フィジカル系令嬢が幸せを掴むまで~助けた年下王子からの溺愛~

ナカジマ

文字の大きさ
51 / 51

最終話 それからの2人は

しおりを挟む
 エストリアとオズワルドの結婚式から5年の月日が流れた。
 15歳にして国王となったウィリアムの治世は非常に安定しており、オズワルドの読み通り良き国王として信頼されている。
 オーレルム領もあれ以来魔物による被害は出ておらず、平和で平穏な日々が続いている。
 2人が結婚してから、1年後に第1子である長女のアリアが生まれた。現在4歳の元気な女の子だ。
 エストリアに良く似て、今の内から活発さを発揮している。母親に憧れており、騎士になる夢を抱いている。

 アリアが生まれた更に1年後、今度は第2子で長男のオットーが生まれ、現在は3歳になったばかりの可愛らしい少年だ。
 こちらはオズワルドに似たのか、大人しくて知的な子供である。物語を聞くのが好きな子で、良く両親にお話をせがんでいる。
 そんな温かくて幸せな家族が住まう屋敷の客間にて、エストリア達と客人達が談笑している。

「こらアリア、大人しくしていないといけませんよ」

「それは君もだエストリア。お腹の子に何かあったらどうする」

「全く、親になってもせわしない方です事」

 エストリアの屋敷を訪れているのは、レティシアとその夫となった元伯爵家次男のクラーク・オーバーン。
 そして彼らの子供であるまだ2歳の幼女リーシャが居る。
 結局あれからもエストリアとレティシアの交友関係は続いており、たまにこうしてレティシアが遊びに来ている。

 エストリアが王都に行く場合もあるのだが、現在の彼女は第3子を妊娠中である。
 それならばとレティシア達が出向いて来た形だ。そしてそんな彼女達に便乗してやって来たもう1人の客人が居る。
 視察という名目でやって来た、現レアル王国の国王であるウィリアムだ。

「兄上もこうなると、普通の父親だね」

「お前だって将来こうなるんだぞ?」

「僕はまだ暫く独り身で構わないよ」

 16歳になったウィリアムは、高い知性を感じさせる美少年に成長していた。
 やはり兄弟であるからか、彼はオズワルドと顔立ちが似ていた。そんなウィリアムの外見をエストリアは懐かしく感じた。
 まだ18歳になる前の、出会ったばかりのオズワルドを思い起こさせる。

 今のオズワルドは24歳となり、流石にもう10代の頃とは大きく違っている。
 立派な大人の男性に成長し、鮮やかな金髪を長く伸ばして首の後ろで束ねていた。
 エストリアはいちいち確認していないが、夫が髪を伸ばした理由に検討がついている。

 オズワルドの義兄であり、エストリアの兄でもあるカイルに憧れたからだろうと。
 カイルとオズワルドはかなり良好な関係であり、カイルが帰郷した際には稽古をつけて貰っている。
 そんな弟と義弟の姿に兄のルーカスが混ざりたがるが、今や彼はオーレルム領の領主だ。
 ちゃんと仕事をしなさいと、ヴェロニカにいつも回収されている。

「まさかこんな日が来るなんてな」

「それは僕のセリフですよ兄上」

「ハハ、確かにな。お互い色々とあったからな」

 私情で騎士団を動かし、その責任を問われたオズワルドは王位を再び放棄。
 そうして最後の王子となったウィリアムが王位を継ぐ事になり、王国内は色々と大変な時期があった。
 もちろんオズワルドも丸投げにはしておらず、何度も王都へ出向いている。

 オズワルドを強く支持していた貴族達への説得や、ウィリアムへの協力要請。
 浮足立つ元第1王子派閥や元第2王子派閥の貴族達を纏め上げて、王城内の鎮静化を図った。
 それと同時に身重でありながら働こうとするエストリアを大人しくさせる等、本当に忙しい日々の連続だった。

「ウィリアムも、あの頃と比べたら立派な男性になりましたね」

「ありがとうございます義姉上。ただあまり僕を褒めると兄上が嫉妬しますから」

「おい! 余計な事を言うな!」

 相変わらず仲が良い2人の王族を見ながら微笑むエストリア。20代後半となり30歳が見えて来た彼女は、大人の魅力が溢れる女性に成長していた。
 短かった髪は長くなり、腰の辺りまで伸びている。少しフィジカルに寄っている点と、天然ぶりはあまり変わってはいないが。

 それでも彼女は、愛する家族と友人に恵まれて幸せな日々を送っている。
 自分が家庭を持つなんて思ってもいなかったエストリアが、今では立派な3児の母親である。
 これからも色々と大変な事があるだろう。それでもここに居る人々が居るから、領民達がいるから。
 きっとそんな毎日が、彼女にとっては楽しいのだろう。

