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33. フィーナ父side 掴んだ異変
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最近、こんな噂が王宮で囁かれるようになった。
ーー王太子殿下とレイラ様の仲が冷めてきた。
普通の男性なら興味無くて聞き流してしまいそう内容だが、今回は婚約者だったフィーナを国外追放にするという暴挙に出たということもあって、男性の間でも噂は広まっている。
なにかと男性優位に事が運ぶローザニアの社交界だが、フィーナの味方の方が多くなっている。
ほとんどの貴族が王太子に喧嘩を売ってまでフィーナを擁護しようとしているのだ。
こんな光景、父ですら見たことが無いらしい。
最初は付き合いがある貴族から関係を切られないか心配だったが、今となってはその心配はしていない。
情報収集をしなくても情報が勝手に集まって来るようになったから驚きだ。
その情報の中には気になるものがあった。
『レイラ・サーペンス公爵令嬢が禁止されている魔法を使用した可能性がある』
娘のルシアの婚約者がいる公爵家から送られてきたこの情報は暗号化されていた。
その情報には、来るべき時まで情報を秘匿することを勧めるーーそう書かれた手紙が同封されていた。
おそらく、証拠を隠蔽されないようにするためだろう。
この情報を得た私は、すぐにアイリスを執務室に呼び出した。
「ここに呼び出すなんて珍しいわね? 何かあったの?」
「問題が起きたわけでは無いが、秘密事項だからここに来てもらった」
屋敷で仕事をする時に使っている執務室だが、隣の会議室と合わせて壁や扉が厚く作られていて外に音が漏れないようになっている。
さらに、盗聴対策に魔法を遮断する結界が常に張られている。
この結界を維持する魔導具は魔力消費が激しいが、私とアイリスが交代で定期的に魔力を補充することで維持している。
「重要な情報が掴めたのね?」
「ああ。これを見てくれ」
うちは軍事関係に深く関わっているから、離れている時の連絡に暗号を用いることがよくある。
そのためにアイリスには結婚する前から暗号の解読の仕方を教えてある。ルシアはまだ反抗期を抜けていない気がするから教えていないが、イリアスとフィーナにも教えてある。
「これは強みになりそうね」
「ああ。まだ証拠を押さえていないから、これからが勝負だ」
「何か私に出来ることはありますか?」
真剣な眼差しでそう聞いてくるアイリス。
これはどうでもいい話だが、アイリスは真面目な話をするときは敬語になる。
気持ちを切り替えるためにそうしているらしい。
「そうだな……こちらの動きを探られないように、公爵家の注意を引いてくれ」
「分かりましたわ」
アイリスにとって、このくらいは造作もない。
今までにやってきた似たような作戦は最初を除いて全て成功している。
だから、安心してこの役目を任せられる。
話が終わって執務室を出ると、執事が大量の書類を抱えて待ち構えていた。
「これはなんだ……」
書類の正体に気付いたが、そう問いかけた。
「領地に関する書類でございます。調査も大事ですが、こちらも抜からないでください」
「すまない。夕食後に片付ける」
私はそう口にして、アイリスとダイニングに向かった。
……書類を片付けるのが面倒だからではない。
ーー王太子殿下とレイラ様の仲が冷めてきた。
普通の男性なら興味無くて聞き流してしまいそう内容だが、今回は婚約者だったフィーナを国外追放にするという暴挙に出たということもあって、男性の間でも噂は広まっている。
なにかと男性優位に事が運ぶローザニアの社交界だが、フィーナの味方の方が多くなっている。
ほとんどの貴族が王太子に喧嘩を売ってまでフィーナを擁護しようとしているのだ。
こんな光景、父ですら見たことが無いらしい。
最初は付き合いがある貴族から関係を切られないか心配だったが、今となってはその心配はしていない。
情報収集をしなくても情報が勝手に集まって来るようになったから驚きだ。
その情報の中には気になるものがあった。
『レイラ・サーペンス公爵令嬢が禁止されている魔法を使用した可能性がある』
娘のルシアの婚約者がいる公爵家から送られてきたこの情報は暗号化されていた。
その情報には、来るべき時まで情報を秘匿することを勧めるーーそう書かれた手紙が同封されていた。
おそらく、証拠を隠蔽されないようにするためだろう。
この情報を得た私は、すぐにアイリスを執務室に呼び出した。
「ここに呼び出すなんて珍しいわね? 何かあったの?」
「問題が起きたわけでは無いが、秘密事項だからここに来てもらった」
屋敷で仕事をする時に使っている執務室だが、隣の会議室と合わせて壁や扉が厚く作られていて外に音が漏れないようになっている。
さらに、盗聴対策に魔法を遮断する結界が常に張られている。
この結界を維持する魔導具は魔力消費が激しいが、私とアイリスが交代で定期的に魔力を補充することで維持している。
「重要な情報が掴めたのね?」
「ああ。これを見てくれ」
うちは軍事関係に深く関わっているから、離れている時の連絡に暗号を用いることがよくある。
そのためにアイリスには結婚する前から暗号の解読の仕方を教えてある。ルシアはまだ反抗期を抜けていない気がするから教えていないが、イリアスとフィーナにも教えてある。
「これは強みになりそうね」
「ああ。まだ証拠を押さえていないから、これからが勝負だ」
「何か私に出来ることはありますか?」
真剣な眼差しでそう聞いてくるアイリス。
これはどうでもいい話だが、アイリスは真面目な話をするときは敬語になる。
気持ちを切り替えるためにそうしているらしい。
「そうだな……こちらの動きを探られないように、公爵家の注意を引いてくれ」
「分かりましたわ」
アイリスにとって、このくらいは造作もない。
今までにやってきた似たような作戦は最初を除いて全て成功している。
だから、安心してこの役目を任せられる。
話が終わって執務室を出ると、執事が大量の書類を抱えて待ち構えていた。
「これはなんだ……」
書類の正体に気付いたが、そう問いかけた。
「領地に関する書類でございます。調査も大事ですが、こちらも抜からないでください」
「すまない。夕食後に片付ける」
私はそう口にして、アイリスとダイニングに向かった。
……書類を片付けるのが面倒だからではない。
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