6 / 37
第1章 王国編
第6話 畑
しおりを挟む
次の日
ドレイクは朝から機嫌が良さそうだった
珍しく鼻歌を歌っていて、臓物スープがいつもより多いのが機嫌のいい証拠だ
「なんかいいことあったの?」
「ん?なんでだ?」
「いや、なんか嬉しそうだから・・」
「あ~、やっぱわかっちゃうかぁ、実はなぁ、どっかの誰かが突っ込んできたせいでほぼ全滅したマンドラゴラが収穫できるくらいに大きくなったんだよ。もう大変だったんだから、毎日俺の魔力を吸収させて雑草を抜いて周りの魔物よけの結界かけ直してカクカクシカジカ」
「もう何度も謝ったじゃん!次からはもしそれが自分の意思じゃないとしてもマンドラゴラ畑には落ちないように気をつけますよ」
「冗談だよ冗談、そんなにプンプンするな笑
あ、そうだ!デュークも収穫やってみるか?おもしろいぞ」
「おもしろいの?じゃあやってみようかな」
ということで僕はドレイクについて畑に向かったが、ついた瞬間にだまされたことに気がついた
そこにあったのは体高が1メートル程度の僕が見上げるような高さの植物で、畑というよりは密林といった方が適切なのではないかというような様子だった
こんな物の収穫が楽しいはずがない
前世では少し歩く事さえも厳しかった僕は、見舞いに来る人全員にいろいろな話を聞いていたが、祖父に農作業のつらさを聞いては、そのきつさを想像して農家は偉大だなと尊敬したものだ
そしてこのマンドラゴラとか言う物の収穫は確実にそれよりも重労働だろう
稲や小麦とは比べものにならないサイズなのだから
「どうだすごいだろう!普通の奴らではここまでのサイズにすることは不可能だろうな、俺がアースドラゴンのブレスを研究している途中に発見した法則を元に、ものすごく緻密に計算して魔力を注いだからな」
「うん、まあ、すごいけど」
「なんだよ~、普通は20センチくらいにしかならないんだぞ」
「これってどうやって収穫するの?」
「・・、これはなぁ、どうしよっかな・・」
「・・え?」
「こいつらな、地上に引き抜くとものすごい声でわめくんだよな」
「うん」
「で、その声聞くと最悪死ぬんだよな」
「うん」
「しかも調子のって育てすぎたからこいつらの声は即死級だと思うんだよな」
「うん」
「下手したら結界も破けちゃうかもしれないんだよな」
「・・・うん」
「まあ考えてても進まないからとりあえず一個抜いてみるか!」
「待てぇぇぇぇえい!!!」
「ん?」
「いや!だめでしょ!そんなの抜いたら!死ぬよ!?」
「まあまあ、落ち着けって。とりあえず一本だけ抜いてみよう、な?」
「なんで笑ってんの!あちょっ!」
ドレイクが杖で魔方陣を描きはじめると、マンドラゴラのうちの一本が揺れ出した
僕は諦めて耳を塞いだ
マンドラゴラは「メギャッバキバキッ」というものすごい音とともに地上に顔をだした
ただでさえ見上げるような高さだったマンドラゴラは、想像の3倍ほどバカみたいなサイズだった
10メートルはあるだろうと思われるその植物?はものすごい形相で叫んでいるようだった
が、どういうわけか全くうるさくない
鼓膜がどこかに行ってしまった可能性も考慮したが、ドレイクの方を見ると、ドレイクは耳を押さえてすらいない
なんならヘラヘラ笑っている
試しに耳を押さえていた手を離すと、叫び声はかすかにしか聞えなかった
「騙したんだ」
「ちがうわ!笑」
「じゃあなんで叫び声が聞えないの」
「俺が魔法で防いでるから」
「うわー、さいてー」
「ごめんって笑。けど自分以外が焦ってる様子見るのってなんか面白いじゃん」
「うわっクソ野郎だ」
「あっはっはっは」
なんだか損した気分になっていると、突然ドレイクが思い出したように話し出した
「音って何だろうな?」
「ん?」
「今俺はマンドラゴラの口周りに分厚い壁を作って音を防いでる、けどはっきり言ってこれは効率が悪いし、完全には防げない。そしてこのことから音は壁を貫通することがわかるが、音以外に壁を貫通する物を俺は知らない」
「確かに不思議だね」
「不思議だ」
そんなことを言いながら僕たちはマンドラゴラを家に運んだ
ドレイクは朝から機嫌が良さそうだった
珍しく鼻歌を歌っていて、臓物スープがいつもより多いのが機嫌のいい証拠だ
「なんかいいことあったの?」
「ん?なんでだ?」
「いや、なんか嬉しそうだから・・」
「あ~、やっぱわかっちゃうかぁ、実はなぁ、どっかの誰かが突っ込んできたせいでほぼ全滅したマンドラゴラが収穫できるくらいに大きくなったんだよ。もう大変だったんだから、毎日俺の魔力を吸収させて雑草を抜いて周りの魔物よけの結界かけ直してカクカクシカジカ」
「もう何度も謝ったじゃん!次からはもしそれが自分の意思じゃないとしてもマンドラゴラ畑には落ちないように気をつけますよ」
「冗談だよ冗談、そんなにプンプンするな笑
あ、そうだ!デュークも収穫やってみるか?おもしろいぞ」
「おもしろいの?じゃあやってみようかな」
ということで僕はドレイクについて畑に向かったが、ついた瞬間にだまされたことに気がついた
そこにあったのは体高が1メートル程度の僕が見上げるような高さの植物で、畑というよりは密林といった方が適切なのではないかというような様子だった
こんな物の収穫が楽しいはずがない
前世では少し歩く事さえも厳しかった僕は、見舞いに来る人全員にいろいろな話を聞いていたが、祖父に農作業のつらさを聞いては、そのきつさを想像して農家は偉大だなと尊敬したものだ
そしてこのマンドラゴラとか言う物の収穫は確実にそれよりも重労働だろう
稲や小麦とは比べものにならないサイズなのだから
「どうだすごいだろう!普通の奴らではここまでのサイズにすることは不可能だろうな、俺がアースドラゴンのブレスを研究している途中に発見した法則を元に、ものすごく緻密に計算して魔力を注いだからな」
「うん、まあ、すごいけど」
