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第1章
第9話 学園の案内係
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「じゃあそう言う理由だから、クラークさんの案内宜しくね~」
「あっ! ちょっと! 木花先生!」
放課後になるなり、木花先生は俺に留学生の世話を押し付けて職員室に戻って行った。そう言うのは先生がやるんじゃないのかよ。
俺が教えて周るより、教師がやった方が良いだろ絶対。そもそも女同士なんだし、彼女も男の俺より安心だろう。
「ねーねー。私達コンビなんだからさ、もうちょい仲良くしない?」
「いや、まあ。そうなんだけどさ」
「あ! 分かった! 草食系男子ってヤツ?」
「それはもっと上の世代だ! 何で知ってるんだよそんなの」
今日はずっとこんな調子だ。アメリカ人って皆こんなに距離詰めるのが早いのか? シャーロットも大概最初は苦労したが、この子はこの子でやたら明るいから困る。嫌な感じはしないけど、周りには居なかったタイプだ。
「ね、案内してよ。学校の中」
「俺で良いのか? 何なら女子呼ぶけど」
「何で? 貴方にお願いしてるんだよ?」
やり難いの一言に尽きる。何だろうな、茉莉も明るいギャルタイプだがアイツともまた違う。底抜けに明るいと言うか、これがアメリカでは普通なのだろうか?
そりゃ日本人は暗いって言われるよこの差じゃ。ホームパーティーとか、大勢でやる様な国だもんな。
「はぁ。じゃあ行くか」
「オススメは?」
「オススメって、そんなの特には……」
「良く行く所とかないの?」
そう言われてもなぁ、高等部の校舎に来てまだ2ヶ月ほどしか経って居ない。それでお気に入りの場所を聞かれても困る。
せいぜい学食のラーメンが美味しいぐらいしか知らない。あとは図書室が静かだから落ち着くってぐらいだ。
それに俺は大体放課後は魔導協会に呼ばれるか仕事をしている。この時間に学校にはあまり居ないのだ。
「今の所は学食ぐらいかな?」
「何が美味しいの?」
「ラーメンかな、現状だと」
「おー! 日本のラーメンまだ食べた事ないんだ! 今度行こうよ」
「え? あ、ああ。まあ、良いけど」
本当にもう、距離の詰め方がエグい。パートナーだからってのもあるんだろうけど、こっちが面食らってしまう。
大丈夫なんだろうかこれで。俺達やって行けるのかコレ? 不安は残るが、とりあえずは学校紹介に集中しよう。余計な事は考えない方向で行こう。
「うちの学科は、何があるか聞いたんだよね?」
「魔法戦技科と魔法科学科、情報科と開発科と服飾科だっけ?」
「そうだよ。基本的にウチは就職優先の学校だ。人気の高い分野を採用してる」
これは義姉さんの教育方針が反映されている。魔術師が就ける職業の中でも、特に人材を求められている業界への輩出を最優先にしている。
だからあまり変な学科はない。どの科も共通する授業はクラス単位で受け、それぞれの科だけで行う授業では受講する授業が変わる。
だから例えば諜報員としての成長を求められている、亮二と茉莉は情報科だから俺とは受ける授業が違う。そうやって各分野スペシャリストを育てる方針だ。
「あ、魔法戦技科の説明は受けてるよな?」
「うん聞いたよ、ちょっと変わってるよね。半妖半魔も受け入れるなんて」
「あ~ま、そこがウチの特徴だからな」
嵯峨学園は半妖半魔も生徒として受け入れている。主に妖怪などの異質な存在と、人間の間に生まれてしまった子供達。
夫婦円満の場合は良いが、望まぬ子として生まれて来る子供もいる。その場合多くは、力の制御を学ぶ機会が無く不幸な未来が待っている。そんな子供達を、率先して保護しているのだ。
だからうちは魔術戦技科ではなく、魔法戦技科となっている。人間が使う魔術だけではなく、妖力や精霊魔法などを使う生徒にも、ちゃんと学習の機会を与える為だ。
なので人間に協力的な妖怪や精霊が、特別講師として在籍している。半妖半魔の人権問題や保護については、まだ進んで居ない地域、国が沢山存在している。
そんな中で、上手く行っているこの学園はかなり珍しい。そのせいで未だに義姉さんへの取材依頼がちょくちょく来ている。
「良い学校だよね。半妖半魔も通えるなんて」
「そうだな、それは本当にそう思うよ」
お互い執行者なんてやって居れば、腸が煮えくり返る様な事件と出会う事もあるだろう。無残な姿となった半妖半魔達を、一体どれだけ見て来ただろう。
彼女の言葉からは、同じ経験をした者だけが分かる悲哀を感じた。魔術のお陰で便利になっても、結局人間は同じ事を繰り返している。
どうすれば悲しい事件のない日々が来るのだろうか? 凶悪な犯罪者達を、全て断罪するまで来ないのだろうか? そんなの、何年掛かるか分かったもんじゃない。
「っと、すまん。案内だったな次に行こう」
「そうだね」
「あんまり俺達は縁がないけど、あっちが部活棟だ」
「へぇ~結構広いんだね」
俺達の様にこの歳で働いていない限りは、この時間には部活動に勤しんで楽しい青春を送っている。
それで良いんだ、俺達執行者はそんな人達を守る為に存在している。彼らが平和に過ごせて居るなら、俺達も居る意味があると言うものだ。
「確かに、あまり縁はないね」
「じゃあ次に行こうか」
その後も俺達2人は、学園内を歩いて周った。主要な施設は大体案内出来ただろう。その間に交わした会話で、仲良く出来ない人間でない事は分かった。ただ異性だから、どうにも距離感は掴めないままだが。
「じゃあ、そろそろ俺は帰るけど」
「待って。一緒に帰らない?」
「あっ! ちょっと! 木花先生!」
放課後になるなり、木花先生は俺に留学生の世話を押し付けて職員室に戻って行った。そう言うのは先生がやるんじゃないのかよ。
俺が教えて周るより、教師がやった方が良いだろ絶対。そもそも女同士なんだし、彼女も男の俺より安心だろう。
「ねーねー。私達コンビなんだからさ、もうちょい仲良くしない?」
「いや、まあ。そうなんだけどさ」
「あ! 分かった! 草食系男子ってヤツ?」
「それはもっと上の世代だ! 何で知ってるんだよそんなの」
今日はずっとこんな調子だ。アメリカ人って皆こんなに距離詰めるのが早いのか? シャーロットも大概最初は苦労したが、この子はこの子でやたら明るいから困る。嫌な感じはしないけど、周りには居なかったタイプだ。
「ね、案内してよ。学校の中」
「俺で良いのか? 何なら女子呼ぶけど」
「何で? 貴方にお願いしてるんだよ?」
やり難いの一言に尽きる。何だろうな、茉莉も明るいギャルタイプだがアイツともまた違う。底抜けに明るいと言うか、これがアメリカでは普通なのだろうか?
