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「次はー、終点の地獄ー、地獄ー。」
同じ電車に乗っていた中で、地獄まで乗っていたのは私のみ。
天国で四分の一が、異世界転生窓口駅で残っていた半分が降りた。
これで人手不足はなんなのか。
覚悟してはいたけれど、一つ手前の駅だった生まれ変わりを行う場所である輪廻転生駅で、乗っていた人が全て降りて行ってしまった。
あなたは降りないのかという視線が少しだけ痛い。
地獄に行くの⁉みたいな顔で見ないでほしかったな。
ま、あの人たちとはもう会うこともないだろうし、いっか。
窓の外に見える景色が暗くなってきて、地獄に来たという実感が湧いてくる。
「終点の地獄駅でございます。お乗りになっているお客様は必ずこちらでお降りください。さもなくば一生この黄泉の世界でさまよい続けることとなってしまいますので。」
脅しのようなアナウンスに急かされるようにして地獄の地に降り立った。
見えた駅は地獄とは思えぬほどの明るさ。
『ようこそ地獄へ』
駅名標の色は赤でこそあるが、クリスマスのような電飾が施されていて変にキラキラしており、フォントはまさかのポップ体。
何とも言えぬミスマッチさに地獄という場所の印象がだいぶ変わってしまった。
改札らしきところを抜けると、人が待っていた。
「新人さんね!待ってた。」
どうやらこの人が地獄職員の方。
勝手なイメージ、地獄職員は鬼だと思っていたのにまさかの見た目普通の人。
物腰の柔らかそうな女の人だった。
「新人さんは三人目ね。今回はこれ以上増えないんじゃないかって思ってたからうれしい!」
すたすたと歩いていくその後ろをついていく。
「そうだ。私の名前は栗花落ね。明華さんと同じ部署に入れば直属の先輩ってことになるわ。よろしく。」
栗花落と名乗ったその女性はさらりと私の名前を呼んだ。
「なんで名前を…」
「そっか。驚くよね。新人さんが来るって聞いて、導き人に聞いちゃった。」
「そういうことでしたか。よろしくお願いします。」
「あそこに見える大きなビルが地獄職員全員を管理する事務所。今からそこに行って、明華さんの配属先を決めなきゃね。」
ほほう。あそこが事務所か。
東京にあるような、割と普通の高層のビル。
地獄というくらいなのだから日本家屋のような渋い建物なのかと思っていた。
「意外でしょう。周りの雰囲気に合わない近代的な建物だもんね。」
「そう、ですね。」
「働いてた会社に似てる?」
「はい。こんな感じのビルでした。」
「私も。ここに来る前。人間界でいう二年前、こんな感じのビルで働いてた。あんまり楽しかった記憶はないな。いつも何かに追われている感じして。でもここは違う。しっかり休めるし、仕事も人間界のころとは比べ物にならないくらい楽しい。いい職場よ。」
そう、なんだ。
栗花落さんが話している最中、それまでニコニコとして崩さなかった表情が曇っていた。
ここに来る前、人間界にいた頃勤務していたところで何かあったのだろう。
「二年前…最近ですね。」
「そうね。人間界の時間でいえば最近。でも地獄界でいう人間界の2年は100年になるわ。人間界よりも流れてる時間が大幅にずれてるのよ。慣れてしまえばそんなことないのだけどね。」
今、栗花落さんから聞き捨てならない単語が聞こえた。
100年だって⁉
単純に考えて一年は50年ということになる。
ってことは、250年の勤務が義務なのか、それとも5年でいいのか…
「老けるスピードは人間界と同じ。50年で一歳と死をとる感じ?うーん。複雑よね。あまり時間については考えないことをお勧めするわ。」
「もう、理解が追い付かないです。」
「私もここに来たばっかりの時は考えたなー。ってことは、ここでの一日は人間界の何分なのか…とか計算してみたり。」
まさに今、それをやろうとしていた。
「計算して、答えは出たんだけどね。意味なかった。そんなこと気にする必要ないくらいこっちの生活が快適で、楽しかったから。」
楽しいのか。ここでの生活は。
新手の詐欺かなんかだと思ってしまっていた。
右も左も分かっていない今は栗花落さんの言葉を信じるしかない。
いつの間にか、遠いと思っていたビルの前まで来ていた。
「はい、ようこそ!地獄カンパニーへ!!」
「地獄カンパニー…」
ビルの中には鬼っぽい角が生えた人たちが書類片手にスーツ姿で歩いていたり、私と同じような見た目の男の人がマグカップ片手に歩いていたり…
栗花落さんに連れられた私のことを見たとたん、「ようこそ!」と歓迎された。
ここ、地獄であってますかと思わずツッコミを入れたくなるような和やかな雰囲気。
薄暗くて赤い雲に埋め尽くされていた外とは比べ物にならないくらい普通の会社。駅同様、地獄という場所の雰囲気をぶち壊しにかかっている。
「ネーミングに言いたいことはわかる。私も100年前に同じこと思ったもの。」
はぁ。
「早速だけど、人事部に行きましょうか!」
笑顔の栗花落さんに引っ張られるようにして、人事部という部署に連れていかれた。
