水巫女はハレムで溺れる

愛月なみ

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この世界の国のこと

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 あれから、れいかちゃんと私、何度か試してみたけれど、毎回精霊様の力をかりることができるようになっていた。

 そのため、今までは毎日泉通いをしていたところ、半日はこの世界を知るためのお勉強にあてることになった。

 午前中は感覚を忘れないようにするために泉にいって精霊様にお願いをする。

 最近は姿も以前よりはっきりみえるようになってきて、私の精霊様は人間の半分ほどの大きさの人魚の姿をしているとわかった。
 教えてくれたジェシカさんは手のひらサイズの人型だったから、人によって違うんだろう。

 れいかちゃんの精霊様ははっきりとは見えなかったけれど、両手サイズのエイみたいに見えた。

 最初はジェシカさんに教えてもらった水柱を上げる練習だったけれど、それではあまり実践的ではないので、今は何もないところから水をだしたりする練習をしている。

 泉から少し離れて、鉢植えのそばにしゃがんで精霊様にお願いして水をだしてもらう。
ジョウロから水をそそぐように、両手の平にたまった水を鉢植えにそそぐ。

 何もないところからくぼませた両手に水がたまっていくところは魔法のようで、本当におもしろい。

 れいかちゃんも思うようにできるようになってきたからか、いきいきと毎日泉のそばで水を操っている。
 その横ではれいかちゃんのお世話係の少女、アイラちゃんがすごいすごい!といつもはしゃいでいる。
 アイラちゃんに褒められるとさらに嬉しそうになるれいかちゃんを見るとなんだかほのぼのする。

 あぁ、平和だなぁ~~。


 午後になると談話室の1室をかりて座学。

 だいたいは私のお世話係のエルザさんが担当してくる。

 初日はこの世界の地理から。
 日本にいた頃にみたような精密なものではない、本当にざっくりした境界線がかいてあるような地図をテーブルに広げてエルザさんが説明してくれた。

 その地図では、このアクアナ神殿がある地方は左端のほう、東西南北でいうと西のほうに描かれていた。
 アクアナ神殿のまわりには緑が広がっているけれど、少し離れると砂漠になっていて、地図の中心をしめる広い砂漠をこえた地図の反対側にはかなり広大な領土の国が書かれていて、そこがガルダシャーン帝国。
 私が女神様から頼まれた、水をひくべき場所。

 砂漠を越えないと行けないとか……

 どうやって行けばいいの……

 そしてそのガルダシャーン帝国のまわりにちょこちょこと描かれていた小国群。
ヴァイス国、アラメイア国などなど……。

 正直、ちょっと覚えにくいので今はなんとなくの全体像と、目的のガルダシャーン帝国だけ把握しておこう。

「このガルダシャーンって国が一番この辺りで大きい国なの?」

 れいかちゃんの質問にエルザさんはガルダシャーンがこの一帯では一番大きく、力も強い国だと説明してくれた。
 10年前に一度北にあるヴァイス国がアラメイア国を襲ったことがあるが、それもアラメイア国と協定を結んでいるガルダシャーンが平定して以来、特に戦争もなく平和だとのこと。

 戦争とか怖いわー。
 平和が一番。
 慣れてきたらちょっとずつ各国の状況とかも教えてもらって、最終的にどこに住むのかも決めないと。

 最初に神殿長に話をきいたところ、水巫女は一生このアクアナ神殿にいなくてはいけないことはなく、結婚したりその他の理由で離れて別に住んでもよいそう。

 私だって、この世界で生涯すごすならば、天涯孤独みたいなものだから家族がほしい!
 結婚したい!!

 できれば、平和な国で平穏に家族とすごしたい!

 ということで、女神様のお願いを叶えることと、将来すごす場所と伴侶を探すことも目標にかかげる!

 伴侶……

 いや、その前に彼氏!! 彼氏をつくるところから!!
彼氏いない歴=年齢の私にとっては、そこからハードル高いわ!

 彼氏……
 そのとき、女神様の最後の言葉が思い出された。

「あのときのあなたの相手だけど、ガルダシャーンの……」

 確か、そう言っていた。

 あの夢の中の出来事と思っていたのは、本当に現実の出来事だったらしい女神様の言葉からすると、あの人はガルダシャーンにいるって言いたかったのかな?

 1年も前の出来事で、少しずつ記憶から消えかけている面影。

 それでも、綺麗なさらさらした黒髪と、きりっとした眉のしたの青い澄んだ瞳は思い出せる。

 と、一緒にはだけた胸元とかも思い出して、自分の行動やらなにやら、恥ずかしくて顔にかーっっと熱が集まるのがわかった。

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