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第3章
第151話 逃走と追走
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シャマとジーバ姉弟はかなりのスピードで走り抜けていた。警備隊の追跡を振り切り、警察の目も掻い潜り、沼津港を目指していた。
元々撤収の際はそちらから逃げる算段をしており、外見を普通の漁船に偽装した高速艇が停泊してある。
そこまで到達してしまえば、あとは遠洋漁業を装い南米方面に向けて脱出する。地を駆ける2人の背には、シャマの契約精霊である風の精霊が追い風を送っている。
少し空中に浮き上るだけで、一気に距離を稼ぐ事が可能だ。幼い頃からこうして2人は自然の中を移動して来た。
木々のないコンクリートだらけの街中なんて、障害物もなくスイスイと移動が可能だった。
「姉さん、もう少し急いだ方が……」
逃走を図る直前にアイナから言われた事がジーバの頭から離れない。追跡は可能だという一言だ。
「分かっているわ。スピードを上げるわよ」
族長であるイルヴェもおらず、七つの大罪に所属する2人もいない。もしSランク魔術師を相手にする事になれば、逃走の難易度は跳ね上がる。
それにイルヴェが受けた魔力弾の正体を、彼女達は知らない。もし受けてしまえば確実に確保されてしまう。
更にスピードを上げた2人は移動を続け、沼津港まで後少しの所まで迫っていた。
「港は目の前よ、これで……何の音?」
2人の背後から、ジェットエンジンの様な音が鳴り響いている。しかし街中を飛行機が飛ぶ筈がない。
空を見ても低空で飛行している旅客機や戦闘機の類は一切見られない。
「近付いて来ている? 姉さん!」
「どこよ!? ステルス戦闘機でも飛んでいるの?」
確実にジェットエンジンの轟音が、2人の方に向かって移動している。まさか戦闘機まで持ち出して追跡をされているのかと、焦る2人は空中を見るがやはり何処にも機影はない。
シャマは魔術で見えなくしているステルス戦闘機を疑い、空に向けて風を放つ。しかし何の揺らぎも見られず、その姿を見つける事は出来ない。
港近くの直線道路に2人が出た時、路上を爆速で移動する金髪の少女が見えた。
「あれは!?」
「何よそれ!?」
ジェットエンジン音の正体は、アイナが装備している物体にあった。背負ったバックパックの外側と、足に履いたインラインローラーの背面にブースターが付いている。
そこから爆音と共に物凄い勢いで空気が放出され、人間には到底出せない速度で移動している。
それは錬金術しか使えない彼女が、単独で高速移動する為に作り上げた専用装備だ。
アイナは器用なボディコントロールで、倒れる事なく真っ直ぐ突撃した。一瞬で2人を追い抜き、正面に立つ。
「言ったでしょう? 逃げられないと。日本の魔導協会を舐めすぎたわね」
静岡県内で使用されている魔術を全てモニタリングし、大阪支部から送られて来たデータを元に位置を特定。
この国ではミカカ族の3人しか使っていない魔術であり、他の誰かと間違いようがない。あとは情報を貰ったアイナが、真っ直ぐ爆速で追いかけるだけだった。
「クソッ! 姉さん!」
「……アナタは逃げなさい、ジーバ」
弟だけでも逃がそうと、シャマはアイナと戦う決意をする。
「何か良い感じの空気を作ろうとしているけど、もう2人とも逃さないわよ? 私、こう見えてスナイパーだから」
バックパックとインラインローラーを虚空にしまったアイナは、これ見よがしに大型のスナイパーライフルを取り出す。
明らかに手慣れた動きで初弾を装填したアイナを見て、2人は焦る気持ちを隠せない。冷や汗が2人のこめかみを流れ落ちる。
「精霊降ろしも私には効かない。速攻で強制解除させるわ。狙撃から逃れたければ、一瞬で1kmは移動できないと無理ね。800mまでは簡単に撃ち抜ける。港を目指したという事は海に出るのよね? 砲撃で沈めるだけよ。さあ、まだ逃げるプランがある?」
余裕の態度で、シャマ達のプランを潰していくアイナ。逃げても無駄だと、丁寧に説明をしていく。
事実としてアイナは、今挙げた全てを実際に行える。仮にシャマが囮となったとしても、速攻で制圧してジーバを狙撃するだけだ。
そんなビジョンが2人の脳裏に浮かび、逃げおおせる姿が想像できない。しかしそれでも、2人は諦めるわけにはいかなかった。
「行きなさいジーバ! アナタの相手はこの私がっ!?」
精霊を降ろして戦おうとするシャマだったが、一瞬で距離を詰めたアイナが目の前に居た。
鋭い蹴りを腹部に受けたシャマは、真横に吹き飛び電柱に直撃。追撃の魔力弾がシャマの浅黒い肌に浸透し、魔術の行使を阻害する。
「姉さん! クソォッ!!」
もはや打つ手なしと、ジーバは無理な突撃をアイナに向けて敢行する。
「諦めてはくれないのね」
これまでにも何度も経験した、犯罪者達の破れかぶれの攻撃。素直に諦めずに、最後の最後まで抵抗する。
きっと彼らにも、やむを得ない事情があったのだろう。アイナだってそれは良く分かる。だけど犯罪は犯罪で、罪を償う必要がある。
