婚約破棄され家を出た傷心令嬢は辺境伯に拾われ溺愛されるそうです 〜今更謝っても、もう遅いですよ?〜

八代奏多

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32. 社交界の準備①

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 翌日、私はティアナさんと辺境伯邸に来ていた。

 新しくドレスを作ってもらうのは申し訳なくて、うちから届けてもらうと言って断ろうとしたのだけど無理だった。
 ローザニア王国とグレイヴ竜王国では流行りが違うから、持ってきたところで作り直す事になると言われた。


 そういうわけで、今は辺境伯家お抱え商人の奥さんーーグレイヴ竜王国で最大の仕立屋の店主さんと向かい合っている。
 この国では平民が初めて会う貴族に名乗ることは無いらしくて、貴族の方も聞かないのがマナーらしい。

 名乗ってしまうと簡単に罪を着せられてしまうから名乗らないみたい。
 ちなみに、ティアナさんは私が罪を着せるような人ではないと判断したから名前を教えてくれたのだと言っていた。


「こんな感じでどうでしょうか?」


 私を見ながらものすごい速さでデザイン画を仕上げた店主マダムさんが紙を差し出してきた。


「グレイヴの社交界ではシンプルなデザインのドレスが流行はやりなのね?」

「はい。お嬢様に似合うようにしつつ、流行を取り入れてデザイン致しました。
 何かご不満な点がありましたでしょうか?」


 不満な部分はあるのだけど、この国で受け入れられるデザインなのか心配だから断りを入れてからティアナさんに相談してみた。


「シンプルすぎるからもう少し可愛らしい感じにしたいのだけど、ティアナさんはどう思う?」

「問題ないと思いますよ。派手ささえ抑えられていれば大丈夫です」

「分かったわ。ありがとう」


 ティアナさんにそう言ってからマダムさんに向き直る私。
 イメージを伝えると、すぐに書き直してくれた。


「こんな感じでいかがでしょうか?」

「うん、これでお願いするわ」


 それから色や細かいところのデザインを話し合っていたらあっという間にお昼になっていた。

 今日は辺境伯邸でお昼をいただく事になっているから、デザインを決め終えてからダイニングに案内された。


 ここのダイニングは他の部屋や廊下と同じように落ち着いた雰囲気になっていた。
 窓辺に飾られている可愛らしいオレンジやピンク色のお花はソフィア様の趣味なのだそう。


「いただきます」


 ソフィア様とキーファス様が食べ始めてから、私もそう口にしてから料理を口に運んだ。


「美味しい……。いい料理人さんを雇っているのですね」


 一口食べてから、私はそう口にしていた。
 出された料理を評価するのがマナーというのもあるけど、素直にとても美味しかったから。

 ティアナさんには悪いけど、いつも頂いている料理よりも遥かに美味しかったです。


「うちの料理人は元々王宮の料理長をしていたからな。怪我で上手く包丁が握れなくなって引退したところを頼み込んで来てもらったんだ」

「そうでしたのね。全く気付きませんでした……」


 キーファス様にその話を聞いて驚く私だった。
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