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第1章 王国編
第37話 地下通路
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「まあ魔法が使えれば問題無く降りれるんだけどな」
「……へ?」
「魔法だよ、魔法で落下速度を下げればいいだけだろ。お前なんか羽生えてるんだからそれ使えよ」
「あ、そっか」
「アッハッハッハ、お前ほんとに羽の事すぐ忘れるよな、まあ他にも地面を柔らかくしたりしてもいいけど、難しいからな、安パイは落下速度を遅くすることだな。じゃあ俺から行くぞ」
ドレイクはそう言うと穴の中に飛び込んで行ってしまった。少しすると穴の底からドレイクの声が聞こえてきた。
「デュークも早く来いよー!」
「今行くー!」
そうは言ったものの、先の見えない穴に飛び込むことなんて人生で初めてだし、何ならそんな経験は必要ない。しかしここでぐずぐずしていても何にもならないから、デュークは羽に力を入れて飛び込んだ!
穴はデュークが羽を目いっぱいに広げると少し狭いくらいのサイズしかなかったので、多少の怖さはあったが、何とか無事にそこまでたどり着くことができた。
ドレイクは光る玉をピュンピュン飛ばして遊んでいた。
「よしきたな、じゃあ行くか」
「うん」
どうやら穴は一本道の途中につながっていたようで、ドレイクはその道をまっすぐ歩いて行った。
少し歩くとすぐに小さな部屋にでた。部屋からは入ってきた道を含めて8本の道が出ており、道の下には色違いの矢印が書いてあった。
「これは何なの?」
「これはな、矢印って言うんだ」
「違うそうじゃない、そうだけどそうじゃない!」
「アハハッ、これは暗号みたいなもんだな。白は王城の側、黒は俺たちが居たのとは別の牢屋、赤は商店街で、青は噴水広場だ。緑は図書館、黄色は貴族の屋敷、紫は錬金師のばあさんの家で……あれ、これなんだ? てかこんなのあったっけ?」
ドレイクはそういって何も矢印のついていない道の先に光の玉を放った。道の先は途中で行き止まりで、特に何の変哲もなかった。
「……この道って全部カミラさんが作ったんでしょ?」
「ああ、そのはずだ」
「じゃあドレイクが知らない間にまた増やしたんじゃない?」
「……う~ん、まあ前に来たのがもう10年近く前だからなぁ、増やしてる可能性もなくは無いよな」
「多分そうだよ」
デュークはなぜか行き止まりのはずのその道の先から嫌な気配を感じる気がして、早くその場を立ち去りたかった。
「……まあいっか」
ドレイクはそういって黒い矢印の書いてある道に進んでいった。黒い矢印の道を少し進むと、後ろから何かの動く気配を感じ、「カサカサ」という足音のようなものが聞こえた気がした。
僕が勢いよく振り向くと、そこには何もいなかった。
「どうした?」
「いや、足音が聞こえた気がしたんだよね。まあ多分ネズミとかだよね」
「……多分な」
ドレイクはそれだけ言うとさっさと歩き始めた。
その後しばらく歩くと、地上に上がる階段のようなものが現れた。少なくとも100段以上はある、なぜって僕のカウントでは今のところ146段だから。
「ねえこの階段何段あるの? 長すぎない?」
「ああ、数えたらその分だけ出口が遠くなるようになってる」
「……は?」
「長い階段って数えたくなるだろ? だから数えた分だけ出口を遠ざけることで、何も知らないで勝手に入ったやつは一生この階段から抜け出せなくなってる」
「そういう仕様は! 先に言えって! 何回も! 言ってるでしょうがぁぁぁああ!!!!!」
「え? なにお前階段数えながら登ってたの? ギャッハッハッハ!! いや~道理でなんか前より階段長い気がしてたんだよ」
「……燃やすよ?」
「アハハハハ、ごめんって、次はちゃんと言ってやるよ」
「一個だけ聞いてもいい?」
「いいぞ」
「……さっきから出てくるトラップってカミラさんが作ったの?」
「ああそうだぞ、まあ考えたのは俺だけど。カミラはずっと要らないって言ってたな」
「……はぁ」
「ほかの出口にも俺が考えた珠玉の罠が仕掛けてあるからな、今度暇なとき教えてやるよ」
「全然知りたくないわ!!」
そんな風に話しながら階段を上っていると、いつの間にか目の前に出口のような扉が現れた。
「……へ?」
「魔法だよ、魔法で落下速度を下げればいいだけだろ。お前なんか羽生えてるんだからそれ使えよ」
「あ、そっか」
「アッハッハッハ、お前ほんとに羽の事すぐ忘れるよな、まあ他にも地面を柔らかくしたりしてもいいけど、難しいからな、安パイは落下速度を遅くすることだな。じゃあ俺から行くぞ」
ドレイクはそう言うと穴の中に飛び込んで行ってしまった。少しすると穴の底からドレイクの声が聞こえてきた。
「デュークも早く来いよー!」
「今行くー!」
そうは言ったものの、先の見えない穴に飛び込むことなんて人生で初めてだし、何ならそんな経験は必要ない。しかしここでぐずぐずしていても何にもならないから、デュークは羽に力を入れて飛び込んだ!