アイナだって禁呪を使用した償いは、ちゃんと自分の手で行っている。だからこそアイナは、ジーバも制圧して魔力弾を撃ち込んだ。
元々撤収の際はそちらから逃げる算段をしており、外見を普通の漁船に偽装した高速艇が停泊してある。
そこまで到達してしまえば、あとは遠洋漁業を装い南米方面に向けて脱出する。地を駆ける2人の背には、シャマの契約精霊である風の精霊が追い風を送っている。
少し空中に浮き上るだけで、一気に距離を稼ぐ事が可能だ。幼い頃からこうして2人は自然の中を移動して来た。
木々のないコンクリートだらけの街中なんて、障害物もなくスイスイと移動が可能だった。
「姉さん、もう少し急いだ方が……」
逃走を図る直前にアイナから言われた事がジーバの頭から離れない。追跡は可能だという一言だ。
「分かっているわ。スピードを上げるわよ」
族長であるイルヴェもおらず、七つの大罪に所属する2人もいない。もしSランク魔術師を相手にする事になれば、逃走の難易度は跳ね上がる。
それにイルヴェが受けた魔力弾の正体を、彼女達は知らない。もし受けてしまえば確実に確保されてしまう。
更にスピードを上げた2人は移動を続け、沼津港まで後少しの所まで迫っていた。
「港は目の前よ、これで……何の音?」
2人の背後から、ジェットエンジンの様な音が鳴り響いている。しかし街中を飛行機が飛ぶ筈がない。
空を見ても低空で飛行している旅客機や戦闘機の類は一切見られない。
「近付いて来ている? 姉さん!」
「どこよ!? ステルス戦闘機でも飛んでいるの?」
確実にジェットエンジンの轟音が、2人の方に向かって移動している。まさか戦闘機まで持ち出して追跡をされているのかと、焦る2人は空中を見るがやはり何処にも機影はない。
シャマは魔術で見えなくしているステルス戦闘機を疑い、空に向けて風を放つ。しかし何の揺らぎも見られず、その姿を見つける事は出来ない。
港近くの直線道路に2人が出た時、路上を爆速で移動する金髪の少女が見えた。
「あれは!?」
「何よそれ!?」
ジェットエンジン音の正体は、アイナが装備している物体にあった。背負ったバックパックの外側と、足に履いたインラインローラーの背面にブースターが付いている。
そこから爆音と共に物凄い勢いで空気が放出され、人間には到底出せない速度で移動している。
それは錬金術しか使えない彼女が、単独で高速移動する為に作り上げた専用装備だ。
アイナは器用なボディコントロールで、倒れる事なく真っ直ぐ突撃した。一瞬で2人を追い抜き、正面に立つ。
「言ったでしょう? 逃げられないと。日本の魔導協会を舐めすぎたわね」
静岡県内で使用されている魔術を全てモニタリングし、大阪支部から送られて来たデータを元に位置を特定。
この国ではミカカ族の3人しか使っていない魔術であり、他の誰かと間違いようがない。あとは情報を貰ったアイナが、真っ直ぐ爆速で追いかけるだけだった。
「クソッ! 姉さん!」
「……アナタは逃げなさい、ジーバ」
弟だけでも逃がそうと、シャマはアイナと戦う決意をする。
「何か良い感じの空気を作ろうとしているけど、もう2人とも逃さないわよ? 私、こう見えてスナイパーだから」
バックパックとインラインローラーを虚空にしまったアイナは、これ見よがしに大型のスナイパーライフルを取り出す。
明らかに手慣れた動きで初弾を装填したアイナを見て、2人は焦る気持ちを隠せない。冷や汗が2人のこめかみを流れ落ちる。
「精霊降ろしも私には効かない。速攻で強制解除させるわ。狙撃から逃れたければ、一瞬で1kmは移動できないと無理ね。800mまでは簡単に撃ち抜ける。港を目指したという事は海に出るのよね? 砲撃で沈めるだけよ。さあ、まだ逃げるプランがある?」
余裕の態度で、シャマ達のプランを潰していくアイナ。逃げても無駄だと、丁寧に説明をしていく。
事実としてアイナは、今挙げた全てを実際に行える。仮にシャマが囮となったとしても、速攻で制圧してジーバを狙撃するだけだ。
そんなビジョンが2人の脳裏に浮かび、逃げおおせる姿が想像できない。しかしそれでも、2人は諦めるわけにはいかなかった。
「行きなさいジーバ! アナタの相手はこの私がっ!?」
精霊を降ろして戦おうとするシャマだったが、一瞬で距離を詰めたアイナが目の前に居た。
鋭い蹴りを腹部に受けたシャマは、真横に吹き飛び電柱に直撃。追撃の魔力弾がシャマの浅黒い肌に浸透し、魔術の行使を阻害する。
「姉さん! クソォッ!!」
もはや打つ手なしと、ジーバは無理な突撃をアイナに向けて敢行する。
「諦めてはくれないのね」
これまでにも何度も経験した、犯罪者達の破れかぶれの攻撃。素直に諦めずに、最後の最後まで抵抗する。
きっと彼らにも、やむを得ない事情があったのだろう。アイナだってそれは良く分かる。だけど犯罪は犯罪で、罪を償う必要がある。
アイナだって禁呪を使用した償いは、ちゃんと自分の手で行っている。だからこそアイナは、ジーバも制圧して魔力弾を撃ち込んだ。
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