「なんだよ~、普通は20センチくらいにしかならないんだぞ」
「これってどうやって収穫するの?」
「・・、これはなぁ、どうしよっかな・・」
「・・え?」
「こいつらな、地上に引き抜くとものすごい声でわめくんだよな」
「うん」
「で、その声聞くと最悪死ぬんだよな」
「うん」
「しかも調子のって育てすぎたからこいつらの声は即死級だと思うんだよな」
「うん」
「下手したら結界も破けちゃうかもしれないんだよな」
「・・・うん」
「まあ考えてても進まないからとりあえず一個抜いてみるか!」
「待てぇぇぇぇえい!!!」
「ん?」
「いや!だめでしょ!そんなの抜いたら!死ぬよ!?」
「まあまあ、落ち着けって。とりあえず一本だけ抜いてみよう、な?」
「なんで笑ってんの!あちょっ!」
ドレイクが杖で魔方陣を描きはじめると、マンドラゴラのうちの一本が揺れ出した
僕は諦めて耳を塞いだ
マンドラゴラは「メギャッバキバキッ」というものすごい音とともに地上に顔をだした
ただでさえ見上げるような高さだったマンドラゴラは、想像の3倍ほどバカみたいなサイズだった
10メートルはあるだろうと思われるその植物?はものすごい形相で叫んでいるようだった
が、どういうわけか全くうるさくない
鼓膜がどこかに行ってしまった可能性も考慮したが、ドレイクの方を見ると、ドレイクは耳を押さえてすらいない
なんならヘラヘラ笑っている
試しに耳を押さえていた手を離すと、叫び声はかすかにしか聞えなかった
「騙したんだ」
「ちがうわ!笑」
「じゃあなんで叫び声が聞えないの」
「俺が魔法で防いでるから」
「うわー、さいてー」
「ごめんって笑。けど自分以外が焦ってる様子見るのってなんか面白いじゃん」
「うわっクソ野郎だ」
「あっはっはっは」
なんだか損した気分になっていると、突然ドレイクが思い出したように話し出した
「音って何だろうな?」
「ん?」
「今俺はマンドラゴラの口周りに分厚い壁を作って音を防いでる、けどはっきり言ってこれは効率が悪いし、完全には防げない。そしてこのことから音は壁を貫通することがわかるが、音以外に壁を貫通する物を俺は知らない」
「確かに不思議だね」
「不思議だ」
そんなことを言いながら僕たちはマンドラゴラを家に運んだ
1
あなたにおすすめの小説
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
幼子家精霊ノアの献身〜転生者と過ごした記憶を頼りに、家スキルで快適生活を送りたい〜
犬社護
ファンタジー
むか〜しむかし、とある山頂付近に、冤罪により断罪で断種された元王子様と、同じく断罪で国外追放された元公爵令嬢が住んでいました。2人は異世界[日本]の記憶を持っていながらも、味方からの裏切りに遭ったことで人間不信となってしまい、およそ50年間自給自足生活を続けてきましたが、ある日元王子様は寿命を迎えることとなりました。彼を深く愛していた元公爵令嬢は《自分も彼と共に天へ》と真摯に祈ったことで、神様はその願いを叶えるため、2人の住んでいた家に命を吹き込み、家精霊ノアとして誕生させました。ノアは、2人の願いを叶え丁重に葬りましたが、同時に孤独となってしまいます。家精霊の性質上、1人で生き抜くことは厳しい。そこで、ノアは下山することを決意します。
これは転生者たちと過ごした記憶と知識を糧に、家スキルを巧みに操りながら人々に善行を施し、仲間たちと共に世界に大きな変革をもたす精霊の物語。
「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ
天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。
彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。
「お前はもういらない」
ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。
だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。
――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。
一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。
生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!?
彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。
そして、レインはまだ知らない。
夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、
「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」
「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」
と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。
そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。
理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。
王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー!
HOT男性49位(2025年9月3日0時47分)
→37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる