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11. 出会い③
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「はじめまして、ティアナと申します。以後よろしくお願いいたします」
スカートの裾を軽く持ち上げながら礼をする若い女性。
普通に貴族の家に仕えていてもおかしくない所作に驚いた。
「フィーナ・アストリアと申します。こちらこそよろしくお願いしますわ」
私も淑女の礼を返した。
でも、なんでこんなしっかりした人が平民の使用人なんてやってるのかしら?
気になるけど失礼だと思うから聞けないわ。
もしかして、ジークさんは貴族なのかしら?
そうだとすれば今の状況は納得出来る。
気になった私は早速聞いてみることにした。
「ジークさんって、もしかして貴族ですか?」
「そうだけど、言ってなかった?」
「言ってないです」
「それはすまない……」
「なんという家なのですか?」
申し訳なさそうにするジークさんにそう尋ねる私。
「アトランタ辺境伯家だ」
「そうだったのですね」
「知らないだろ?」
「いえ、知ってますわ。両親がたまに話していましたので」
アトランタ辺境伯様と私のお父様は同盟国同士の会議でよく会っていたそうで、確かジークさんのことも話していたような気がする。
もしかして、最初からジークさんは私のこと知ってたのかな?
同盟国とは言っても、この国にあの王太子殿下の力は及ばないから連れ戻されることはない。
だから、ジークさんに頼んでお父様とお母様にお手紙を送ってもらおうと思った。
「話を戻すけど、今日はうちに泊まってもらえないかな? フィーナに何かあったらアストリア侯爵に殺されてしまうからね」
「分かりましたわ」
流石に殺されはしないと思うけど……。
それはともかく、私はジークさんの家に泊めてもらうことに決めた。
「ところで、ジーク様はなんでこんなところに住んでいるんですか?」
「家を継ぐための修行の最中でね、庶民と同じ生活をしながら魔物と戦うんだ。あと2ヵ月で終わるけど、それまではずっとここで寝泊まりするよ」
そう説明してくれるジークさん。
やっぱり、私がここにいるのは迷惑な気がする。
「やっぱり、私がいるとご迷惑ですよね……」
「いや、迷惑ではない。むしろここにいてもらわないと困る」
「はい?」
唐突に変なことを言われて、思わず聞き返してしまった。
「フィーナがいる方が魔物から寄ってきてくれて修行が捗るから」
「つまり、私に囮になれと言っているのですね?」
「そういうことになってしまうな。無理強いはしないが、協力してもらえると助かる」
ジークさんに助けてもらえなかったら、今頃私は魔力が尽きて魔物に好き勝手されていたと思う。
だから、助けてもらえたことはありがたく思っているし、いつかお礼をしたいとも思ってる。
でも、いくらなんでも殿方と2人きりになるなんて信じられない。
「ジーク様、無理強いは良くありませんよ。
フィーナ様、寝ずの旅でお疲れでしょう? 今日はゆっくり休まれた方が良いかと思います」
「ええ、そうさせていただきますわ」
私はティアナさんの提案に乗ることにした。
ジークさんの家の中に入って案内された部屋で持ち物の確認をしていると、こんな会話が聞こえてきた。
「なんで俺の提案は断られたのにティアナのは受け入れられるんだ?」
「ジーク様は下心が見えますからね、仕方ないですよ。そういうことはフィーナ様のお気持ちを掴んでから考えてください」
「そんなこと全く考えてないぞ! 女の子と一緒に過ごすことを想像しただけだ」
「考えてるじゃないですか。信用してもらえるまでは我慢してください」
「ああ……」
気になって部屋を覗いてみると、ジークさんはテーブルに突っ伏していた。
大丈夫かな……?
スカートの裾を軽く持ち上げながら礼をする若い女性。
普通に貴族の家に仕えていてもおかしくない所作に驚いた。
「フィーナ・アストリアと申します。こちらこそよろしくお願いしますわ」
私も淑女の礼を返した。
でも、なんでこんなしっかりした人が平民の使用人なんてやってるのかしら?
気になるけど失礼だと思うから聞けないわ。
もしかして、ジークさんは貴族なのかしら?
そうだとすれば今の状況は納得出来る。
気になった私は早速聞いてみることにした。
「ジークさんって、もしかして貴族ですか?」
「そうだけど、言ってなかった?」
「言ってないです」
「それはすまない……」
「なんという家なのですか?」
申し訳なさそうにするジークさんにそう尋ねる私。
「アトランタ辺境伯家だ」
「そうだったのですね」
「知らないだろ?」
「いえ、知ってますわ。両親がたまに話していましたので」
アトランタ辺境伯様と私のお父様は同盟国同士の会議でよく会っていたそうで、確かジークさんのことも話していたような気がする。
もしかして、最初からジークさんは私のこと知ってたのかな?
同盟国とは言っても、この国にあの王太子殿下の力は及ばないから連れ戻されることはない。
だから、ジークさんに頼んでお父様とお母様にお手紙を送ってもらおうと思った。
「話を戻すけど、今日はうちに泊まってもらえないかな? フィーナに何かあったらアストリア侯爵に殺されてしまうからね」
「分かりましたわ」
流石に殺されはしないと思うけど……。
それはともかく、私はジークさんの家に泊めてもらうことに決めた。
「ところで、ジーク様はなんでこんなところに住んでいるんですか?」
「家を継ぐための修行の最中でね、庶民と同じ生活をしながら魔物と戦うんだ。あと2ヵ月で終わるけど、それまではずっとここで寝泊まりするよ」
そう説明してくれるジークさん。
やっぱり、私がここにいるのは迷惑な気がする。
「やっぱり、私がいるとご迷惑ですよね……」
「いや、迷惑ではない。むしろここにいてもらわないと困る」
「はい?」
唐突に変なことを言われて、思わず聞き返してしまった。
「フィーナがいる方が魔物から寄ってきてくれて修行が捗るから」
「つまり、私に囮になれと言っているのですね?」
「そういうことになってしまうな。無理強いはしないが、協力してもらえると助かる」
ジークさんに助けてもらえなかったら、今頃私は魔力が尽きて魔物に好き勝手されていたと思う。
だから、助けてもらえたことはありがたく思っているし、いつかお礼をしたいとも思ってる。
でも、いくらなんでも殿方と2人きりになるなんて信じられない。
「ジーク様、無理強いは良くありませんよ。
フィーナ様、寝ずの旅でお疲れでしょう? 今日はゆっくり休まれた方が良いかと思います」
「ええ、そうさせていただきますわ」
私はティアナさんの提案に乗ることにした。
ジークさんの家の中に入って案内された部屋で持ち物の確認をしていると、こんな会話が聞こえてきた。
「なんで俺の提案は断られたのにティアナのは受け入れられるんだ?」
「ジーク様は下心が見えますからね、仕方ないですよ。そういうことはフィーナ様のお気持ちを掴んでから考えてください」
「そんなこと全く考えてないぞ! 女の子と一緒に過ごすことを想像しただけだ」
「考えてるじゃないですか。信用してもらえるまでは我慢してください」
「ああ……」
気になって部屋を覗いてみると、ジークさんはテーブルに突っ伏していた。
大丈夫かな……?
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