同じ電車に乗っていた中で、地獄まで乗っていたのは私のみ。
天国で四分の一が、異世界転生窓口駅で残っていた半分が降りた。
これで人手不足はなんなのか。
覚悟してはいたけれど、一つ手前の駅だった生まれ変わりを行う場所である輪廻転生駅で、乗っていた人が全て降りて行ってしまった。
あなたは降りないのかという視線が少しだけ痛い。
地獄に行くの⁉みたいな顔で見ないでほしかったな。
ま、あの人たちとはもう会うこともないだろうし、いっか。
窓の外に見える景色が暗くなってきて、地獄に来たという実感が湧いてくる。
「終点の地獄駅でございます。お乗りになっているお客様は必ずこちらでお降りください。さもなくば一生この黄泉の世界でさまよい続けることとなってしまいますので。」
脅しのようなアナウンスに急かされるようにして地獄の地に降り立った。
見えた駅は地獄とは思えぬほどの明るさ。
『ようこそ地獄へ』
駅名標の色は赤でこそあるが、クリスマスのような電飾が施されていて変にキラキラしており、フォントはまさかのポップ体。
何とも言えぬミスマッチさに地獄という場所の印象がだいぶ変わってしまった。
改札らしきところを抜けると、人が待っていた。
「新人さんね!待ってた。」
どうやらこの人が地獄職員の方。
勝手なイメージ、地獄職員は鬼だと思っていたのにまさかの見た目普通の人。
物腰の柔らかそうな女の人だった。
「新人さんは三人目ね。今回はこれ以上増えないんじゃないかって思ってたからうれしい!」
すたすたと歩いていくその後ろをついていく。
「そうだ。私の名前は栗花落ね。明華さんと同じ部署に入れば直属の先輩ってことになるわ。よろしく。」
栗花落と名乗ったその女性はさらりと私の名前を呼んだ。
「なんで名前を…」
「そっか。驚くよね。新人さんが来るって聞いて、導き人に聞いちゃった。」
「そういうことでしたか。よろしくお願いします。」
「あそこに見える大きなビルが地獄職員全員を管理する事務所。今からそこに行って、明華さんの配属先を決めなきゃね。」
ほほう。あそこが事務所か。
東京にあるような、割と普通の高層のビル。
地獄というくらいなのだから日本家屋のような渋い建物なのかと思っていた。
「意外でしょう。周りの雰囲気に合わない近代的な建物だもんね。」
「そう、ですね。」
「働いてた会社に似てる?」
「はい。こんな感じのビルでした。」
「私も。ここに来る前。人間界でいう二年前、こんな感じのビルで働いてた。あんまり楽しかった記憶はないな。いつも何かに追われている感じして。でもここは違う。しっかり休めるし、仕事も人間界のころとは比べ物にならないくらい楽しい。いい職場よ。」
そう、なんだ。
栗花落さんが話している最中、それまでニコニコとして崩さなかった表情が曇っていた。
ここに来る前、人間界にいた頃勤務していたところで何かあったのだろう。
「二年前…最近ですね。」
「そうね。人間界の時間でいえば最近。でも地獄界でいう人間界の2年は100年になるわ。人間界よりも流れてる時間が大幅にずれてるのよ。慣れてしまえばそんなことないのだけどね。」
今、栗花落さんから聞き捨てならない単語が聞こえた。
100年だって⁉
単純に考えて一年は50年ということになる。
ってことは、250年の勤務が義務なのか、それとも5年でいいのか…
「老けるスピードは人間界と同じ。50年で一歳と死をとる感じ?うーん。複雑よね。あまり時間については考えないことをお勧めするわ。」
「もう、理解が追い付かないです。」
「私もここに来たばっかりの時は考えたなー。ってことは、ここでの一日は人間界の何分なのか…とか計算してみたり。」
まさに今、それをやろうとしていた。
「計算して、答えは出たんだけどね。意味なかった。そんなこと気にする必要ないくらいこっちの生活が快適で、楽しかったから。」
楽しいのか。ここでの生活は。
新手の詐欺かなんかだと思ってしまっていた。
右も左も分かっていない今は栗花落さんの言葉を信じるしかない。
いつの間にか、遠いと思っていたビルの前まで来ていた。
「はい、ようこそ!地獄カンパニーへ!!」
「地獄カンパニー…」
ビルの中には鬼っぽい角が生えた人たちが書類片手にスーツ姿で歩いていたり、私と同じような見た目の男の人がマグカップ片手に歩いていたり…
栗花落さんに連れられた私のことを見たとたん、「ようこそ!」と歓迎された。
ここ、地獄であってますかと思わずツッコミを入れたくなるような和やかな雰囲気。
薄暗くて赤い雲に埋め尽くされていた外とは比べ物にならないくらい普通の会社。駅同様、地獄という場所の雰囲気をぶち壊しにかかっている。
「ネーミングに言いたいことはわかる。私も100年前に同じこと思ったもの。」
はぁ。
「早速だけど、人事部に行きましょうか!」
笑顔の栗花落さんに引っ張られるようにして、人事部という部署に連れていかれた。
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