婚約破棄され家を出た傷心令嬢は辺境伯に拾われ溺愛されるそうです 〜今更謝っても、もう遅いですよ?〜

八代奏多

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119. 建国記念日②

 王宮が近付くににつれて警備にあたる騎士団の方の人数が増え、物々しさを漂わせていた大通りを通っていると、王宮まであと少しのところで馬車が止まってしまった。
 馬車寄せの数は限られているから、今日のように大きな式典等があると毎回のように渋滞が起こるらしい。

 ちなみに、私達はお父様が色々と手を回してくれているお陰で、あと少しのところにある曲がり角を曲がったところにある騎士団用の門から王城に入ることになっている。
 狡いと思われるかもしれないけど、これは陛下から許されていることだし、騎士団の要人であるお父様をこんな場所に長時間留めておくけないという理由もあるみたい……。


 だから、私達の馬車の横を追い抜こうとすると、騎士団の人達によって止められてしまう。
 そのお陰で私達は割り込みをされることなく無事に王城に入ることが出来た。

 取り調べを受ける羽目になっていた馬車が数台あったみたいだけど、私達は関係ないからどうでもいいわね。


「会場に入るまではまだ少し時間があるから、ここで少し休もう」


 そう言って騎士団の本部に歩いていくお父様。


「閣下⁉︎ 何故いらっしゃったんですか?」

「式典まで時間を潰そうと思ってな。許可は私が今出したから問題ないだろ?」

「問題はありませんけど……職権濫用……ゲフゲフ……」

「後半なんて言ってたか聞こえなかったぞ?」


 声を低くしてそう問いかけるお父様。
 私には職権濫用という単語が聞こえたのだけど……。


「ちゃんと精神系魔法がかけられてないからとかは調べてある。正規の手続きと同じだから何も問題はない。いいな?」

「なんだ、そうだったんですね。てっきり身内贔屓かと」

「そんなことはしない。万が一のことがあったら困るからな。
 話はもういいか?」

「大事な話があるので、閣下の部屋でお願いします。
 ご家族の方も一緒で」


 お父様の部下の方が口にすると、お父様はさっきまでのふざけている態度をやめて、真剣な表情になっていた。


 明らかにお偉い様の部屋という雰囲気の部屋に入ると、お父様にソファーに掛けるように促された。
 そして、私達が腰を下ろし終えると部下の方がこう口にした。


「何者かがフィーナ様の飲み物に薬を混入させようとしているようですので、式典後の宴会は毒の有無を確かめるようにしてください。
 我々はそれまでに犯人を確保しようと努力しますが、もしも確保に失敗した時のためですのでご協力お願いします」

「分かりましたわ。念のため解毒魔法も使っておきますね」

「ありがとうございます」

「こちらこそ、教えてくださってありがとうございます」

「では、私は捜査に向かいますのでこれで」


 そう言って部下の方が部屋を後にしてからは、少しの間沈黙が続いた。
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