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101. もしも……
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「フィーナ様、ごきげんよう」
応接室の前を通り過ぎようとしている時に突然声をかけられて、思わずその場に立ち止まった。
「ごきげんよう。リーシェ様がここにいらっしゃるなんて、思いませんでしたわ」
私に声をかけてきたのはウェスニア伯爵家のリーシェ様だった。
彼女はお兄様の婚約者ということもあって私との仲は良い。
「私のことは呼び捨てで構わないと言ってますのに……」
そんなことを呟きながら私達についてくるリーシェ様。
この後、王妃様の部屋で今後のことについて2時間近くお話ししてお茶会を終えた。
今日呼ばれたのは、王妃様が私の力を借りたいと思っていたからみたい……。
お茶会を終えてリーシェ様と王宮を出ると、騎士団の人達が集まっているのが見えた。
「何があったのか分かりまして?」
「分かりませんわ」
リーシェ様に問いかけられてそう返す私。
その瞬間、騎士団の人達のところからブロンドの髪の女性が飛び出してきた。
「貴女のせいで、こうなったのよ! 責任取りなさい!」
惨めな状態になったのは自業自得じゃない……。
騎士さん達に取り押さえられながら叫ぶレイラを見て、私はそんなことを思った。
「無視するつもり⁉︎」
「いいえ、貴女に手を出されないように護衛に指示をしただけよ」
護衛さんが近くに来てから、防御魔法を使いながらレイラに近付く私。
手がギリギリ届かない位置まで行くと、こう問いかけてみた。
「自分が悪いとは思いませんの?」
「私を嵌めて偉そうなことを言う気⁉︎」
「嵌めたのは貴女ですわよね? それに、裁判でも嘘をついては私に責任を押し付けようとしてきたのをよく覚えてますわよ?
もしも、貴女が正直に答えていたら罪が軽くなったかもしれませんのに……。自分の首を絞めてしまったのが分かりませんの?」
声を低くしてそう言ってみたのだけど……
「私を嵌めておいて……っ!」
……レイラの態度は変わらなかった。
でも、自覚はあるみたいで、悔しそうに表情を歪めていた。
「死刑にならなかっただけ幸せだと思いなさい。
それと……貴女はもう貴族ではないただの平民、口には気をつけなさい」
私はそう言って踵を返した。
こんな女を相手にするのは時間の無駄だと思ったから。
もしも彼女が悔い改めるなら、その時は真面目に話し合ってもいいとは思うけど、それだけ。
何があっても私が許す日は来ないと思う。
「大丈夫ですか……?」
「ええ、大丈夫ですわ。私達が関わることはもうないですもの」
心配そうに私の方を見るリーシェ様にそう返す私。
それから私は近くまで移動してきた馬車に乗る前にリーシェ様に別れの挨拶をしようと口を開いた。
「迎えが来てしまったので、私はこれで。ごきげんよう」
「ま、待ってください! 私も乗せていただけませんか?」
「えっ⁉︎」
「突然押しかけたらイリアス様がどんな顔をするのか見てみたくて……」
「そ、そう……」
そんなことを言うリーシェ様。
私は苦笑を浮かべながらそれしか返せなかった。
ゆっくりと動き出す馬車の窓から外を見ると、涙を流しているレイラが騎士さん達に連行されていくのが見えた。
結局、リーシェ様と別れたのは夕食後になった。
応接室の前を通り過ぎようとしている時に突然声をかけられて、思わずその場に立ち止まった。
「ごきげんよう。リーシェ様がここにいらっしゃるなんて、思いませんでしたわ」
私に声をかけてきたのはウェスニア伯爵家のリーシェ様だった。
彼女はお兄様の婚約者ということもあって私との仲は良い。
「私のことは呼び捨てで構わないと言ってますのに……」
そんなことを呟きながら私達についてくるリーシェ様。
この後、王妃様の部屋で今後のことについて2時間近くお話ししてお茶会を終えた。
今日呼ばれたのは、王妃様が私の力を借りたいと思っていたからみたい……。
お茶会を終えてリーシェ様と王宮を出ると、騎士団の人達が集まっているのが見えた。
「何があったのか分かりまして?」
「分かりませんわ」
リーシェ様に問いかけられてそう返す私。
その瞬間、騎士団の人達のところからブロンドの髪の女性が飛び出してきた。
「貴女のせいで、こうなったのよ! 責任取りなさい!」
惨めな状態になったのは自業自得じゃない……。
騎士さん達に取り押さえられながら叫ぶレイラを見て、私はそんなことを思った。
「無視するつもり⁉︎」
「いいえ、貴女に手を出されないように護衛に指示をしただけよ」
護衛さんが近くに来てから、防御魔法を使いながらレイラに近付く私。
手がギリギリ届かない位置まで行くと、こう問いかけてみた。
「自分が悪いとは思いませんの?」
「私を嵌めて偉そうなことを言う気⁉︎」
「嵌めたのは貴女ですわよね? それに、裁判でも嘘をついては私に責任を押し付けようとしてきたのをよく覚えてますわよ?
もしも、貴女が正直に答えていたら罪が軽くなったかもしれませんのに……。自分の首を絞めてしまったのが分かりませんの?」
声を低くしてそう言ってみたのだけど……
「私を嵌めておいて……っ!」
……レイラの態度は変わらなかった。
でも、自覚はあるみたいで、悔しそうに表情を歪めていた。
「死刑にならなかっただけ幸せだと思いなさい。
それと……貴女はもう貴族ではないただの平民、口には気をつけなさい」
私はそう言って踵を返した。
こんな女を相手にするのは時間の無駄だと思ったから。
もしも彼女が悔い改めるなら、その時は真面目に話し合ってもいいとは思うけど、それだけ。
何があっても私が許す日は来ないと思う。
「大丈夫ですか……?」
「ええ、大丈夫ですわ。私達が関わることはもうないですもの」
心配そうに私の方を見るリーシェ様にそう返す私。
それから私は近くまで移動してきた馬車に乗る前にリーシェ様に別れの挨拶をしようと口を開いた。
「迎えが来てしまったので、私はこれで。ごきげんよう」
「ま、待ってください! 私も乗せていただけませんか?」
「えっ⁉︎」
「突然押しかけたらイリアス様がどんな顔をするのか見てみたくて……」
「そ、そう……」
そんなことを言うリーシェ様。
私は苦笑を浮かべながらそれしか返せなかった。
ゆっくりと動き出す馬車の窓から外を見ると、涙を流しているレイラが騎士さん達に連行されていくのが見えた。
結局、リーシェ様と別れたのは夕食後になった。
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