婚約破棄され家を出た傷心令嬢は辺境伯に拾われ溺愛されるそうです 〜今更謝っても、もう遅いですよ?〜

八代奏多

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139. フィーナ父side 心配

「例え相手が陛下だとしても、絶対に解放しないように。もし何か言われたら命令は私を通すように伝えてくれ」

「「はっ」」


 貴人牢の見張りにそう指示をしてから一夜。
 普段通りの朝を屋敷で迎えた私はすぐにルシアの体調を確認するために彼女の部屋へと向かった。

 治癒魔法があっても、身体のダメージが完全に消えるわけではない。
 だから心配にもなるのだ。


「ルシア、おはよう。身体は大丈夫か?」


 この時間は着替えをしていたりするから、部屋の外から声をかける。
 すると、扉が開いてルシアが姿を見せた。

 もう着替え終わっていたようだ。


「おはようございます、お父様。この通り、もう大丈夫ですわ」

「そうか、良かった。他に気分が悪かったりはしないか?」

「それも大丈夫ですわ。お父様は心配しすぎですよ?」

「親なら心配するのも当然だ」

「お父様らしいですね。ところで、お母様は?」


 一番心配するであろうアイリスの姿が見えないから気になったのだろう。
 そんな問いかけをするルシア。


「心配のしすぎで眠れなかったみたいでな、まだ寝てる」

「お母様……」


 嬉し半分、呆れ半分といった様子のルシア。いや、これはほとんど呆れているのかもしれない。
 これで体調でも崩したら元も子もないから、私も半ば呆れているのだが……。
 心配するのもほどほどにして欲しい。

 そう思っていると、アイリスが寝間着のまま姿を見せた。


「ルシアっ! 調子はどう? どこも痛くない?」

「だ、大丈夫ですわ。それよりも、そんな格好で大丈夫ですの?」

「問題ないわ!」

「問題大ありだ。先に着替えてきてくれ……」


 屋敷の中ではあるが、露出の多い服で歩き回るのは良くないからな。


「分かったわ」


 アイリスがそう口にしたタイミングで、駆けてきていた執事がこんなことを口にした。


「旦那様、奥様、大変です! イストリアと戦争が起こりました!」

「分かった。予想通りだったな」

「ええ、あちらの情報が筒抜けで助かりましたよ」

「これ、王家との交渉に使えそうね?」

「そうだな。これであの王子を始末できそうだ」

「とりあえず、私は着替えてくるわ」


 そう言って、アイリスは寝室へと戻っていった。



 それから少しして、朝食。
 家族全員で囲う食卓はいつもよりも賑やかで、しかし殺伐とした空気が流れていた。

フィーナの「私のせいで巻き込んでしまってごめんなさい」という言葉を聞いた全員が彼女は悪くないと言い、そこからは王子に対する怒りで溢れかえったのだ。

 もしも誰かに聞かれたら、不敬罪もいいところである内容の言葉が飛び交うのも仕方ないだろう。


「なんとかして、王子を極刑に出来ないかしら?」

「極刑よりも終身刑の方が苦しみが大きくなると思いますわ」

「それもそうね。あなた、陛下によろしくね?」

「ああ、極刑よりも辛い罪にするように言っておく」


 そう口にして、パンを口に含むのだった。
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