか?」
「ああ」
間を置かずに頷く殿下。
「前回までにも瘴気は出ていましたの?」
「ああ。とは言っても、ここまで酷いものではなかった」
「そうでしたのね……」
つまり、殿下が経験した前回の人生から、運命は変わっているのね……。
何が原因かは分からないけれど。
「話したかったことはこれで終わりなんだが、少し雑談でもしないか?」
「ええ」
殿下からのお誘いを断る訳にはいかないから頷いたのだけど……今の状況で楽しく雑談が出来るとは思えなかった。
「まだ言ってなかったけど、そのお菓子は食べて大丈夫だから」
「では、いただきますわ」
そう返しながら、早速ひとつ口に運ぶ私。
突然知らない人の声が響いたのは、その時だった。
「フレア、いい加減に出てきなさいよ」
声の主は殿下の真後ろに突然あらわれた金髪の女性で、私の方をじっと見つめてきている。
えっと、これはどういう状況なのかしら……?
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