25 / 37
第1章 王国編
第25話 魔回路
しおりを挟む
「今夜はこの辺で止まるか」
ドレイクはそう言うと周囲の確認を始めた。ドレイクはいつも野宿する場所の周辺を物凄く丁寧に探索する。何年か前、ドレイクが小さめの洞穴で野宿をしたときのことだが、次の朝目が覚めて外に出ると丁度山賊のような奴らが洞穴に向かって歩いてきているところだったらしい。もし起きるのがもう少しでも遅かったら身ぐるみはがされて奴隷として売られてしまうところだったかもしれないとドレイクは言っていた。そしてそれ以来、野宿をするところの周りの確認は普通の人が1だとするならば、ドレイクは10000くらいの気持ちでやっているらしい。・・ちょっと極端すぎるとは思うけどね。
「よーし大丈夫そうだな、近くには動物のフンも焚火の後も、なわばりのマーキングみたいな物もなかったからな。」
「今日のご飯は?」
「う~んもうそろそろ食料が尽きそうだからなぁ・・、いっそ全部使っちゃうか! この地図によればあと3日で着くくらいの距離だからな! ・・よし! 今日はパーっといくぞ!!」
「いやった~!!!!」
最近どういうわけかやけにお腹がすくようになってしまっているのだ。それにご飯を食べると幸せになれるからね! ご飯をたくさん食べるのはいいことだ!
そして僕たちはご飯の準備を開始した。と言っても基本的に保存食だから準備なんてほとんど何もなかったけどね・・。
ご飯を食べながら僕はしばらく気になっていたことを聞いてみた。
「ドレイクってさ、賢者だったんだよね?」
「ああ、なんでだ?」
「いや僕のイメージだと賢者ってすごい魔法バァン!敵ドォン!みたいなイメージだったからさ、なんかちょっとイメージと違うな~って」
「いや俺だってこの前まではドォン!てできたよ! けど魔回路が壊れちまったってオスカーも言ってたじゃねえか」
「魔回路って何?」
「魔回路って教えてなかったっけ?」
「うん」
「あ~そうだっけか、魔回路っていうのは皮膚に刻まれた魔力の通り道のことだな」
「ん?」
「生まれたばっかの赤ん坊は肌がまっさらだろ? だけど普通の生物は魔法を使うと魔力の通ったところの皮膚の色が変わるんだよ。それで同じ魔法を何回も使ってると、同じところの色が段々変わってくるだろ? そうするとそれが模様みたいになってくるんだよな、これが魔回路だ。で、回路が刻まれた魔法は魔力の流れを意識しなくてもその辺に流そうって少し思うだけですぐに使えるようになっていくんだ。これが魔法を習得するってことだな。」
「なるほどね」
「つまり魔力の血管みたいなことだ。じゃあこれがなくなったらどうなるか、どうなると思う?」
「魔法が使えなくなる?」
「おしい、一時的に魔法が使えなくなるんだ。例えば血管が一部なくなったとする、すると生物の体はどうするか、他の血管で欠損部を補おうとするんだ。これと同じようなことが魔回路でも起こる。魔回路の場合新しい道が生えるんだ。」
「なるほどね」
「だけどな、新しい道は使わないと生えてこないんだ。ちなみに俺の欠損した魔回路っていうのは魔力を外に放出するときに使う部分だ。ということで俺はいつも歩きながら細~く魔力を放出して魔回路を修復してるんだ」
「あれ? だけどこの前ドラールたちがハイエナの姿で近づいてきた時さ、炎出してなかった?」
「ああそうだぞ、魔回路が少し回復してたからな。だけど放出が上手くいかなくてな、威力がクソ雑魚だっただろ?」
「あ、だからあんなに雑魚だったのね」
「・・ストレートだなお前。まあそういうわけだ、魔回路が回復すればお前のお望み通りバァン!ドォン!ができるぞ」
「新しいのが生えるまでどれくらいかかりそうなの?」
「う~ん、前と同じレベルまで回復するのには大体半年はかかるんじゃねえか?」
「そんなに!?」
「いやいや、俺が何年かけて魔回路を育てたと思ってんだ? 放出系の回路なんて物心ついた時からずっと使ってたんだぞ? まあざっとひゃ・・20年くらいだぞ? それが半年で元に戻るんだから別に大した長さじゃないだろ」
「ああ、まあそれと比べると短いね・・」
(ひゃってなんだろ?)
