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152. 幸せ
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「そろそろ時間だね」
「うん、また後でね」
そう言葉を交わしてから控え室を出る私とジーク様。
ここはアトランタ領で一番大きな教会にある神殿で、今はリンゴーンと幸福の鐘の音が聞こえてきている。
もうすぐ始まる結婚式。私は少し緊張しながら神殿の入口へ向かう。
そこで先に来ていたエスコート役のお父様と合流し、扉が開くのを待つだけになった。
式が始まり入口の扉が開けられると、参列している方々の視線を感じました。
花嫁は注目されるものとは聞いていたけど、ここまで注目されるものなのね……。
お父様にエスコートされ、ジーク様の待つ祭壇の前へとバージンロードの上をゆっくりと進んでいく。
祭壇の前にたどり着くと、ジーク様が優しい微笑みを浮かべながら手をこちらに差し伸べてきて、私も微笑みを浮かべて彼の手をとった。
そして式が始まり、神官様の誓いの言葉に宣誓する私達。
宣誓の次は指輪の交換。
神官さんの言葉の後にジーク様が私の手をとって薬指に指輪を嵌めていき、私も同じようにジーク様の指に指輪を嵌めた。
指輪の交換が終わると、次はいよいよ誓いのキス。
ジーク様がベールを上げ、お互いに少し見つめあってからゆっくりと唇を近付けていって……。
緊張に負けず無事に誓いのキスを終えたら次は結婚証明書にサインして、結婚式自体はこれで無事に終えることが出来、私達は正式に夫婦になった。
そして暖かい拍手を背中に受けて会場を後にする私達。
会場を出て少し肩の力を抜くと、ジーク様がこんなことを口にした。
「無事に終わったな」
「うん。でも、まだ披露宴があるから気は抜けないわ」
「今は誰も見てないから、今のうちに休んで披露宴に備えよう」
「そうね」
そんな感じで一度控え室に戻ってから、披露宴の会場の控え室に移動した。
そして披露宴が始まると、グレイヴのお嬢様方や公爵家の当主の方や王族の方々などからお祝いを頂いたり、私達からお礼をしたりしてあっという間に時間が過ぎていった。
ちなみにだけど、私の友達は招待したけど、ローザニアの王族の方々は招待していない。
「大丈夫? 疲れてないかい?」
「いいえ、大丈夫ですわ」
「よかったよ。疲れたらすぐ言ってね」
「分かったわ」
参列者の方々の数が多いせいで披露宴中にジーク様と話せたのはこんな感じの他愛ない会話だけだけど、嫌なことは全くなくて、沢山の方に祝ってもらえた私は幸せね。
披露宴を終えてすっかり空が赤らんだ頃、私はジーク様の妻となってから初めてアトランタ邸に足を踏み入れた。
ジーク様と玄関に入ると、使用人さん達が総出で出迎えに来てくれていた。
「「お帰りなさいませ、旦那様、奥様!」」
呼び方が変わっていて、少し困惑する私達。
「「ただいま」」
意図していないのに私達の言葉は被っていた。
「その呼び方、違和感しかないな……」
「そうね……」
「これが本来の形ですから慣れてください」
「分かったわ」
「努力はする。フィーナ、とりあえず俺達の部屋を教えるよ」
ジーク様はそう言うと、私の手を取って階段をゆっくりと登り始めた。
まだウェディングドレスのままの私は裾を踏まないように慎重に階段を登っていく。
そして辿り着いた部屋は落ち着いた雰囲気に整えられていて、机やソファ、そして1番存在感がある天蓋付きの無駄に広いベッドが置かれていた。
「ここが俺の部屋でそっちがフィーナの部屋にする予定だけど、いいかな?」
部屋の中に3つある扉のうち2つを順番に指差しながらそう口にするジーク様。
早速私の部屋を見てみると、最低限の物しか置かれていなかったけど、衣装部屋もちゃんと付いていた。
「ジーク様の部屋も見ていいかしら?」
「もちろん」
ジーク様の部屋の方も全く同じ作りになっていたけど、調度品の類が全く違っていた。
「同じ作りなのね。向こうが私の部屋で大丈夫よ」
「良かった。とりあえず一旦着替えよう」
「うん」
着替えた後はすぐに夕食の時間になって、私の家族とジーク様の家族とで夕食をとり、それから湯浴みを済ませてようやく2人きりになることができた。
……のだけど、私には最優先で解決したい問題があった。
「ジーク様、その……初夜のことだけど……」
「ローザニアだと結婚した日に迎えるのが普通なんだっけ? ここはそんなものないから心配しなくていいよ」
「良かったわ。まだ心の準備が出来ていなかったから……」
「他に心配な事はある?」
「ううん、大丈夫よ」
「じゃあ、俺からも一ついいかな?」
「いいわよ」
「俺のこと様付けで呼ぶのやめてほしい。夫婦になったんだし、フィーナとは対等でいたいんだ」
「そんな風に考えてくれてたのね。ありがとう、これからは様は付けないで呼ぶわ!」
そんなやり取りから始まった会話は中々終わらず、いつの間にか日付が変わる時間になっていた。
「そろそろ寝ようか」
「そうね。じゃあ、おやすみなさい……」
「おやすみ。愛してるよ」
「私も、愛してるわ」
冤罪をかけられてもう生きていけないと思った時もあったけど、今はこうして私を心から愛してくれて、守ってくれる人がいて。今の私は本当に幸せね!
「うん、また後でね」
そう言葉を交わしてから控え室を出る私とジーク様。
ここはアトランタ領で一番大きな教会にある神殿で、今はリンゴーンと幸福の鐘の音が聞こえてきている。
もうすぐ始まる結婚式。私は少し緊張しながら神殿の入口へ向かう。
そこで先に来ていたエスコート役のお父様と合流し、扉が開くのを待つだけになった。
式が始まり入口の扉が開けられると、参列している方々の視線を感じました。
花嫁は注目されるものとは聞いていたけど、ここまで注目されるものなのね……。
お父様にエスコートされ、ジーク様の待つ祭壇の前へとバージンロードの上をゆっくりと進んでいく。
祭壇の前にたどり着くと、ジーク様が優しい微笑みを浮かべながら手をこちらに差し伸べてきて、私も微笑みを浮かべて彼の手をとった。
そして式が始まり、神官様の誓いの言葉に宣誓する私達。
宣誓の次は指輪の交換。
神官さんの言葉の後にジーク様が私の手をとって薬指に指輪を嵌めていき、私も同じようにジーク様の指に指輪を嵌めた。
指輪の交換が終わると、次はいよいよ誓いのキス。
ジーク様がベールを上げ、お互いに少し見つめあってからゆっくりと唇を近付けていって……。
緊張に負けず無事に誓いのキスを終えたら次は結婚証明書にサインして、結婚式自体はこれで無事に終えることが出来、私達は正式に夫婦になった。
そして暖かい拍手を背中に受けて会場を後にする私達。
会場を出て少し肩の力を抜くと、ジーク様がこんなことを口にした。
「無事に終わったな」
「うん。でも、まだ披露宴があるから気は抜けないわ」
「今は誰も見てないから、今のうちに休んで披露宴に備えよう」
「そうね」
そんな感じで一度控え室に戻ってから、披露宴の会場の控え室に移動した。
そして披露宴が始まると、グレイヴのお嬢様方や公爵家の当主の方や王族の方々などからお祝いを頂いたり、私達からお礼をしたりしてあっという間に時間が過ぎていった。
ちなみにだけど、私の友達は招待したけど、ローザニアの王族の方々は招待していない。
「大丈夫? 疲れてないかい?」
「いいえ、大丈夫ですわ」
「よかったよ。疲れたらすぐ言ってね」
「分かったわ」
参列者の方々の数が多いせいで披露宴中にジーク様と話せたのはこんな感じの他愛ない会話だけだけど、嫌なことは全くなくて、沢山の方に祝ってもらえた私は幸せね。
披露宴を終えてすっかり空が赤らんだ頃、私はジーク様の妻となってから初めてアトランタ邸に足を踏み入れた。
ジーク様と玄関に入ると、使用人さん達が総出で出迎えに来てくれていた。
「「お帰りなさいませ、旦那様、奥様!」」
呼び方が変わっていて、少し困惑する私達。
「「ただいま」」
意図していないのに私達の言葉は被っていた。
「その呼び方、違和感しかないな……」
「そうね……」
「これが本来の形ですから慣れてください」
「分かったわ」
「努力はする。フィーナ、とりあえず俺達の部屋を教えるよ」
ジーク様はそう言うと、私の手を取って階段をゆっくりと登り始めた。
まだウェディングドレスのままの私は裾を踏まないように慎重に階段を登っていく。
そして辿り着いた部屋は落ち着いた雰囲気に整えられていて、机やソファ、そして1番存在感がある天蓋付きの無駄に広いベッドが置かれていた。
「ここが俺の部屋でそっちがフィーナの部屋にする予定だけど、いいかな?」
部屋の中に3つある扉のうち2つを順番に指差しながらそう口にするジーク様。
早速私の部屋を見てみると、最低限の物しか置かれていなかったけど、衣装部屋もちゃんと付いていた。
「ジーク様の部屋も見ていいかしら?」
「もちろん」
ジーク様の部屋の方も全く同じ作りになっていたけど、調度品の類が全く違っていた。
「同じ作りなのね。向こうが私の部屋で大丈夫よ」
「良かった。とりあえず一旦着替えよう」
「うん」
着替えた後はすぐに夕食の時間になって、私の家族とジーク様の家族とで夕食をとり、それから湯浴みを済ませてようやく2人きりになることができた。
……のだけど、私には最優先で解決したい問題があった。
「ジーク様、その……初夜のことだけど……」
「ローザニアだと結婚した日に迎えるのが普通なんだっけ? ここはそんなものないから心配しなくていいよ」
「良かったわ。まだ心の準備が出来ていなかったから……」
「他に心配な事はある?」
「ううん、大丈夫よ」
「じゃあ、俺からも一ついいかな?」
「いいわよ」
「俺のこと様付けで呼ぶのやめてほしい。夫婦になったんだし、フィーナとは対等でいたいんだ」
「そんな風に考えてくれてたのね。ありがとう、これからは様は付けないで呼ぶわ!」
そんなやり取りから始まった会話は中々終わらず、いつの間にか日付が変わる時間になっていた。
「そろそろ寝ようか」
「そうね。じゃあ、おやすみなさい……」
「おやすみ。愛してるよ」
「私も、愛してるわ」
冤罪をかけられてもう生きていけないと思った時もあったけど、今はこうして私を心から愛してくれて、守ってくれる人がいて。今の私は本当に幸せね!
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