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19.学園生活スタート②
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「珍しい組み合わせだね」
私達を見つけるとクリストファーから声を掛けてきた。
「帝国に光をもたらす皇子にご挨拶申し上げます」
未来の宰相であるレイトンの声に席から立ち、カフェにいる客全員が頭を下げる。
「いいよ、いいよ。私は明後日からヘーリオス学園の学生になるのだから、平等な扱いを受けたい。皆さんもどうか着席してください」
最初の言葉は私達に、最後のは他にいるお客さん達に爽やかに伝えられ、お辞儀を止めた。
「リーリア……こないだは具合の悪い君を一人にしてしまって悪かったね」
「……いいえ。こちらこそ挨拶も無しに帰ってしまい申し訳ありませんでした」
再びお辞儀をするとクリストファーに手で辞めろと言われたのでまた同じ体制に戻る。
「それより君たちにこの2人を紹介してもいいかな?」
それぞれ頷いた私達に2人が挨拶をしてくれた。
「アエーマ王国のジャックフリート・アネモス・アエーマだ。先程クリスも言っていたが、学園では平等だ。普通に話しかけて欲しい」
握手を求められ、ジャックと握手をした時、胸が高なって仕方なかった。
「高貴な方々の前で緊張しますが……ジェシカ・テンプソンです。よろしくお願いします」
ヒロインは可愛らしくにっこり笑ってお辞儀をしてくれた。
「ジャックは私の幼馴染みだから知ってるね。テンプソン伯爵令嬢は元ダビンソン男爵令嬢だったが、流行病により両親を亡くしてしまってね……遠縁であるテンプソン家に引き取られたんだ。是非、仲良くしてあげて欲しい」
クリストファーから目で私から挨拶するように促された。
「リーリア・サルバトレーですわ……お辛かったわね……でも、きっとこれからは沢山いい事がありますわ」
(だって貴女はヒロインだもの)
私はヒロインの手を握りわざと涙ぐんで見せた。
「あ、ありがとうございます……」
プルプル震えていたが、きっと感動しているのだろうと思うことにした。
皇太子とジャック、レイトンにバレないように睨まれたがここは気付かないふりだ。
「レイトン・シルクです。以後お見知りおきを」
レイトンは、真顔で挨拶していたがヒロインを1回見ただけですぐにクリストファーとジャックに視線を戻した。
「ジェニット・オルガノフです」
彼女もお辞儀だけで挨拶を済ませのはさっき発覚したことのせいだろう。
「リーリアは私の婚約者だ。そしてレイトンは将来の宰相でオルガノフ嬢は彼の婚約者だよ」
「まぁ!リーリア様はクリス様の婚約者なのですね!きっと将来は有望な国母になられますね。お二人もお似合いですっ!」
語尾にミャハッみたいなセリフが付きそうなぷりぷりした話し方に変わる。
(挨拶だけはまともだったのに……)
ドン引きです、いやほんとに。
「それより君たちはいつ仲良くなったんだい?」
クリストファーの言葉と視線に私は一気に警戒レベルが上がった。
「私がリーリアと仲良くなりたくて彼女を誘ったんです!ねー?リーリア」
クリストファーの視線から庇うように間に入り、ジェニットは私に抱きついてくる。
「あ、はい。そうなのです」
彼女の調子に合わせてコクコク頷く。
「ジェニット。貴女はいつも人との距離が近過ぎます」
呆れてまた余計なことを言ったレイトンと彼を睨むジェニットを見て、また喧嘩が始まりそうだと察した。
「……さっきからこの調子で2人が痴話喧嘩をしていて困っておりますの」
やれやれと首を振ると一人がフッと笑う。
「2人はとても仲がいいのだな」
(……ジャック)
彼ほど人の心を読み、配慮出来る人間はいない。
彼に話しかけられ、目を見て笑われたら愛おしくって胸が苦しくなる。
その後3人は別の席に座り、私達も座り直して雑談を再開した。
……しかし、私は彼らの笑い声やヒロインが2人にベタベタしているのが気になってしまってしょうがない。
皇太子殿下は良いが、ジャックにまで触られるのは困る。
「……リーア…………リーリア!どうしたの?」
向こうに意識を持ってかれていた私はジェニットの声でハッとした。