「大丈夫ですよ、わたくしの一番はオズワルドですから」

「わ、分かっているさ」

「ちょっと私達も居るのですよ? 忘れないで下さる?」

 兄達に裏切られた王子と、辺境で騎士として生きて来た女性。2人の出会いで動き出した物語は、幸せな未来へと繋がっていた。
 彼らはこれからもこの辺境の地で、幸せな日々を送っていく。子供達が大きくなり、結婚して孫が出来て。
 年老いても尚領民達と共に生きたその姿は、オーレルム領の歴史に残り続けた。

 魔物の大発生も乗り越えて、繁栄をもたらした偉大な夫婦として。
 そんな未来の事は知りもしないエストリアとオズワルドは、友人達と共に楽しそうに笑い合っていた。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

Blue Bird ―初恋の人に再会したのに奔放な同級生が甘すぎるっ‼【完結】

remo
恋愛
「…溶けろよ」 甘く響くかすれた声と奔放な舌にどこまでも落とされた。 本宮 のい。新社会人1年目。 永遠に出来そうもない彼氏を夢見つつ、目の前の仕事に奮闘中。 なんだけど。 青井 奏。 高校時代の同級生に再会した。 と思う間もなく、 和泉 碧。 初恋の相手らしき人も現れた。 幸せの青い鳥は一体どこに。 【完結】 ありがとうございました‼︎

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

狼隊長さんは、私のやわはだのトリコになりました。

汐瀬うに
恋愛
目が覚めたら、そこは獣人たちの国だった。 元看護師の百合は、この世界では珍しい“ヒト”として、狐の婆さんが仕切る風呂屋で働くことになる。 与えられた仕事は、獣人のお客を湯に通し、その体を洗ってもてなすこと。 本来ならこの先にあるはずの行為まで求められてもおかしくないのに、百合の素肌で背中を撫でられた獣人たちは、皆ふわふわの毛皮を揺らして眠りに落ちてしまうのだった。 人間の肌は、獣人にとって子犬の毛並みのようなもの――そう気づいた時には、百合は「眠りを売る“やわはだ嬢”」として静かな人気者になっていた。 そんな百合の元へある日、一つの依頼が舞い込む。 「眠れない狼隊長を、あんたの手で眠らせてやってほしい」 戦場の静けさに怯え、目を閉じれば仲間の最期がよみがえる狼隊長ライガ。 誰よりも強くあろうとする男の震えに触れた百合は、自分もまた失った人を忘れられずにいることを思い出す。 やわらかな人肌と、眠れない心。 静けさを怖がるふたりが、湯気の向こうで少しずつ寄り添っていく、獣人×ヒトの異世界恋愛譚。 [こちらは以前あげていた「やわはだの、お風呂やさん」の改稿ver.になります]

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!

雨宮羽那
恋愛
 いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。 ◇◇◇◇  私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。  元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!  気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?  元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!  だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。 ◇◇◇◇ ※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。 ※アルファポリス先行公開。 ※表紙はAIにより作成したものです。

定時で帰りたい私と、残業常習犯の美形部長。秘密の夜食がきっかけで、胃袋も心も掴みました

藤森瑠璃香
恋愛
「お先に失礼しまーす!」がモットーの私、中堅社員の結城志穂。 そんな私の天敵は、仕事の鬼で社内では氷の王子と恐れられる完璧美男子・一条部長だ。 ある夜、忘れ物を取りに戻ったオフィスで、デスクで倒れるように眠る部長を発見してしまう。差し入れた温かいスープを、彼は疲れ切った顔で、でも少しだけ嬉しそうに飲んでくれた。 その日を境に、誰もいないオフィスでの「秘密の夜食」が始まった。 仕事では見せない、少しだけ抜けた素顔、美味しそうにご飯を食べる姿、ふとした時に見せる優しい笑顔。 会社での厳しい上司と、二人きりの時の可愛い人。そのギャップを知ってしまったら、もう、ただの上司だなんて思えない。 これは、美味しいご飯から始まる、少し大人で、甘くて温かいオフィスラブ。

【完結】異世界転移した私、なぜか全員に溺愛されています!?

きゅちゃん
恋愛
残業続きのOL・佐藤美月(22歳)が突然異世界アルカディア王国に転移。彼女が持つ稀少な「癒しの魔力」により「聖女」として迎えられる。優しく知的な宮廷魔術師アルト、粗野だが誠実な護衛騎士カイル、クールな王子レオン、最初は敵視する女騎士エリアらが、美月の純粋さと癒しの力に次々と心を奪われていく。王国の危機を救いながら、美月は想像を絶する溺愛を受けることに。果たして美月は元の世界に帰るのか、それとも新たな愛を見つけるのか――。

処理中です...