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114. 建国記念祭①
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私達が王都に着いてから2日、建国記念祭の1日目が始まった。
とは言っても、私達の朝が変わるわけではないからあまり実感は湧かないのよね……。
ちなみに休日だから料理人さんは休日に担当してくれている人が厨房に入っている。
侍女さん達は元々休日が無いからいつも通りに動いてくれている。
「なんか、普通だな……」
そのせいで、いつもと変わらない様子を見たジーク様がそう口にしていた。
「朝はいつも通りよ。大事なのはお昼過ぎからだから」
「そうなのか……」
ジーク様とそんな会話をしていると、お母様がいつもとは違う装いで姿を見せた。
「おはよう。フィーナ、そんな顔してどうしたの?」
「おはようございます。朝から張り切ってるみたいだったから驚いただけですわ」
「これのことなら、なんとなく着てみただけよ?」
「そんな理由でしたのね……」
思っていたよりも大したことではなくて少し落ち込む私。
その間にお父様とお兄様、それにルシアが来て朝食の時間になった。
うちでは専属の侍女さんや執事さんも同じ部屋で食事をとっているから、朝食でもいつも賑やかになる。
今日はアトランタ家からついてきた使用人さん達も客人の扱いだから同席しているのだけど、この空気が慣れないみたいで戸惑っているみたいだった。
それから1時間、私はジーク様を誘って久し振りに朝から商店街の辺りに行くことにした。
思い立ってすぐにジーク様に声をかけたら、驚いたような表現をされたのだけど、すぐに笑顔に変わっていた。
「そういえば、建国記念祭って具体的に何をしているんだ?」
「口で説明するよりも見た方が早いから見ながらでもいいかしら?」
「わかった」
この後、私達は歩いて商店街に向かった。
変装はしていないから、護衛さんも一緒にいる。
それはつまり、常に私達の行動も見られてるわけで……手を繋いだりするのがいつもよりも恥ずかしい。
「本当にお祭りなんだな……。屋台が出てるとは思わなかった」
「観光客を呼び込む意図があるから、今日と明日はこんな感じよ。建国記念日は見たことないから分からないけど……」
そんな会話をしながら人混みの中を進む私達。
人混みの中だけど、誰ともぶつかったりしないのは周りの人達が私達との距離をとってくれているから。
周りの人達が私達のためにそうしてくれているのもあるけど、一番の理由はスリと疑われないようにするためなのよね……。
裕福な国ではあるけど、飢えている人達もいるから。
「今日は店は閉まってるんだな」
「休日だもの。閉まってて当然よ」
「でも屋台は開いてるよな?」
「お店とは違って、個人の趣味の扱いだから開けるの」
「そうなのか」
その時だった。
右手に持っていた鞄が勢いよく引っ張られたのは。
護衛さんの動きから何かが起こったのが分かって身構えたのだけど、私の力では鞄を取られないように耐えることは出来なかった。
「フィーナ様!」
護衛さんが声を上げた直後、私の鞄は手を離れてしまった。
泥棒が通りそうな場所に咄嗟に足払いをかけると鞄を盗もうとした人がビタンという音を立てて地面に倒れた。
そしてジーク様が宙を舞う鞄を無事にキャッチした。
「護衛は何してるんだ……」
「気配を消す魔法を使われたみたいね……。この人混みだと距離がないから反応しきれなくて当然だわ」
とは言っても、鞄を盗られる直前に私のものではない防御魔法と解毒魔法がかけられたからしっかりと仕事はしてくれていた。
「なるほどな。で、コイツはどうするんだ?」
「騎士団に連絡しましたので、拘束した上で引き渡します。フィーナ様、対応が遅れて申し訳ありませんでした」
「気にしなくていいわよ。貴方達の仕事は私を守ることであって、鞄を守ることではないもの」
「ありがとうございます」
ちなみにだけど、人混みの中でも私に向けられる殺意があったら、気配を隠していてもすぐに殺意を発した人を捕まえているのよね……。