「まあそういうわけだ、じゃあ明日も早いからもう寝ようか」
「うん」
そう言うとドレイクはすぐにいびきをかき始めた。
ドレイクはそう言うと周囲の確認を始めた。ドレイクはいつも野宿する場所の周辺を物凄く丁寧に探索する。何年か前、ドレイクが小さめの洞穴で野宿をしたときのことだが、次の朝目が覚めて外に出ると丁度山賊のような奴らが洞穴に向かって歩いてきているところだったらしい。もし起きるのがもう少しでも遅かったら身ぐるみはがされて奴隷として売られてしまうところだったかもしれないとドレイクは言っていた。そしてそれ以来、野宿をするところの周りの確認は普通の人が1だとするならば、ドレイクは10000くらいの気持ちでやっているらしい。・・ちょっと極端すぎるとは思うけどね。
「よーし大丈夫そうだな、近くには動物のフンも焚火の後も、なわばりのマーキングみたいな物もなかったからな。」
「今日のご飯は?」
「う~んもうそろそろ食料が尽きそうだからなぁ・・、いっそ全部使っちゃうか! この地図によればあと3日で着くくらいの距離だからな! ・・よし! 今日はパーっといくぞ!!」
「いやった~!!!!」
最近どういうわけかやけにお腹がすくようになってしまっているのだ。それにご飯を食べると幸せになれるからね! ご飯をたくさん食べるのはいいことだ!
そして僕たちはご飯の準備を開始した。と言っても基本的に保存食だから準備なんてほとんど何もなかったけどね・・。
ご飯を食べながら僕はしばらく気になっていたことを聞いてみた。
「ドレイクってさ、賢者だったんだよね?」
「ああ、なんでだ?」
「いや僕のイメージだと賢者ってすごい魔法バァン!敵ドォン!みたいなイメージだったからさ、なんかちょっとイメージと違うな~って」
「いや俺だってこの前まではドォン!てできたよ! けど魔回路が壊れちまったってオスカーも言ってたじゃねえか」
「魔回路って何?」
「魔回路って教えてなかったっけ?」
「うん」
「あ~そうだっけか、魔回路っていうのは皮膚に刻まれた魔力の通り道のことだな」
「ん?」
「生まれたばっかの赤ん坊は肌がまっさらだろ? だけど普通の生物は魔法を使うと魔力の通ったところの皮膚の色が変わるんだよ。それで同じ魔法を何回も使ってると、同じところの色が段々変わってくるだろ? そうするとそれが模様みたいになってくるんだよな、これが魔回路だ。で、回路が刻まれた魔法は魔力の流れを意識しなくてもその辺に流そうって少し思うだけですぐに使えるようになっていくんだ。これが魔法を習得するってことだな。」
「なるほどね」
「つまり魔力の血管みたいなことだ。じゃあこれがなくなったらどうなるか、どうなると思う?」
「魔法が使えなくなる?」
「おしい、一時的に魔法が使えなくなるんだ。例えば血管が一部なくなったとする、すると生物の体はどうするか、他の血管で欠損部を補おうとするんだ。これと同じようなことが魔回路でも起こる。魔回路の場合新しい道が生えるんだ。」
「なるほどね」
「だけどな、新しい道は使わないと生えてこないんだ。ちなみに俺の欠損した魔回路っていうのは魔力を外に放出するときに使う部分だ。ということで俺はいつも歩きながら細~く魔力を放出して魔回路を修復してるんだ」
「あれ? だけどこの前ドラールたちがハイエナの姿で近づいてきた時さ、炎出してなかった?」
「ああそうだぞ、魔回路が少し回復してたからな。だけど放出が上手くいかなくてな、威力がクソ雑魚だっただろ?」
「あ、だからあんなに雑魚だったのね」
「・・ストレートだなお前。まあそういうわけだ、魔回路が回復すればお前のお望み通りバァン!ドォン!ができるぞ」
「新しいのが生えるまでどれくらいかかりそうなの?」
「う~ん、前と同じレベルまで回復するのには大体半年はかかるんじゃねえか?」
「そんなに!?」
「いやいや、俺が何年かけて魔回路を育てたと思ってんだ? 放出系の回路なんて物心ついた時からずっと使ってたんだぞ? まあざっとひゃ・・20年くらいだぞ? それが半年で元に戻るんだから別に大した長さじゃないだろ」
「ああ、まあそれと比べると短いね・・」
(ひゃってなんだろ?)
「まあそういうわけだ、じゃあ明日も早いからもう寝ようか」
「うん」
そう言うとドレイクはすぐにいびきをかき始めた。
0
あなたにおすすめの小説
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
幼子家精霊ノアの献身〜転生者と過ごした記憶を頼りに、家スキルで快適生活を送りたい〜
犬社護
ファンタジー
むか〜しむかし、とある山頂付近に、冤罪により断罪で断種された元王子様と、同じく断罪で国外追放された元公爵令嬢が住んでいました。2人は異世界[日本]の記憶を持っていながらも、味方からの裏切りに遭ったことで人間不信となってしまい、およそ50年間自給自足生活を続けてきましたが、ある日元王子様は寿命を迎えることとなりました。彼を深く愛していた元公爵令嬢は《自分も彼と共に天へ》と真摯に祈ったことで、神様はその願いを叶えるため、2人の住んでいた家に命を吹き込み、家精霊ノアとして誕生させました。ノアは、2人の願いを叶え丁重に葬りましたが、同時に孤独となってしまいます。家精霊の性質上、1人で生き抜くことは厳しい。そこで、ノアは下山することを決意します。
これは転生者たちと過ごした記憶と知識を糧に、家スキルを巧みに操りながら人々に善行を施し、仲間たちと共に世界に大きな変革をもたす精霊の物語。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる