死神の神子と魔弾の機工士

ナカジマ

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第1章

第15話 相棒と過ごす日々

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 ハッキリ言おう、対等なパートナーが居るのは最高だった。こんなにも戦い易くなるものかと、感動を覚えた程だ。
 最初こそ気乗りはしなかったが、いざやってみれば恐ろしい程に効率が上がった。魔法戦技の授業は過去一快適に受けられている。
 急ぎの仕事も特にないので、最近はアイナと訓練する日々が続いていた。互いの癖や弱点を把握しておかないと危険だからだ。
 あっさりと自身の秘密を教えてくれたのだから、俺が出し渋りをするのも変な話だ。自覚している欠点については、既に全て話した後だ。

「お疲れ~今日も良い訓練になったね」

「アイナのお陰だ。君は凄くやり易い」

「おお、ストレートに褒めるじゃん」

 本当にそう思っているのだから、素直にそれを伝えただけだ。別に俺はそこまで捻くれてはいない。良いと思ったものには、ちゃんとそう伝える。
 ただ女の子に対する接し方とか、そう言うのが良く分からないだけで。パートナーが居ない日々イコール年齢だったのだから仕方ない。
 強力な力は人を孤独にするなんて言うけれど、実際に俺は孤独だった。友人が居ないと言う意味じゃない、こうして対等な相手が居なかったと言う意味だ。

「ま、私もそう思っているけどね」

「え?」

「私も清志せいじで良かったって事!」

 何かこう、女子にそんな風に言われると反応に困る。恋愛的な意味でないのは分かっている。理解はしているが、少々心に来るのも間違いはない。
 大体アイナは滅茶苦茶美人だ。こんな子に綺麗な笑顔と有り難い言葉を向けられて、何も思わないほど朴念仁ではない。
 俺だって恋人とか結婚とか、出来たらしたいとは思う。お家再興とかそう言うのと関係のない、自由な恋愛になら多少なりとも興味はある。
 そりゃあ俺だって男に生まれたからには、そんな事だって考えたりはする。ただ彼女に関しては、仕事上のパートナーでしかない。

 彼女に恋愛的な意味での好意は無い。だからそんな目を向ける気はない。そもそも立場的に、俺達は難しいのだから。
 彼女はアメリカ軍所属だし、俺は一応日本の重要な血筋の生まれ。結婚相手としては、お互い良い相手とは言えない。
 パートナー同士で結婚も珍しくないが、別々に相手が居る人達も決して少なくない。俺達はきっと、そちら側になるだろう。

「ねぇ、お腹空いたし何か食べない?」

「ん? そうだな。そうしようか」

 放課後に訓練していたので、外が暗くなり始めていた。あまりにも捗るものだから、つい熱が入ってしまった。
 あまり遅くなり過ぎると義姉が煩いのでそろそろ帰ろうか。6月にもなるとだいぶ日が長くなっては居るが、時間が無限にあるのではない。
 アイナを付き合わせる事にもなるのだから、ちょっと気を付けないといけないな。

「ごめん、遅くまで付き合わせて」

「何で謝るの? 良い事じゃない」

「いや、でも……予定とかあるだろ?」

「今は清志との調整が最優先だよ」

 そう言って貰えるのは有り難い限りだけど、彼女は単身日本に来ているのだ。保護者との連絡であったり、母国の友人とのやり取りなどもあるだろう。
 ストイックなのは非常に助かるけど、それが全てでは無い筈だ。彼女だって、立派な女子高生だ。人としての生活は、しっかり送って欲しい。俺みたいになってしまわない様に。

「その、友達とかも大事だろ?」

「? 清志だって、もう友達でしょ?」

「ああいや、アメリカのって意味だよ」

 そんな何を言っているんだって目で見ないで欲しい。そんなに変な事は言っていないだろうに。向こうでも学生生活があっただろうし、海軍の仲間達も居るだろう。
 あまり踏み込んだ事は聞けないが、恋人とかも居るんじゃないだろうか。こんなに綺麗な女子なのだから。
 プライベートな話だから、教えてくれなくて構わない。ただ大事にして欲しいだけだ。自分の人生と言うものを。

「大丈夫だよ、ちゃんと連絡しているから」

「それなら良いんだけど」

「それに折角日本に来たんだよ? それはそれで楽しみたいよ。お母さんの国なんだから」

 母親、か。プチ歓迎会で義姉さんに聞いたから知っている。彼女の母親も既にこの世に居ない。そんな彼女の母親は日本人だから、今ここに居る事にも大切な意味があるのだろう。
 俺は純粋な日本人家系だから、ハーフの人が何を思うかは分からない。ただアイナが日本を満喫したいと言うなら、協力はしてあげたいと思う。パートナーとして。

「お母さんはどこの出身なんだ?」

「九州だよ。奄美大島って所」

「それは、ちょっと遠いな」

 京都から奄美大島は中々に遠い。じゃあ行こうか、とは簡単には言えない。お互いに魔導協会で仕事をしているので、旅費宿泊費は問題ではない。
 ネックになるのは、纏まった休暇が必要な点だろう。日本に於ける魔術の重要拠点、魔導協会京都支部からSランク2人が簡単には離れられない。
 事前に申請を出して、日程を調整して許可を貰って漸くだ。緊急時でもないし、近隣の他府県に行くのとは違う。
 ただ今すぐは無理でも、いつかは行く事が出来るだろう。彼女の特性を考えれば、単独で行くより2人の方が安全だ。
 こんなに尖った魔術師を、1人にするのは不安だ。如何に実績のある軍人であろうと、絶対は無いのだから。

「でもさ、その内行こうよ」

「……着いて来てくれるの?」

「当然だろ? パートナーなんだから」

「ありがとう!」

 どうなる事かとヒヤヒヤしていた時もあったけど、この子となら上手くやって行けそうだ。そんな風に実感出来る、煌びやかな笑顔を彼女は浮かべて居た。
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