公爵令嬢ですが冤罪をかけられ虐げられてしまいました。お覚悟よろしいですね?

八代奏多

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6. 大慌てのようです

 私の手を踏みつけた人物の顔を確認するよりも先に、踏まれた右手に激痛が走りました。
 それなのに、恐怖で声が出ません。


「なんか答えろよ」


 どうしましょう……。
 手を引き抜こうと思っても、私の力ではピクリとも動きません。


「離してください……」

「それより先に言うことがあるだろ? リリア様を虐めて申し訳ありませんでした、ってな。
 プライドの高いお前には無理か?」


 嫌な笑みを浮かべながら、エドガー様はそんなことを口にします。
 それに少し遅れて、頭上から他の方の声が聞こえてきました。


「見ろよ、シルフィーナが這いつくばってる」

「こりゃアストライア家の威信も地に落ちたようなものだな」


 ほとんどが私や私の家を侮辱するような内容のようです。

 エドガー様の行為を赦すわけではありませんが、彼の行ってることは基本的には私を標的にしたものです。
 しかし、今の言葉は私ではなくアストライア家を敵に回す行動。どこまで馬鹿な人たちなのでしょうか?


「今日のところはこれで許してやる」


 そう言い捨て、エドガー様は一切私の方を見ないで去っていきます。
 いくつもの視線が私に向けられているようですが、それは全て無視してこの場を離れることにしました。

 この怪我の手当てをするためです。
 


 手を抑えて血を垂らさないようにしながら廊下を進み、なんとか医務室に入ろうとした時でした。


「大丈夫ですか!?」

 
 中にいた先生が驚いたような表情を浮かべながら飛び出してきました。


「ええ、なんとか大丈夫でしたわ」

「いやいや、どう見ても大丈夫じゃないですからね!?」


 慌てている様子の先生を安心させようと思っての言葉でしたが、余計に心配させてしまったようです。
 それでも私が手当てをお願いすると、冷静な様子で治癒魔法をかけてくれました。


「痛みはありませんか?」

「ええ、大丈夫ですわ。ありがとうございました」

「念のために、怪我の原因について伺ってもよろしいですか?」


 医務室を出ようとしたら、そんなことを言われてしまいました。
 隠す理由なんてありませんから、「殿方に踏まれてしまった」とだけ伝えておきました。


「次の講義に間に合わなくなってしまうので、これで失礼しますわ」


 次の講義の開始時間まではあと二分。軽く走れば間に合いそうです。
 だからそれほど混んではいない廊下を小走りで移動していたのですが……。


 ガッ!


「きゃっ!?」


 何者かが足を出してきて、避けきれずに躓いてしまいました。
 運動神経が良かったというお父様とは違って、私の運動神経はあまり宜しくありません。

 そんな私にも転ばないための方法はあります。


「なっ!?」


 その方法を使った結果、私を躓かせた方──私とはあまり関わりの無いはずの伯爵令嬢の表情は愉悦から驚愕へと変わっていました。
 ですが……関わっている時間なんてありません。

 彼女のことは無視して、私は次の講義が行われる講堂へと急ぎました。
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