この後、間もなく駆けつけた騎士団の人に鞄を盗もうとした人を引き渡して、私達は目的の屋台に向けて移動を再開した。
とは言っても、私達の朝が変わるわけではないからあまり実感は湧かないのよね……。
ちなみに休日だから料理人さんは休日に担当してくれている人が厨房に入っている。
侍女さん達は元々休日が無いからいつも通りに動いてくれている。
「なんか、普通だな……」
そのせいで、いつもと変わらない様子を見たジーク様がそう口にしていた。
「朝はいつも通りよ。大事なのはお昼過ぎからだから」
「そうなのか……」
ジーク様とそんな会話をしていると、お母様がいつもとは違う装いで姿を見せた。
「おはよう。フィーナ、そんな顔してどうしたの?」
「おはようございます。朝から張り切ってるみたいだったから驚いただけですわ」
「これのことなら、なんとなく着てみただけよ?」
「そんな理由でしたのね……」
思っていたよりも大したことではなくて少し落ち込む私。
その間にお父様とお兄様、それにルシアが来て朝食の時間になった。
うちでは専属の侍女さんや執事さんも同じ部屋で食事をとっているから、朝食でもいつも賑やかになる。
今日はアトランタ家からついてきた使用人さん達も客人の扱いだから同席しているのだけど、この空気が慣れないみたいで戸惑っているみたいだった。
それから1時間、私はジーク様を誘って久し振りに朝から商店街の辺りに行くことにした。
思い立ってすぐにジーク様に声をかけたら、驚いたような表現をされたのだけど、すぐに笑顔に変わっていた。
「そういえば、建国記念祭って具体的に何をしているんだ?」
「口で説明するよりも見た方が早いから見ながらでもいいかしら?」
「わかった」
この後、私達は歩いて商店街に向かった。
変装はしていないから、護衛さんも一緒にいる。
それはつまり、常に私達の行動も見られてるわけで……手を繋いだりするのがいつもよりも恥ずかしい。
「本当にお祭りなんだな……。屋台が出てるとは思わなかった」
「観光客を呼び込む意図があるから、今日と明日はこんな感じよ。建国記念日は見たことないから分からないけど……」
そんな会話をしながら人混みの中を進む私達。
人混みの中だけど、誰ともぶつかったりしないのは周りの人達が私達との距離をとってくれているから。
周りの人達が私達のためにそうしてくれているのもあるけど、一番の理由はスリと疑われないようにするためなのよね……。
裕福な国ではあるけど、飢えている人達もいるから。
「今日は店は閉まってるんだな」
「休日だもの。閉まってて当然よ」
「でも屋台は開いてるよな?」
「お店とは違って、個人の趣味の扱いだから開けるの」
「そうなのか」
その時だった。
右手に持っていた鞄が勢いよく引っ張られたのは。
護衛さんの動きから何かが起こったのが分かって身構えたのだけど、私の力では鞄を取られないように耐えることは出来なかった。
「フィーナ様!」
護衛さんが声を上げた直後、私の鞄は手を離れてしまった。
泥棒が通りそうな場所に咄嗟に足払いをかけると鞄を盗もうとした人がビタンという音を立てて地面に倒れた。
そしてジーク様が宙を舞う鞄を無事にキャッチした。
「護衛は何してるんだ……」
「気配を消す魔法を使われたみたいね……。この人混みだと距離がないから反応しきれなくて当然だわ」
とは言っても、鞄を盗られる直前に私のものではない防御魔法と解毒魔法がかけられたからしっかりと仕事はしてくれていた。
「なるほどな。で、コイツはどうするんだ?」
「騎士団に連絡しましたので、拘束した上で引き渡します。フィーナ様、対応が遅れて申し訳ありませんでした」
「気にしなくていいわよ。貴方達の仕事は私を守ることであって、鞄を守ることではないもの」
「ありがとうございます」
ちなみにだけど、人混みの中でも私に向けられる殺意があったら、気配を隠していてもすぐに殺意を発した人を捕まえているのよね……。
この後、間もなく駆けつけた騎士団の人に鞄を盗もうとした人を引き渡して、私達は目的の屋台に向けて移動を再開した。
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