「あ、ごめんなさい……何の話だったかしら?」
慌てて聞いたらジェニットに悲しい顔をされてしまった。
「……そろそろ寮に戻らない?」
「ええ……」
ジェニットに手を引かれ、カフェから出ると私に寄り添って歩いてくれ、ポツリポツリと話し始めた。
「……やっぱりあの子、なんかおかしいと思うわ」
「ジェニット、テンプソン伯爵令嬢に失礼ですよ」
「だって、さっきの見た!?婚約者のいない王太子だけなら許せたけど、リーリアの婚約者である皇太子殿下にまであんなにベタベタ触って……人の婚約者にあんなに馴れ馴れしいなんて有り得ないわ!」
(ジェニット、勘違いしてるわ)
私は婚約者にベタベタされて悲しいのではなくて、"ジャック"にベタベタ触っていたのが嫌なだけ。
本当の気持ちは言わないけど。
「元男爵令嬢だからきっと分かっていないだけですよ」
「爵位は関係ないわ!……では、レイトンは私が貴方以外の男性からベタベタ触られても許せるの!?」
「……問題をすり替えないでください」
「もういい!リーリア帰ろっ!」
ジェニットと手を繋いだままだったから、彼女に引きづられるようにして寮に帰って来た。
後ろから何度もジェニットを呼び止める声が聞こえたが、女子寮に入ったら男性は中に入れない。
レイトンはそれ以上は追ってくることもなかった。
──男子寮のとある部屋で月を眺めていたジャックフリート・アネモス・アエーマは一人、呟いた。
「ベネット……今度こそ取り返してみせる」
幼馴染みであり、自分が愛して止まないブルーサファイアの瞳を宿す少女を思い出しながらペンダントを握りしめる。
彼女は全てにおいてパーフェクトだったが自分が愛したのは完璧な彼女ではなく、あの無垢な笑顔だ。
(……あの表情だけはどんな姿になったとしても変わらないはずだ)
またあの笑顔を自分に見せて欲しい。
ふと一週間前にあったガーデンパーティーで倒れた少女の顔が思い浮かんだ。
ジェシカ・テンプソン伯爵令嬢。
彼女は髪と瞳の色以外はベネットに瓜二つだった。
昨日も一緒に過ごしてみたが、ジェシカがベネットだという確証はまだ得られない。
明日入学式だというのに晴れ晴れとした気持ちにはどうしてもなれなかった。
「慎重に見つけなければ」
愛する人を間違えないように……。
私達を見つけるとクリストファーから声を掛けてきた。
「帝国に光をもたらす皇子にご挨拶申し上げます」
未来の宰相であるレイトンの声に席から立ち、カフェにいる客全員が頭を下げる。
「いいよ、いいよ。私は明後日からヘーリオス学園の学生になるのだから、平等な扱いを受けたい。皆さんもどうか着席してください」
最初の言葉は私達に、最後のは他にいるお客さん達に爽やかに伝えられ、お辞儀を止めた。
「リーリア……こないだは具合の悪い君を一人にしてしまって悪かったね」
「……いいえ。こちらこそ挨拶も無しに帰ってしまい申し訳ありませんでした」
再びお辞儀をするとクリストファーに手で辞めろと言われたのでまた同じ体制に戻る。
「それより君たちにこの2人を紹介してもいいかな?」
それぞれ頷いた私達に2人が挨拶をしてくれた。
「アエーマ王国のジャックフリート・アネモス・アエーマだ。先程クリスも言っていたが、学園では平等だ。普通に話しかけて欲しい」
握手を求められ、ジャックと握手をした時、胸が高なって仕方なかった。
「高貴な方々の前で緊張しますが……ジェシカ・テンプソンです。よろしくお願いします」
ヒロインは可愛らしくにっこり笑ってお辞儀をしてくれた。
「ジャックは私の幼馴染みだから知ってるね。テンプソン伯爵令嬢は元ダビンソン男爵令嬢だったが、流行病により両親を亡くしてしまってね……遠縁であるテンプソン家に引き取られたんだ。是非、仲良くしてあげて欲しい」
クリストファーから目で私から挨拶するように促された。
「リーリア・サルバトレーですわ……お辛かったわね……でも、きっとこれからは沢山いい事がありますわ」
(だって貴女はヒロインだもの)
私はヒロインの手を握りわざと涙ぐんで見せた。
「あ、ありがとうございます……」
プルプル震えていたが、きっと感動しているのだろうと思うことにした。
皇太子とジャック、レイトンにバレないように睨まれたがここは気付かないふりだ。