穴はデュークが羽を目いっぱいに広げると少し狭いくらいのサイズしかなかったので、多少の怖さはあったが、何とか無事にそこまでたどり着くことができた。
ドレイクは光る玉をピュンピュン飛ばして遊んでいた。
「よしきたな、じゃあ行くか」
「うん」
どうやら穴は一本道の途中につながっていたようで、ドレイクはその道をまっすぐ歩いて行った。
少し歩くとすぐに小さな部屋にでた。部屋からは入ってきた道を含めて8本の道が出ており、道の下には色違いの矢印が書いてあった。
「これは何なの?」
「これはな、矢印って言うんだ」
「違うそうじゃない、そうだけどそうじゃない!」
「アハハッ、これは暗号みたいなもんだな。白は王城の側、黒は俺たちが居たのとは別の牢屋、赤は商店街で、青は噴水広場だ。緑は図書館、黄色は貴族の屋敷、紫は錬金師のばあさんの家で……あれ、これなんだ? てかこんなのあったっけ?」
ドレイクはそういって何も矢印のついていない道の先に光の玉を放った。道の先は途中で行き止まりで、特に何の変哲もなかった。
「……この道って全部カミラさんが作ったんでしょ?」
「ああ、そのはずだ」
「じゃあドレイクが知らない間にまた増やしたんじゃない?」
「……う~ん、まあ前に来たのがもう10年近く前だからなぁ、増やしてる可能性もなくは無いよな」
「多分そうだよ」
デュークはなぜか行き止まりのはずのその道の先から嫌な気配を感じる気がして、早くその場を立ち去りたかった。
「……まあいっか」
ドレイクはそういって黒い矢印の書いてある道に進んでいった。黒い矢印の道を少し進むと、後ろから何かの動く気配を感じ、「カサカサ」という足音のようなものが聞こえた気がした。
僕が勢いよく振り向くと、そこには何もいなかった。
「どうした?」
「いや、足音が聞こえた気がしたんだよね。まあ多分ネズミとかだよね」
「……多分な」
ドレイクはそれだけ言うとさっさと歩き始めた。
その後しばらく歩くと、地上に上がる階段のようなものが現れた。少なくとも100段以上はある、なぜって僕のカウントでは今のところ146段だから。
「ねえこの階段何段あるの? 長すぎない?」
「ああ、数えたらその分だけ出口が遠くなるようになってる」
「……は?」
「長い階段って数えたくなるだろ? だから数えた分だけ出口を遠ざけることで、何も知らないで勝手に入ったやつは一生この階段から抜け出せなくなってる」
「そういう仕様は! 先に言えって! 何回も! 言ってるでしょうがぁぁぁああ!!!!!」
「え? なにお前階段数えながら登ってたの? ギャッハッハッハ!! いや~道理でなんか前より階段長い気がしてたんだよ」
「……燃やすよ?」
「アハハハハ、ごめんって、次はちゃんと言ってやるよ」
「一個だけ聞いてもいい?」
「いいぞ」
「……さっきから出てくるトラップってカミラさんが作ったの?」
「ああそうだぞ、まあ考えたのは俺だけど。カミラはずっと要らないって言ってたな」
「……はぁ」
「ほかの出口にも俺が考えた珠玉の罠が仕掛けてあるからな、今度暇なとき教えてやるよ」
「全然知りたくないわ!!」
そんな風に話しながら階段を上っていると、いつの間にか目の前に出口のような扉が現れた。
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