虐げられるのは嫌なので、モブ令嬢を目指します!

八代奏多

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学院編

29. 公爵領へ

「お父様、お願いがあるんだけど……レオン様に公爵領を案内してもらってもいいかな?」

 夕方、王宮から帰ってきたお父様に私はそう口にした。

「どこに行くかは決まっているのか?」
「うん」
「それを見てから考える」
「印をつけてあるところに行く予定よ。泊まりもあるけど、いいかな?」
「気をつけて行ってきなさい。うちのことは気にしなくていいぞ」

 何故かすんなりと許可を貰えた。
 お父様はレオン様を信用してるのかな?

「ありがとう。予定が決まったら知らせるね」

 そう言ってから私は自分の部屋に行って、レオン様にお父様から許可を貰えたことを伝える手紙を書いた。


   ☆ ☆ ☆


 夏休みが始まってから1週間、レオン様と公爵領に行く日になった。

 広い公爵領を廻る今回のデートは3泊する予定になっているから、その分荷物も多い。
 今回は使用人さんと護衛の人達もついてくることになっているから、かなり仰々しい移動になりそうね。

 これは5日前にレオン様とお話しした時に聞いたことなのだけど、私のお父様とユースリア公爵様の間で私達の婚約話が進んでいるらしい。
 なんだか逃げ道が塞がれている気がするのだけど、気のせいかしら?



 朝食を終えてから少しして、レオン様が迎えに来た。
 昨日のうちに準備を済ませておいたから、荷物を馬車に積めばすぐに出発出来る。

「それ運ぶよ」

 私が重い鞄を持って階段を降りようとしていると、レオン様がそう口にして持ち上げてくれた。

「ありがとうございます」
「力はある方だと思うから、こういうときは頼ってくれると嬉しいよ」
「次からは頼ります」

 レオン様が手伝ってくれたお陰で、荷物の積み込みはあっという間に終わった。


「「行ってらっしゃいませ!」」

 使用人さん達に見送られながら私達はユースリア公爵領に向けて出発した。
 ちなみに、今回の移動はレオン様の隣に座っている。

 隣の方が温もりを感じられて、なんとなく安心するのよね……。
 ちなみにだけど、馬車の中は空気を冷やす魔導具のお陰で涼しいから、暑苦しさを感じることは無い。

「リリー、もしかして髪切った?」
「ええ、流石に長すぎたので。もしかして、髪型変ですか……?」
「いや、そんなことないよ。今のも前のもよく似合ってるよ」

 そんなことを言いながら私の髪を撫でるレオン様。
 優しく撫でてくれているのだけど、少しくすぐったい。


 この後は流石に会話が続かないから、持ってきた本を読んだり景色を見たりして移動時間を過ごした。
 レオン様は昨晩あまり眠れなかったみたいで、途中で眠ってしまっていた。
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