そりゃ日本人は暗いって言われるよこの差じゃ。ホームパーティーとか、大勢でやる様な国だもんな。
「はぁ。じゃあ行くか」
「オススメは?」
「オススメって、そんなの特には……」
「良く行く所とかないの?」
そう言われてもなぁ、高等部の校舎に来てまだ2ヶ月ほどしか経って居ない。それでお気に入りの場所を聞かれても困る。
せいぜい学食のラーメンが美味しいぐらいしか知らない。あとは図書室が静かだから落ち着くってぐらいだ。
それに俺は大体放課後は魔導協会に呼ばれるか仕事をしている。この時間に学校にはあまり居ないのだ。
「今の所は学食ぐらいかな?」
「何が美味しいの?」
「ラーメンかな、現状だと」
「おー! 日本のラーメンまだ食べた事ないんだ! 今度行こうよ」
「え? あ、ああ。まあ、良いけど」
本当にもう、距離の詰め方がエグい。パートナーだからってのもあるんだろうけど、こっちが面食らってしまう。
大丈夫なんだろうかこれで。俺達やって行けるのかコレ? 不安は残るが、とりあえずは学校紹介に集中しよう。余計な事は考えない方向で行こう。
「うちの学科は、何があるか聞いたんだよね?」
「魔法戦技科と魔法科学科、情報科と開発科と服飾科だっけ?」
「そうだよ。基本的にウチは就職優先の学校だ。人気の高い分野を採用してる」
これは義姉さんの教育方針が反映されている。魔術師が就ける職業の中でも、特に人材を求められている業界への輩出を最優先にしている。
だからあまり変な学科はない。どの科も共通する授業はクラス単位で受け、それぞれの科だけで行う授業では受講する授業が変わる。
だから例えば諜報員としての成長を求められている、亮二と茉莉は情報科だから俺とは受ける授業が違う。そうやって各分野スペシャリストを育てる方針だ。
「あ、魔法戦技科の説明は受けてるよな?」
「うん聞いたよ、ちょっと変わってるよね。半妖半魔も受け入れるなんて」
「あ~ま、そこがウチの特徴だからな」
嵯峨学園は半妖半魔も生徒として受け入れている。主に妖怪などの異質な存在と、人間の間に生まれてしまった子供達。
夫婦円満の場合は良いが、望まぬ子として生まれて来る子供もいる。その場合多くは、力の制御を学ぶ機会が無く不幸な未来が待っている。そんな子供達を、率先して保護しているのだ。
だからうちは魔術戦技科ではなく、魔法戦技科となっている。人間が使う魔術だけではなく、妖力や精霊魔法などを使う生徒にも、ちゃんと学習の機会を与える為だ。
なので人間に協力的な妖怪や精霊が、特別講師として在籍している。半妖半魔の人権問題や保護については、まだ進んで居ない地域、国が沢山存在している。
そんな中で、上手く行っているこの学園はかなり珍しい。そのせいで未だに義姉さんへの取材依頼がちょくちょく来ている。
「良い学校だよね。半妖半魔も通えるなんて」
「そうだな、それは本当にそう思うよ」
お互い執行者なんてやって居れば、腸が煮えくり返る様な事件と出会う事もあるだろう。無残な姿となった半妖半魔達を、一体どれだけ見て来ただろう。
彼女の言葉からは、同じ経験をした者だけが分かる悲哀を感じた。魔術のお陰で便利になっても、結局人間は同じ事を繰り返している。
どうすれば悲しい事件のない日々が来るのだろうか? 凶悪な犯罪者達を、全て断罪するまで来ないのだろうか? そんなの、何年掛かるか分かったもんじゃない。
「っと、すまん。案内だったな次に行こう」
「そうだね」
「あんまり俺達は縁がないけど、あっちが部活棟だ」
「へぇ~結構広いんだね」
俺達の様にこの歳で働いていない限りは、この時間には部活動に勤しんで楽しい青春を送っている。
それで良いんだ、俺達執行者はそんな人達を守る為に存在している。彼らが平和に過ごせて居るなら、俺達も居る意味があると言うものだ。
「確かに、あまり縁はないね」
「じゃあ次に行こうか」
その後も俺達2人は、学園内を歩いて周った。主要な施設は大体案内出来ただろう。その間に交わした会話で、仲良く出来ない人間でない事は分かった。ただ異性だから、どうにも距離感は掴めないままだが。
「じゃあ、そろそろ俺は帰るけど」
「待って。一緒に帰らない?」
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