公爵令嬢ですが冤罪をかけられ虐げられてしまいました。お覚悟よろしいですね?

八代奏多

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4. 嫌がらせのようです

 沈黙していても状況が良くなるとは思えないこの状況。
 迷っている暇はありません。

 私はすぐに立ち上がり、距離が離れている人にも聞こえるように言葉を紡ぎました。


「勝手に私を罪人にするのはやめてください。
 この愚行を続けられるようなら、私にも考えがありますわ」


 エドガー様は私が反論するとは思っていなかったのか、一瞬だけ驚いたような表情を浮かべました。
 そして、こんなことを口にしました。


「俺が見たいじめの現場は幻だったと? だが、ここにいるアベルも同じものを見ていた。
 他にも見ている者がいるはずだ。遠慮なく名乗り出て欲しい」

「はい、僕もシルフィーナ様がリリアさんを虐めるところを見ました」

「わたくしも、見てしまいましたわ……。確かに、リリアさんは泣いてましたわ」

「私も……」

「僕も……」


 次々とそんな言葉が出てきます。
 反論する人は誰もいません。

 そしてついには、私の親友であるはずのカチーナ様までもが小声で「私も」と言ってしまいました。

 公爵家対公爵家ですから、貴族懲罰権を使うことも出来ません。
 エドガー様の主張が嘘だと分かればいいのですが、一番の証人になるリリアさんはここにはいません。

 仮にいたとしても、買収されていたら……。この茶番に加担していたら……。
 この状況は変わらないでしょう。


「シルフィーナ、どうやらお前が罪人ということで間違いないようだな」


 勝ち誇ったような表情を浮かべ、そんなことを口にするエドガー様。
 対する私はどうすることも出来ませんでした。

 敵が多すぎて正解が分からないのよね……。


 私が必死に打開策を考えていると、救世主とでも言うべき存在がホームルームに入ってきました。
 そう、私達のクラスの担当の教授です。

「全員、着席してください」

 一瞬にして場の空気が変わります。
 貴族社会での先生の身分は私のように高くはありませんが、学院内では王太子殿下よりも立場が上です。
 ですが、この異様な空気に対する指摘は無く、普段通りに朝のホームルームの時間は過ぎていきました。

 そして、あっという間に今日の最初の授業の時間になりました。
 同時に、私はあることに気が付きました。


「おかしいわ……」

 誰にも聞こえない声で呟きながら、鞄の中身を確認し直します。
 ですが、目当てのもの──この授業で使う教科書は見つかりませんでした。

 ここに来た時はあったはずなのに……。
 一体どこに行ったのでしょう?

 今の状況を考えると、嫌がらせで隠された可能性が高そうです。
 ですが、周囲に尋ねてみても完全無視を決め込まれてしまいました。

 そして、追い討ちをかけるかのようにエドガー様がとんでもない行動に出ました。

「なんで授業受けようとしてるんだ? 罪人と一緒にいたくねえんだよ。さっさと出てけ」

 そう口にしたかと思うと、私のペン入れを掴んで窓から放り投げたのです。
 ここは三階。そんな場所から投げられたペン入れの中身がどうなるかは……想像するまでもありませんね。

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