「レイトン・シルクです。以後お見知りおきを」
レイトンは、真顔で挨拶していたがヒロインを1回見ただけですぐにクリストファーとジャックに視線を戻した。
「ジェニット・オルガノフです」
彼女もお辞儀だけで挨拶を済ませのはさっき発覚したことのせいだろう。
「リーリアは私の婚約者だ。そしてレイトンは将来の宰相でオルガノフ嬢は彼の婚約者だよ」
「まぁ!リーリア様はクリス様の婚約者なのですね!きっと将来は有望な国母になられますね。お二人もお似合いですっ!」
語尾にミャハッみたいなセリフが付きそうなぷりぷりした話し方に変わる。
(挨拶だけはまともだったのに……)
ドン引きです、いやほんとに。
「それより君たちはいつ仲良くなったんだい?」
クリストファーの言葉と視線に私は一気に警戒レベルが上がった。
「私がリーリアと仲良くなりたくて彼女を誘ったんです!ねー?リーリア」
クリストファーの視線から庇うように間に入り、ジェニットは私に抱きついてくる。
「あ、はい。そうなのです」
彼女の調子に合わせてコクコク頷く。
「ジェニット。貴女はいつも人との距離が近過ぎます」
呆れてまた余計なことを言ったレイトンと彼を睨むジェニットを見て、また喧嘩が始まりそうだと察した。
「……さっきからこの調子で2人が痴話喧嘩をしていて困っておりますの」
やれやれと首を振ると一人がフッと笑う。
「2人はとても仲がいいのだな」
(……ジャック)
彼ほど人の心を読み、配慮出来る人間はいない。
彼に話しかけられ、目を見て笑われたら愛おしくって胸が苦しくなる。
その後3人は別の席に座り、私達も座り直して雑談を再開した。
……しかし、私は彼らの笑い声やヒロインが2人にベタベタしているのが気になってしまってしょうがない。
皇太子殿下は良いが、ジャックにまで触られるのは困る。
「……リーア…………リーリア!どうしたの?」
向こうに意識を持ってかれていた私はジェニットの声でハッとした。
「あ、ごめんなさい……何の話だったかしら?」
慌てて聞いたらジェニットに悲しい顔をされてしまった。
「……そろそろ寮に戻らない?」
「ええ……」
ジェニットに手を引かれ、カフェから出ると私に寄り添って歩いてくれ、ポツリポツリと話し始めた。
「……やっぱりあの子、なんかおかしいと思うわ」
「ジェニット、テンプソン伯爵令嬢に失礼ですよ」
「だって、さっきの見た!?婚約者のいない王太子だけなら許せたけど、リーリアの婚約者である皇太子殿下にまであんなにベタベタ触って……人の婚約者にあんなに馴れ馴れしいなんて有り得ないわ!」
(ジェニット、勘違いしてるわ)
私は婚約者にベタベタされて悲しいのではなくて、"ジャック"にベタベタ触っていたのが嫌なだけ。
本当の気持ちは言わないけど。
「元男爵令嬢だからきっと分かっていないだけですよ」
「爵位は関係ないわ!……では、レイトンは私が貴方以外の男性からベタベタ触られても許せるの!?」
「……問題をすり替えないでください」
「もういい!リーリア帰ろっ!」
ジェニットと手を繋いだままだったから、彼女に引きづられるようにして寮に帰って来た。
後ろから何度もジェニットを呼び止める声が聞こえたが、女子寮に入ったら男性は中に入れない。
レイトンはそれ以上は追ってくることもなかった。
──男子寮のとある部屋で月を眺めていたジャックフリート・アネモス・アエーマは一人、呟いた。
「ベネット……今度こそ取り返してみせる」
幼馴染みであり、自分が愛して止まないブルーサファイアの瞳を宿す少女を思い出しながらペンダントを握りしめる。
彼女は全てにおいてパーフェクトだったが自分が愛したのは完璧な彼女ではなく、あの無垢な笑顔だ。
(……あの表情だけはどんな姿になったとしても変わらないはずだ)
またあの笑顔を自分に見せて欲しい。
ふと一週間前にあったガーデンパーティーで倒れた少女の顔が思い浮かんだ。
ジェシカ・テンプソン伯爵令嬢。
彼女は髪と瞳の色以外はベネットに瓜二つだった。
昨日も一緒に過ごしてみたが、ジェシカがベネットだという確証はまだ得られない。
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